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忘れがたき炎の物語  作者: 判虹彩
破滅の帝国編
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第4話「救出」

神聖ナナウィア帝国の首都アイウォミから北へおよそ30キロ。荒れ果てた荒野にどんと構える要塞のような建物があった。

かつては帝国の農産物を保管する巨大な倉庫であったが、帝国の方針の変換により改築された。

壁は漆黒に塗られ、まわりを鉄の頑丈な格子で囲まれている。空には常に無数のカラスが飛び交い、時々深い霧に包まれる。見るからに不気味なその建物には、帝国の厳しい法律により罰せられた者達が次々と運び込まれていく。


「エクソダス収容所」


周辺住民からは、「北の牢獄」という呼び名で呼ばれていた。一度そこに入った人間は、二度と戻ってこれないからである。

また時折、人の声なのか動物の鳴き声なのか分からない断末魔のような叫び声が聞こえてくるというのである。


土の民は、かつて帝国の農業を支える重要な人材として登用されていた。その不思議な力と技術は、土を肥沃にし、農作物の育成を促し、農業大国と呼ばれる帝国を支える柱の一つであった。

だが、トゥームーヤが崩御したあと、皇室が不安定になり、地方国家が国境を越えてくることが多くなっていった。帝国はその対処に追われ、必然的に財政を国防に割かずを得なくなり、農業は次第に衰退していったのである。

そして帝国は農業の重要ポストを担う土の民を疎んでいくようになっていった。

エズィールたちが空から見た広大な農地は、実は帝国の持つ農地の最後の砦であったのである。

土の民は、縮小していく農業政策に抗えず、役職はおろか、住む場所なども追われるという扱いであった。

そこでさらにケリー公爵の法律が牙を向いたのである。土の民たちは、帝国の郊外の土地に掘立て小屋のような建物を建て、互いを助け合うように暮らしていた。ある日そこから密告があり、土の民のすべてが捕えられてしまったのである。

土の民は元々少数であったが、既に20人程までになっていた。彼らは互いの顔や名前も知り尽くしている。そこから密告があがるなど、誰しもが思ってもみなかったのである。

土の民の中で最も年長で、まとめ役である男性がいた。名前を「キスク」といった。

キスクは、捕えられる前日の夜、土の民を召集した。


「わが同胞よ。ついに恐れていた事態が起こってしまった。とうとう、ここにも密告があったのだ」


土の民たちはざわめいた。

キスクの隣には、土の民でかつて帝国の農業の最高責任者まで勤めた「ハンセン」という男がいた。


「昨日の朝、私がかつて勤めていた農務官の部下の人間から知らせがあってな…」


ハンセンが掴んだ情報によると、明日の朝、密告によって土の民が北の牢獄へ収監されることが決まったというのである。しかもその密告者の名は明かされず、それに対する裏付けの調査なども省かれてしまったというのである。


「何ということだ!我々はかつてナナウィアに栄光をもたらした栄誉ある民だぞ!?」


「何という扱いだ!まったく理不尽過ぎる!」


「もう、うちの子たちの食べ物さえ手に入らないというのに!まだ我々を追いやるというの?」


土の民たちは憤慨した。しかし、疲弊しきっている彼らには、もう反旗を翻す力など持ち合わせていなかったのである。


「致し方ないか…国の外へ行くにも、もう我々には何も残されておらん。何せ他国へ渡れば、我々の能力が他国へ流れることになるのだからのう。この地で死ねというわけじゃ…」


土の民は、国外への渡航を許可されていなかった。国境にあるすべての関所では、土の民一人一人の名前や性別、その他すべてが記された名簿が配布され、彼らの亡命を厳しく取り締まっていた。それでも無理矢理に国境を越えたものは、捕らえられ、即刻処刑されてしまっていたのである。

