第12話 店長の忠告
店に帰ってきたサラは上機嫌だった。
ブルームトとのデートは思いの外楽しかった。たまに照れくさそうにしているブルームトはかわいらしくて好感が持てた。結局一日一緒に過ごして、アルマの店で晩ごはんまで済ませてしまった。
「ただいまーー」
サラが帰ると店長はまだ不機嫌だった。
「サラ、ちょっと話があるから座んなさい」
サラはあからさまに嫌そうな顔をしたが、いつになく真剣な様子の店長を見て、渋々店長の向いに座った。
「サラ、あの人狼と結婚でもするのかい?」
店長の質問にサラは驚いた。
なぜ、店長にブルームトの素性がバレてるんだ?
「なんで分かったんですか? 人狼だって……」
「そんなこと鑑定しなくても分かるよ! 私を誰だと思ってんだい? 元勇者だよ!
動きを見れば種族くらい、簡単に判別できるわ!
あの、たまに鼻を近づけるような動き…… あれをするのは人狼の特徴だから覚えておきな。で、どうなんだ。結婚するのか?」
「そんなこと、まだ考えてませんよ!」
「じゃあ、二人で出かけるのは止めな。私も、こう見えて若い頃はモテたから分かるんだよ。結婚するのならいいけど、ただ付き合うだけじゃお互いのためにならない。
お前さんは、こないだグスタフの女が店に来て嫌な思いをしたのに、何にも学んでないんだね」
「どういう事ですか?」
サラは店長が何を言いたいのか分からなかった。
店長は溜息をついた。
「勇者も鑑定士も一緒だ…… 人気を売りにしている商売にはそれなりのリスクがあるんだよ。
私は忠告したからね…… 来年、本当に独立する気でいるなら、良く考えなさい」
店長はそう言うと自分の部屋に行ってしまった。




