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行列のできるスキル鑑定士  作者: ポムの狼
炎暑

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第14話 遠のかない客足の裏

 閉店後、サラはいつものようにアルマ亭を訪れていた。飲みたい気分だったのだ。


 元気のない様子のサラを見て、アルマは心配したが、サラが何も言わないので、あえて声はかけなかった。






 エールを飲んでいるとブルームトが今日もサラに会いにやってきた。だけど、どこかいつもと様子が違う。


 サラはふとブルームトのステータスを見て驚いた。


 HP︰1866/2058

 状態:打撲


 サラは立ち上がって、ブルームトの手を引いてアルマ亭を出た。ブルームトは驚いた様子だったが、嫌がることなく付いてきてくれた。


 店の外でサラはブルームトと話をした。


「ねぇ……どうして、怪我してるの……」


「……」


 ブルームトは困ったように笑って何も教えてくれなかった。


「あなた、強いんだから怪我なんかするはずないじゃない…… 私のことで、誰かに何かされたんじゃないの……」


「……」


 ブルームトは何も言ってくれなかった。しかし、サラにとって何も言わないということは肯定でしかなかった。


 恐らく、昨日サラと会っていた事をよく思わない他の冒険者にやられたのだろう。ブルームトが本気を出せば返り討ちにできただろうに、ブルームトは優しいからされるがままにしてきたという事をサラは手に取るように分かった。


 サラは自分が許せなくなった。

 ブルームトは人付き合いで苦労して、前の仕事も辞めたのに、サラのせいでまた苦労させられているのが、自分で許せなかったのだ。



「……もう会いに来ないで」


「え?」


「もう会いに来ないでって言ったの!」


 サラは泣きながらブルームトを睨んだ。

 ブルームトが酷く傷ついた顔をしているので、サラはより辛かった。


「サラ…… どうして、あなたを傷つけてしまったのか分からない…… 何か至らないことがあったなら直すから、教えてほしい…… あなたのことが好きなんだ……」


 サラはブルームトの目を見ることができなかった。


「…………私は、あなたのこと何とも思ってない……他のお客さんと一緒」


 サラは心にも無いことを言った。本当はブルームトに惹かれている自分を分かっていたが心に蓋をした。


「…………私はこの国で一番の鑑定士になる…… あなたは私の目標にとって邪魔なの。もう会いに来ないで」


 サラはブルームトの前から走って逃げ出した。


「サラ!」


 ブルームトがサラを引き留める声が聞こえたが、振り返らずに走った。


 急いで鑑定屋に帰り、自分の部屋に閉じこもったサラは扉の前で膝を抱えて泣いた。



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