土の民たちは涙を流し、歯を食いしばり、拳を震わせながら輸送用の大きな馬車に乗ったのである。

その中に、二人の姉妹がいた。

彼女たちはキスクの孫であり、名前を「アリアナ」と「アイリス」といった。彼女たちは、土の民の中でも群を抜いて能力が高く、土の神殿の巫女でもあった。

姉のアリアナは、土の民の歴史の研究をしつつ、新たな能力の開発に没頭していたのである。土の民の力と魔法との融合や、農作物に魔法の力を付与する研究なども行っていた。

妹のアイリスは、姉とは違い、武芸に秀でており、弓矢や姉の開発した土の魔法を使い、農作物を荒らす魔物や害獣退治を得意としていたのである。

彼女たちの眼差しは、他の土の民に比べ、まだ光を失ってはいなかった。


「みんな!諦めないで!私たちの能力を知れば、皆分かってくれる!」


「そうよ!いずれ帝国はこのままでは衰退するわ!その時まで耐えるのよ!」


彼女たちは、周りの民を鼓舞し続けた。だが、他の土の民たちは彼女たちの情熱を持ってしても、その目に希望の光を灯すことはなかった。虚ろな目をして天を仰ぐ者や、涙を流したままうつむいている者などがほとんどであった。

勿論、彼女たち自身も怖くて仕方なかった。だが、誰よりも土の民の素晴らしさを知っている彼女たちは、この民がただ滅ぼされるのを黙って見ている訳にはいかなかったのである。

そして、彼らが収容所に収監されて2日目のことであった。


収容所の広い部屋の中には、10名ほどの土の民たちがうずくまっていた。窓は無く、壁は薄汚れ、カビのような異臭が立ち込めている。


「姉さん…もうここに来て二日が経ったわ。カルシェやネジルは、まだ戻って来ない。私…


アイリスの言葉を遮るようにアリアナが言った。


「ダメよ!今はまだここで耐えなくては…今騒ぎを起こしたら元も子もないわ!」


「姉さん!分かってるんでしょ?彼らはもう殺されたの!何が尋問よ!一人一人なぶり殺しにして、吸血鬼の餌にしてるんだわ!夜な夜な聴こえるあの叫び声にはもう耐えられないのよ!」


アリアナは涙を浮かべながら、じっとしている。


その時であった。

ガチャンという音と共に、収容所の扉が開いたのである。ギギギという重苦しい音が部屋中に響き、冷酷な顔つきの看守が現れた。看守は、真っ黒なローブに身を包み、腰にサーベルを下げている。

彼女たちをはじめ、土の民たちはぞっとした。ここに来てから、看守が度々この部屋の扉を開け、名前を呼んでいくと、その名を呼ばれたものは、手枷を付けて連行され、尋問を受ける決まりになっているのである。そしてアイリスの言っていた通り、名前を呼ばれたものは、2度とこの部屋には戻って来なかったのである。

当初、彼女たちは、尋問を受けて罪を償えば釈放されるものと思っていた。しかし、看守に聞いても答えが返ってくることはなかった。次第に彼女たちは、看守がもう来ないことを祈るしかなかったのであった。来たとしても、名前を呼ばれることのないようにと。無駄だと思える行為だとしても、彼女たちは既に極限状態だったのである。


看守は、必ず名前が書かれている帳面を持っていた。そこから名前を読み上げられた者を尋問するのである。

だが、今し方来たその看守は、帳面を持っていなかった。


「ふむ…」


その看守は、顎を撫でながら一人一人の顔をマジマジと見つめていった。

看守が部屋に入ってからは、皆俯き、目線を合わせないように壁の側でうずくまっていたが、なかなか名前が呼ばれないことに不思議に思えてきたのである。アイリスはふと見上げ、看守の顔を見た。看守は、少し笑みを浮かべながら何かを考えているようである。

