第7話 ゲルタの当番
ゲルタは怯えていた。
今日のゲルタは、夜に屋敷中の明かりを消して歩く当番に当たっていた。ゲルタは明かりを消すための棒を持ち、廊下の発光魔石を順番に棒で突いた。棒で突くと魔石は光るのをやめ、ただのガラスのようになる。
明かりが消える度に、後ろに誰かいるのではないかとゲルタは振り返ってびくびくした。
ゲルタが何故ここまで怯えているのかというと理由がある。最近、夜当番に当たったメイド達が口を揃えて言うのだ。夜になると宝物庫から、女の子が泣くような声が聞こえると。
ゲルタは上の階から順番に明かりを消していき、ついに宝物庫があるニ階へと到着してしまった。
三階から二階に降りる階段を使い、二階に到達したが、ゲルタは恐怖でしばらく動けなくなってしまった。
しかし、進まない事には仕事は終わらない。
ゲルタは意を決して進み始めた。
少しずつ宝物庫に近づいていくとゲルタはひゅっと息を吸い込んだ。
しくしく………しくしく………
確かにそれは泣いていた。
ゲルタは宝物庫に入って泣き声の正体を確かめるべきか、確かめずに通り過ぎるべきか、かなり悩んでから宝物庫に入ってみることにした。
もしかしたら、本当に女の子が迷子になっているなんて事も無いとは言えない。ここで帰ってしまえば、夜の見回り当番である自分の責任問題になってしまうだろう。
ゲルタは恐る恐る宝物庫の鍵を開けて、中に入った。泣き声は部屋の奥から聞こえてくるようだ。
ゲルタは一歩一歩着実に泣き声のする方へと足を踏み進めた。
ゲルタは部屋の隅まで来たが女の子は迷子になっていなかった。しかし、女の子の泣き声は未だにはっきりとゲルタの耳に届いている。
しくしく……しくしく……
その時、ゲルタはある事に気がついた。宝物庫の一番隅にある箱が蛍が光るようにぼんやりと光っていたのだ。
「お、おばけ!!!」
ゲルタにはその光が鬼火のように見えた。
ゲルタは急いで、宝物庫を出て、鍵を閉めた。
心臓がバクバクと激しく脈打っている。
ゲルタは、気づかなかったふりをして本来の明かり消しの業務に戻ったのであった。




