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キミ想ウ花束  作者: 桜美 咲蘭
初恋
5/107

5

「フリーズしてないで言えよ。

リピートアフターミー? 超絶イケメン陽様!」

「……え? なんで? 直帰って……」


「めっちゃ流すじゃん!

早めに終わったから飲み行きたいって言われてさ。

どうせお前ら、二人で寂しく飲んでると思って――

連れてきちゃったー! あはー」


西園寺先輩……。

今日はどんな無茶振りされても許します。

感謝しかないです……!


「ごめん、お邪魔するね」


そう言って私の目の前に座ると、

ネクタイをゆるめながら「生ふたつ、お願いします」と店員に。

固まっている私に気づいて、ちょっと首を傾げる。



「ん?」



――ああ、

心臓が痛い。

神様って、本当にいるのかもしれない。


「ちょっと、澪」

「あ、ごめん。びっくりしちゃって」

「お前さぁ、俺と黒瀬の対応の差、激しすぎん?」



カンパーイ。

乾杯の音がジョッキ越しに響く。

口をつけたビールの味が、全然わからなかった。



「なんか今日、キラキラしてるね」

「……え!? き、キラキラ?」

「なんか雰囲気、可愛い」



――か、かわ……!



この人、本当にわかってて言ってる?

演技じゃなくて素でやってる?

だとしたら…この破壊力、危険物指定すべき。


「今日、誕生日なんだってさ」

「あー、そうなんだ。おめでと」

「……ありがとう。も、もう大丈夫」

「え?」


西園寺先輩のニヤニヤが隠しきれてないし、

紗夜は「このチーズおいし〜」とか言って、完全に私を放置してる。


もう、なんかいろいろ満たされすぎて、心のキャパ超えそう。


「あ、そうだ」


ふと何かを思い出したように、鞄に手を伸ばす黒瀬。


「こんなんで申し訳ないけど――はい」


差し出されたのは、一輪の、ひまわり。



「え?」



西園寺先輩の、謎の「え?」に一瞬引っかかった。

なんでひまわり? 持ってたの? とか、もう、どうでもいい。



「今日の白川さんに、似合いそうだなって」

「……ありがとう」


昨日、美容院で髪を整えて、

頑張って選んだ服を着て、

少しでも綺麗に見えたらいいなって、

そんな私に――好きな人が「かわいい」って言ってくれて。

しかも、プレゼントまでくれて。



「え……」

「あー! 黒瀬が泣かしたー!」

「えっ!? ご、ごめん! 俺なんか変なこと……?」

「……あはは! ネジ外れただけ! なんか、もう、嬉しくて!」


ほんのちょっと泣いただけ。

でも、なんだろう。

もう、これ以上の幸せなんて望んだら――バチが当たりそう。

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