アイリスは震えながら看守に叫んだ。


「ねえ、さっき連れていった二人はどうなったの?あたしたちは何もしていない。今まで帝国の為だけにずっと勤めてきた!なのに何故なの!?」


アイリスの感情が爆発している。堰を切ったように彼女は看守に訴えた。目には涙が滲んでいる。

アイリスを押さえるように、アリアナは彼女を引き寄せた。


「やめてアイリス!彼らを刺激しないで!」


アリアナは体を震わせながらアイリスを必死で守ろうとしている。

看守は、二人の顔をじっと見つめると言った。


「よかろう。その二人、来なさい」


アリアナとアイリスは、目の前が真っ白になった。とうとう私たちが呼ばれてしまった。一体どうされるんだろう?アイリスは、先程の感情の爆発を悔やんだ。何故姉の言う通りにしなかったのか、自らを悔いたのである。

彼女たちは、涙を流して抱き合った。そして、力無く看守の元へと歩いて行った。


部屋を出ると薄暗い廊下が続いていた。蝋燭の火が不気味にゆらゆらと揺れながら通路を照らしている。

アイリスは肩を震わせながら涙を流している。

だがアリアナは、ふと目の前の看守が、他の看守とは様子が違うなと思った。何故なら、いつも持ち歩いている帳面も持っていなければ、この看守の服装は、どこか他の看守とは微妙に違う気がしたのである。だがしかし、すぐに彼女は俯いた。もしそうだとしても、もう私たちは助からないことには変わりないという絶望が、彼女の心を蝕んでいくのであった。

看守は、ある部屋の前に立ち止まり、扉を開けた。


「さあ、中に入るんだ」


部屋に入ると、一つの机に、四つの椅子、そしてもう一人の看守がその椅子の一つに座りながら眠りこけていたのである。

看守は、眠っている看守の肩をポンポンと叩いた。


「んあ、もうそんな時間か?早いな」


「ああ、予定が少し変わってな」


目を覚ました看守は部屋を出て行った。


看守は、彼女たちを見ながら椅子に座るように促した。そして自分も椅子に腰掛けると、ゆっくりと話し出した。


「さて、まずはそなたらは“土の民“で間違いないか?」


アイリスはきょとんとしながら、看守の顔を見た。

アリアナもそうである。涙を拭きながら答えた。


「そうよ」


看守は、表情が少し穏やかになった。


「では今、土の民は君たちを含めると10名ということか…」


アリアナはみるみるうちに悲しい表情になった。


「ああ!何てこと!みんな死んでしまったのね!」


アイリスもアリアナの肩に寄り添い泣き出した。


看守は、彼女たちの顔を見ると、人差し指を立てて言った。


「いいか、よく聞くんだ。これから君たちを別の場所に移動させる。大人しく指示に従うんだ」


「別の場所?」


そういうと、看守は立ち上がり、再び手枷を取り出し彼女たちの手にかけた。


「よいか、何も口にするな。ただ指示に従うんだぞ」


そう言うと、看守は彼女たちを引き連れて部屋を出た。部屋を出ると、再び長い通路があった。看守は彼女たちが来た場所と逆方向に向けて歩き出した。

彼女たちは、何故なのか、どこに行くのか、まったく分からなかったが、看守の言う通り静かにしなければいけないと思い、黙って看守について行ったのである。

そして、渡り廊下のような場所に出ると、収容所の中庭が見渡せるようになっていた。アイリスはふと中庭に目をやると、すぐに目を閉じてうずくまった。


「アイリス!どうしたの?何かあったの?」


「姉さん…見てはダメよ!」


アリアナは反射的に中庭に目をやってしまった。そこに映ったのは、(おびただ)しい数の屍の山と、恐ろしいストリゴイやヘルハウンド(魔犬)たちがその屍に食らいついている様子であった。

