第10話 募る思い
サラが目覚めると、サラは鑑定屋の自室のベッドの上にいた。服は寝間着になっていて、なぜかベッドの上には大量の花がサラを囲むように置かれていた。
ん……? 私死んだのかな……?
ベッドに寝たままぼうっとしていると、店長が花束を持って部屋に入ってきた。
「店長……」
「サラ! 目が覚めたのかい!」
目覚めたサラに気がついた店長はサラに駆け寄った。
「店長……この花はいったい……」
「あんたが昨日一日目覚めなかったもんだから、常連客がお見舞いに持ってきてくれたんだよ」
だとしたら飾り方がおかしい。これではまるで葬式の献花だ。
店長は少し常識の違うことをすることがあるが、今回はその最たる例だろう。
「店長…… 花瓶とかないんですか?」
店長が腰に手を当てて威張る。
「そんな物あるはず無いだろ!」
なぜ、威張る……
サラは起き上がろうとしたが、体中至る所が痛んで、顔をゆがめた。痛みをこらえて、何とか上半身のみ起き上がることができた。
「まだ、寝てなさい!」
「でも、店長…… 私、仕事しないと……」
「馬鹿だね! 店はしばらく休みにしたよ!」
「え……」
店長が店を休みにするだなんて、サラは信じられなかった。
天変地異でも起こるのか……?
「………でも、私働きたいです…… 沢山、稼がないと……」
「有給休暇だよ! いいから寝てなさい!」
店長はサラをベッドに寝かせた。
サラはこの仕事に有給休暇があったことを初めて知った。契約書には明記されていないはず。
「有給休暇って……そんなの前からありましたっけ?」
「ごちゃごちゃ言わずに寝てなさい! 今、アルマを呼んでくるから、ちょっと待ってな」
「え? アルマが来てるんですか?」
店長はサラの問いを聞かずに出ていき、すぐに交代でアルマが部屋に入ってきた。
「サラ……」
アルマの目は赤く腫れていた。アルマはサラに駆け寄り、サラの手を握る。
「アルマ……どうして?」
アルマは震える手で、強くサラの手を握り涙を流した。
「どうしてじゃないだろ? 私たち友達だろ? 心配するは当たり前じゃないか……」
サラも自然と涙が出てきた。アルマを見ると安心して肩の力が抜けるような気がした。
「アルマ……ありがとう…… ずっと、店に行けなくてごめんね……」
アルマは首を横に振った。
「そんなこと、気にしなくていいんだよ……」
「私を鑑定屋まで連れて来てくれたのは、アルマ? 私、気を失ってしまってよく覚えていないの」
「違うよ……ブルームトだよ……」
「え……ブルームト?」
サラの問いにアルマは頷く。
「なんでも、嫌な予感がして、鑑定屋の近くを歩いてたら、サラが襲われているところに居合わせたらしいよ。サラを助けて鑑定屋まで運んでくれたんだよ」
「そうなんだ……もういないの?」
「サラをパウラに預けたら帰ってしまったらしいよ……」
「そっか……」
会いたかったな……
サラはまた涙が流れた。
「アルマ…… 私……ブルームトに会いたい……」
アルマも涙を流しながら、うんうんと頷いてくれた。
「分かったよ………分かったから、もう寝なさい…… このお節介焼きに任せな。何とかしてあげる。絶対だよ」
アルマはサラの頭を優しく撫でた。サラは瞼が重くなって、再び眠りに落ちた。




