第2話 願い事
クリストフの補助で何とか広場についたサラは大きな樅ノ木を見あげた。
「大きいね……綺麗」
「ご満足いただけたようで、何よりです」
クリストフは仰々しく、サラにお辞儀した。
「うむ。苦しゅうないぞ」
サラはクリストフの悪ふざけに便乗した。
「こっちに飾り売ってるよ。ブルームト、案内して差し上げなさい」
少しだけ寂しそうにしていたブルームトにクリストフが声をかけた。
「え! いいの?」
サラが驚いて聞くとブルームトは頭をかきながら頷いて、手を出した。
「ありがとう!」
サラはブルームトに勢いよく飛びついたので、また盛大に滑ったが、ブルームトが支えてくれた。
「なんか、俺の時と態度違いすぎない!?」とクリストフは文句を言った。
「えへへ。そんなことはないよ、親衛隊長」
サラは嬉しさを隠しきれなかった。
広場には沢山の屋台が出ていて、色々な種類の飾りが売っていた。
「これがいい」
サラは毛糸を編んで作った星を選んだ。
「じゃあ、俺はこれだな」
クリストフは毛糸で編んだ魚を選んだ。
「なぜ、魚?」とサラが聞くとクリストフは「顔が俺と似てるだろ」と言って、飾りの魚の顔真似をした。
サラとブルームトは一緒に吹き出して笑った。
「ブルームトはどれにするの?」
ブルームトは腕を組んでかなり真剣に考えている。しばらく悩んでからブルームトはギブアップした。
「こういうの決められないんだよ……サラとクリストフで決めてくれ」
「えぇ、じゃあどうする?」
サラはクリストフに聞いた。
「じゃあ、この狼の飾りにしよう。ブルームト、人狼だし」
「え! なんで知ってるの?!」
サラは驚いた。
「普通にブルームトが教えてくれたぞ。満月の夜に狼に変身するのも見せてもらった」
「ええ!!!」
サラはまたクリストフに嫉妬した。二人はサラが想像していたよりずっと仲がいいらしい。
私も狼ブルームト見たい……
三人で樅ノ木に飾りを飾った。クリストフは目を閉じて、胸に手を当ててぶつぶつ何かを言っていた。
サラとブルームトもクリストフに習って願い事をした。
今日は楽しかった……
このままブルームトと友達でいられますように……
これ以上、好きになりませんように……
サラは願い事が終わり、ブルームトを見た。
ブルームトはまだぶつぶつ何かを言っていた。
随分と真剣に願い事を唱える様子を見て、サラはふふっと笑いが溢れた。