まさに地獄絵図である。そして、強烈な悪臭が彼女たちの鼻をついた。

彼女たちは鼻と口を押さえ、涙を浮かべながら足早に看守について行った。

そして、看守は収容所の出入り口に辿り着いた。

門番の男に話しかけている。


「特命があった。今より土の民を別の場所に移送せよとの指令が下りたのだ」


門番の男は怪訝な顔つきをした。


「ん?何も聞いてないぞ。それは本当か?」


看守は頷き、懐から不思議な紋章の札を取り出した。


「こ、これはこれは!特務官殿でしたか!どうぞお通りください!」


門番の男はさっと道を開けると、門を開けるレバーを引いた。ガチャンという音と共に、堅牢な扉がギギギと開いたのである。

そこに置いてあったのは、輸送用の大きな馬車であった。馬車には、二人の従者が乗っていた。


「さあ、こちらへ」


従者は一人は人間種の男で、もう一人は赤い髪の人間種の女性であった。

アリアナとアイリスは、馬車に乗り込んだ。すると看守は、彼女たちに言った。


「いいか、ここで大人しく待ってるんだ」


彼女たちは怪訝な顔をした。


すると従者の男が看守に話しかけた。


「残りも連れてくるんだろ?」


看守は答えた。


「ああ、結界はまだか?」


「あと少し。急いでくれ」


看守は頷き、再び収容所の中へ向かった。


しばらくすると看守は、さらに二人の土の民を連れて来たのである。


「これであと6人か…」


すると赤い髪の従者が看守に言った。


「一気に連れて来れないの?」


「ダメだ。二人までの尋問と決まっている。それ以上連れ出すには、もう一人の看守が必要なのだ」


赤い髪の従者は少し苛立っているようである。


そして再び看守は収容所の中へと入っていった。

しかし、今度はなかなか出て来ない。

明らかに従者たちの顔に焦りが見えて来た。

アリアナとアイリスは、従者たちのやり取りを見ていたが、何か様子がおかしいことに気がついた。


その時、男性の従者が言った。


「遅い…もう既に結界は完成している…」


アリアナは呟くように言った。


「結界…?」


そして、赤い髪の女性の従者が言った。


「ダメよ。きっと何かあったのね、私行くわ!」


男性の従者が頷くと、女性はさっと馬車を降り、収容所に向けて走り出した。


髪の毛の赤い女性は、素早く門に近付くと、門番に呼び止められた。


「おい!お前、輸送馬車の従者か?そこで何をしている?」


「お願いです!どうかこちらに来てください!」


門番の男が女に近付いた時、女性はさっと身を翻し、男性の背後へ回り込んだ。その瞬間、短刀を抜き、男性の首を掻っ切ったのである。


「あっ!」


アリアナは声を上げた。そして男性の従者へ向けて言った。


「あなたたちは…一体何者なの!?」


一方、収容所内では、先程の看守が、通路でたくさんの看守たちに囲まれている。看守の後ろには二人の土の民がいた。


「貴様!何者だ!怪しいやつめ!」


「そいつらをどこへ連れて行く!?」


囲まれている看守は、無表情で話し始めた。


「特務官の任務であるぞ?貴様たち、私を止めるということは、王の勅命に反するということと同意になるが」


しかし、周りの看守たちはたじろぐ様子はなかった。


「騙されんぞ!特務官ならば、例の紋章を見せろ!」


“例の紋章“とは、王が緊急に直接命令を下す場合のみに持たされる札で、それはここ、エクソダス収容所のみならず、帝国内ありとあらゆる場所において通用する札であった。それを持つ者は、王からの勅命で動いているという証であり、それに従わない者は、王に歯向かう者とみなされるのである。

