第3話 いざ商談!
サラの最初のお客様は身なりの良い家族だった。恐らく貴族と思われる。くるくる癖毛の金髪を大きなリボンでまとめた女の子が父親の手をぐいぐい引きながらやってきた。母親は日傘を差しながら、父親と娘の様子を微笑ましく見ている。
「いらっしゃいませ。魔獣屋でございます。どういった魔獣をお探しですか?」
サラは財布の紐を握っていそうな父親に話しかけた。
「娘がペットにできる魔獣を探しているのだが、おすすめはあるかな?」
サラは娘のステータスを見た。
名前︰モニカ
種族︰人族
職業︰侯爵令嬢
称号︰なし
取得スキル︰なし
潜在能力︰【領地経営】【人心掌握】
長所︰何にでも物怖じしないこと
短所︰危なっかしい
「そうですね……番犬になるような、お嬢様を守ってくれるような魔獣はいかがでしょうか?」
父親の顔がぱっと明るくなった。
「それはありがたい! 娘は活発で使用人をおいていなくなることも多くて困っていたんだ」
ふふふ……そうだと思いましたよ……
「こちらの魔獣はいかがでしょうか?」
サラは真っ白なふわふわの毛に額についたブルーの美しい角が特徴的な犬に似た魔獣を紹介した。
犬の魔獣のステータスはこうだ。
名前︰なし
種族︰ホワイトスノーウルフ(幼体)
職業︰なし
称号︰なし
取得スキル︰【嗅ぎ分け】【噛みつき】【人語理解】
潜在能力︰【天候操作(雪)】【氷魔法】
長所︰主人に忠実。仲間意識が強い。
短所︰暑さに弱い
「ホワイトスノーウルフという魔獣で、主人に忠実な魔獣でございます。人の言葉も理解していますので、お嬢様を守るように教えておけば護衛も務めることができます。現在は幼体ですが、成長すると大型犬と同じ位の大きさまで成長いたします。
夏の暑さが苦手ですので、その点だけ注意が必要ですが、他の点は犬と飼い方は変わりませんので、魔獣のご購入が初めてでも安心できるかと思います」
「さわってみてもいいですか?」
モニカはきらきらした瞳でサラに聞いた。
「どうぞ、人に慣らしていますので噛まれることはないですよ」
サラはモニカの隣にしゃがんで、目線を合わせて会話した。
モニカは嬉しそうに頷き、恐る恐るホワイトスノーウルフに手を出した。
ホワイトスノーウルフはモニカの手をクンクンとかいでから、ぺろっと手をなめた。そして、撫でてほしそうに自分の顔をモニカの手に乗せた。尻尾を振っている。
「かわいい! おいで!」
モニカが呼ぶとホワイトスノーウルフはモニカの腕の中に飛び込んできた。モニカはふわふわの毛に顔を埋め、ホワイトスノーウルフの背中を撫でた。
「お父様……この子がいい。お願い、買ってください」
モニカはかわいい顔で、父親にねだった。
「かわいい娘の頼みだ。この子を連れて帰ろう」
「やった!」
モニカは大喜びだ。
サラも小さくガッツポーズをした。
侯爵夫人はこっそり夫に話しかけた。
「あなた、この売り子さん、どこかで見た顔じゃないかしら……思い出せないのだけど、どこだったかしら」




