【番外編】打ち上げ
「グリフォンの討伐成功を祝して! 乾杯!」
沢山の冒険者がエールのグラスを掲げて乾杯した。大勢がにぎやかにしている同じ酒場の隅の方で、ブルームトは一人で座って静かにエールを飲んだ。
「おい! ブルームト! お前大活躍だったんだから、そんな隅っこにいないで、堂々と飲んだらどうだ?」
沢山の冒険者と乾杯して挨拶を済ませてきたクリストフがブルームトの隣に座った。
「クリストフは本当に凄いよ。尊敬する」とブルームト。
「え!? なんで!?」
クリストフもまさかブルームトに褒められるとは思っていなかったようで驚いている。
「だって、沢山の冒険者と顔見知りで仲良くしてるだろ? 俺は、そういうクリストフが羨ましいんだ」
もし、自分がクリストフのように人付き合いが上手かったら、魔王軍を辞めることも無かったんだろうなとブルームトは想像した。
ブルームトの話を聞いたクリストフが顔をしかめた。
「お前、それ本気で言ってんの? 俺なんかより、お前の方がよっぽど人気者だと思うぞ」
「え?」
「あ! いたいた! おい、皆! ブルームトがこんな所に隠れていたぞ!」
エールを持ったエドウィンがブルームトを引っ張って立たせて、酒場の中央へと連れていった。
ブルームトは何が起こったのか分からず、クリストフの方を見たが、クリストフはにこにこしながらブルームトに手を振った。
沢山の冒険者がブルームトに声をかけに集まってくれた。驚いた顔をしているブルームトの肩をエドウィンが叩いた。
「お前のおかげで、今日は一人も死なずに帰って来られた。皆、ブルームトに感謝してるんだぞ!」
対グリフォン戦で、ブルームトは神経を尖らせて全員のサポートに回った。グリフォンの鉤爪で捕まりそうになった冒険者がいれば、氷の壁を作り防いだ。
魔王軍にいた時は当たり前にしていたことだったが、こんなに感謝されたのは初めてだった。
魔王軍は殺伐としていて、常に誰かに蹴落とされることを心配する関係だったが、ここではそうではなかったらしい。
ブルームトは改めて、職場を変えるようにアドバイスをくれたサラに感謝した。
「おい! ブルームトが泣いてるぞ! 隠せ! 女どもに見せるな! 全部ブルームトに持ってかれる!」
感動して少し泣いてしまったブルームトにクリストフがいつものふざけた声をかけた。ブルームトは笑った。こんなに楽しい酒の席は生まれて初めてだった。