看守は懐に手を入れ、紋章の刻まれた札を取り出した。周りの看守はさっとそれを奪い取り、まじまじと見つめた。


「ふはは!これは何だ!?こんなもので俺たちを騙せると思っているのか!?」


すると、看守は表情が変わり、何やら笑い出したのである。


「はっはっは!思ったより利口な奴らだわい!」


その瞬間、看守の口から物凄い勢いの風が吹いた。その風は光り輝いており、囲んでいる看守たちにぶつかった。

息を吐く看守の後ろにいる民は、それが一瞬何なのか分からなかったが、その光輝いている息から物凄い冷気を感じ取ったのである。


「ううっ!さ、寒い!」


その時、周りにいる看守が動かないことに気がついた。動かないというより、凍りついているのである。すると息を吐いた看守は、土の民の方に向いた。


「なにぶんこの姿なものでな。この息ではすぐに溶けてしまう。早く出口へ向かうのだ!」


看守は土の民を引き連れ、出口へと走った。

出入り口前の通路では、何やら騒がしい音がする。


すると、先程の赤い髪の女性従者が、看守たちと格闘していたのである。


「エズィール!心配したわ!」


その女性は、レジスタンス“自由の天地(ランドオブザフリー)“のリーダーの一人、シャーデであった。シャーデは、短刀で看守を数人相手に戦っている。シャーデが言うように、氷の息を吐いたのは看守に変身したエズィールであった。


「シャーデ!とうとうバレてしまったぞ!急ぐのだ!」


「土の民はあと何人いるの?」


「この者たちの他にあと4人だ!」


「とにかく、まず彼らを外へ!」


その時である。

収容所の中から鐘のような大きな音がけたたましく鳴り響いたのである。


アリアナとアイリスは、驚いて収容所の方を見た。


「一体何が起きてるの?」


「分からないわ。看守たちが慌ただしく動いてる」


外から見える僅かな窓からは、何者かが走っているような影が見えた。


「チッ、とうとうバレちまったらしいな!」


男の従者はそういうと立ち上がり、黒い従者のローブを脱ぎ捨てた。そして、手をかざして詠唱しだした。


「あなた…魔法使いなの?」


アリアナはその男に向けて言った。

その男は、アリアナにウインクをし答えた。


「ちっちっち…お嬢さん。俺は“大魔法使い“様だ!」


彼はクァン・トゥー王国が誇る勇者英雄隊の魔法使い、アントニーであった。

すると、収容所の出入り口から、シャーデと看守の姿をしたエズィールが出て来た。後ろには土の民が二人付いている。


「アントニー!まだ中に4人いるわ!」


「チッ!まだそんなにいたのか!早くしてくれ!俺は出て来たやつを倒す!」


すると、収容所の出入り口からワラワラとストリゴイが現れた。


「きゃあぁぁぁ!吸血鬼よ!」


アリアナは恐れおののいた。

すると、アントニーは手刀のような型を作り、ストリゴイに向けて叫んだ。


「スラッシュガンズ!」


すると、アントニーの手からブーメランのような光が無数に現れ、ストリゴイに向けて放たれた。

シュババババという音と共に数匹のストリゴイたちは、一瞬のうちに細切れに切り刻まれたのである。


「す、凄い!」


アイリスは思わず叫んだ。


「行け!今のうちだ!」


アントニーが叫ぶと、シャーデとエズィールは、再び収容所の中に向かった。


エズィールたちは、一目散に土の民が囚われている部屋に向けて走り出した。しかし、行手にはかなりの数の看守たちやストリゴイ、そしてヘルハウンドが待ち受けていたのである。


エズィールは、口から氷の息を吐いた。ストリゴイや看守はみるみるうちに固まり、動けなくなった。しかし、氷の息を逃れたヘルハウンドが襲いかかってきた。そこへシャーデがすぐに身を交わしつつ、短刀をヘルハウンドの首元に突き刺して倒していく。見事な連携である。

そして、彼らは土の民が囚われている部屋へと辿り着いた。


扉を開けると四人の土の民が、体を震わせながら身を寄せていた。


「きゃあーっ!」


「な、何だお前たちは!?」


「一体何が起きてるんだ!?」


シャーデは彼らに出入り口に迎えと叫んだ。


「安心して!私たちは味方よ!あなた方を助けに来たの!」


そして、何とかエズィールたちは、残り4名の土の民を収容所の外へと連れ出すことが出来たのである。


「さあ馬車に乗って!」


「1.2.3…10人!これで全員だな?よし!向かうぞ!」


アントニーがそう言って馬の手綱に手をかけようとした時である。アリアナが突然叫んだ。


「きゃああーっ!」


なんとストリゴイがアリアナを足を掴んでいたのである。


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