表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
行列のできるスキル鑑定士  作者: ポムの狼
雪踏み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/53

第1話 雪道

 イーツ王国には雪が降り始めていた。街の中は何処もかしこも真っ白で、雪を踏むとぎゅっぎゅっと音がするような重い雪だった。

 街の中央の大きな樅ノ木には、街の人たちが自由に飾りを持ち寄って飾りつけていた。



「サラ、明日の休みに一緒に樅ノ木に飾りをつけに行こうよ。明日、俺が当番の日だから」といつものように鑑定屋に通っているクリストフはにこにこしながらサラに言った。


 デュートリヒの事件以来、サラの出張鑑定や休日の外出には護衛が付くようになっていた。店長が冒険者から有志を集めてやらせているのだ。

 当然といえば当然だが、店長が募集しているので給料は出ていない。完全にボランティアだ。いつも複数の冒険者が交代でやってくれていた。


「私、ここに越してきてから初めての冬だから分からないんだけど、あれは何か意味があるの?」とサラは聞く。


「オッケー、生まれも育ちのイーツのクリストフ様が教えてあげよう。

 あれはね。昔、イーツで流行り病が広まった時の名残りでね。樅ノ木に願い事をしながら飾りをつけると願い事が叶うって言い伝えがあるんだよ。皆、好きなことをお願いしに行くんだ」


「へぇ、楽しそうだね。じゃあ、案内をお願いしようかな」


「やったね!」


 クリストフはサラとの外出権をゲットして喜んだ。








 次の日、雪で凍った鑑定屋の扉を開けたサラは驚いた。クリストフ以外にも冒険者が来るとは思っていたが、まさかブルームトが来るとは思っていなかったからだ。


「サラ、おはよう。今日の当番は親衛隊長の俺と親衛隊No.56のブルームトだ!」


 クリストフはブルームトと肩を組んでいる。


「いつも間にそんなに仲良くなったの?」


 サラはクリストフが羨ましかった。


「友達なんだ。一緒にパーティ組むことだってあるんだぞ」とクリストフ。


 友達と言われたのが嬉しかったのか、ブルームトは照れくさそうに頭をかいた。

 サラは益々クリストフに嫉妬した。


「ふーん、そうなんだ。早くいこ」


 サラは嫉妬から素っ気ない態度をとり、先を歩き始めた。


 道はサラのくるぶし程の雪が積もり歩き難かった。

 鑑定屋がある路地から大通りに出る途中のなだらかな坂道でサラは滑って転びそうになってしまった。


「きゃ」

 

 サラは小さな悲鳴を上げたが、クリストフがサラの手を取ったので転ばずに済んだ。


 クリストフがいたずらっぽく笑う。


「転ばないように、手でも繋いでおこうか? サラ」


「いいよ、そんなことしなくても。もう転ばないから!」


 サラはクリストフの態度にムキになって先を歩いたが、また滑って転びそうになってしまって、今度はブルームトがサラを支えた。


「昨日、一回雪が溶けてしまったから、今日は凍ってるみたいだね。サラ、気をつけて」


 久しぶりに聞いたブルームトの声でサラは顔が火照った。


 フラれたはずなのに、未練がましい自分が本当に嫌になる……


 ブルームトの言うように、積もった雪の下の道はつるつるに凍っているようだ。このままでは広場に着くまでに何回転ぶか分からない。

 本当はブルームトと手を繋ぎたかったサラだが、嫌がられると思って仕方なくクリストフに頼むことにした。


「もう……仕方ないな…… 親衛隊長、エスコートして」


「御意!」


 クリストフはいつものふざけた調子でサラの手を取った。


 後ろを歩いていたので、サラには見えなかったが、ブルームトは少しだけ悲しい顔をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