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第15話 心機一転
「店長……お願いがあります」
朝起きてきた、部屋から出てきたサラは目が腫れて赤くなっていた。
店長は溜息をつきながら、冷凍庫から氷を出し、作った氷嚢をサラに渡した。
「聞くだけ聞いてやるから言ってみな」
店長はどっしりといつも使っている席に座った。サラも店長の向いに座り氷嚢で片目ずつ冷やした。冷やすと目の腫れも幾分かひき、一緒に気持ちも少しだけスッキリした。
「仕事着の顔を隠すベールですけど、あれ、無くしてもいいですか?」
「あれが無かったら、外に出づらくならないかい?」
「私、仕事をもっと頑張りたいんです。お客様は真剣に私の鑑定を受けに来てくれているから、私もそれに応えたい。
初めは生きていくために何となく始めた仕事だったけど…… 私、この仕事と本気で向き合いたいんです」
もう、出かけられなくていい。
店長はサラの顔をじっと見つめた。
「分かった。好きにしな。さっさと食べて仕事だよ」
店長はいつものパンと牛乳に加えて、分厚く切ったハム一枚をサラに出した。




