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第72話 転生王子、ポーションを合成しまくる

「グゲゲゲ! サア、第2ラウンドダァ!!」


 自らクスリを打って、強化人間と化したダムロス大司教。


「グシャァ――――――!」


 異様な雄たけびととともに、その両腕をブーンと振り回す。


「ぐはぁ!」

「な、なんだこの力は……」


 大司教を取り囲んでいた聖騎士たちが、次々と吹っ飛ばされていく。

 基本もなにもない。ただ単に、子供が癇癪を起して腕を振りまわすかのような動き。


 聖騎士の囲みを突破した強化大司教は、俺たちの方へ凄まじいスピードで迫る。


「迎え撃ちますわよ!」

「ああ、アイリア殿!」

「ん……りょーかいアイリアねえ」


 アイリアの強烈な突きが。

 エトラシアの渾身の斬撃が。

 ティナの強力な攻撃魔法が。


 突進してくる強化大司教に直撃する。


「ギャババババ~~これはウマイなぁ!!」


「な、なんですの!?」


 アイリア達の攻撃を吸収しやがった。


 強烈な突きも、渾身の斬撃も、巨大な火の玉も―――すべて。


「なぁ!! そんな馬鹿な!」

「ん……火球も魔力ごと吸収してるとみた」


「ギョババ~~ラーナのセイスイをベースにした、完成品ダカラナァア!」


 化け物じみた言葉が混ざりつつも、ギョヘヘとほくそ笑む大司教。

 クスリを使用したにも関わらず、意識も残っているようだ。


「おい、司教。ラーナの聖水を使用したのか?」


「そうダァアア。貴重なサンプルだったガァ~~ここまでスゴイとはナァア~」


 どうやら、ラーナが大教会にいた頃に回収した聖水を使用したクスリらしい。


 アイリア達や、フロンド住民、さらには聖騎士たちが猛攻を加えるが、すべての攻撃を吸収し続ける強化大司教。


「ギュハハ~~無意味ダァアア!!」


 愉悦の叫びと共に大司教は大きな拳を振り回して、付近の者を蹴散らしていく。


 なんでも吸収するんだよな……


「だったら、これはどうだ!」


 俺は一本のビンを大司教に投げつけた。

【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】だ。


「グガァ……?」


 その巨体をピタリと止めた大司教。


 巨体を震わせつつも、元に戻るポーションの効果に抵抗して己の姿を維持している。

 次第にその震えは収まっていく。


 ポーションも喰って効果を無効化してやがるのか……


「ギュハハハ~~ごちそうサマァアアア!」


 再び暴走を始める強化大司教。


「うわぁああ~~なんだこいつ!」

「ダメだ、止められない!」

「ひぃいい~~助けてくれぇええ!」


 崩壊をはじめる、フロンド住民戦闘班に聖騎士たち。


「クレイさん……私」


 ラーナが俺の袖をキュッと掴んできた。

 もう一方の手には【|ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】が握られている。


「ギュハハハハハ~~素晴ラシイィ! ラーナぁああ~オマエノ聖水はサイコウダァアア! これが量産デキレブゥア~~ムテキノグンタイがデキルゥウウウ!!」



「……ぅ」と締め付けられるようなラーナの声。



 俺は袖を掴むラーナの手をそっと握って、大司教に視線を向ける。


「おい……サイコ司教」


「ギュハァ~~なんですカァ~さっさとその最高のドウグをヨコシヤガレェエエ!」


 ラーナの震える手をギュッと握った俺は、言い放つ。


「何度も言わせるな、ラーナの聖水をそんなクソみたいなことに使うんじゃねぇ!」


「ダッタラァ~~ドウスルンですかぁ!!」


 どうするか?


 俺が出来ることはたったひとつだけだ。



「ポーション作るに決まってんだろ」



 俺は大量に作られた【|ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】を一本手にして、

 ラーナが握る【|ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】に合わせた。


「く、クレイさん……」

「大丈夫だラーナ。俺に任せろ」


 俯いていた顔を上げたラーナは俺をジッと見つめた。


「うん……」


 先ほど投げた【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】は効果がなかったわけではない。完成された大司教のクスリに打ち勝つには――――――



「より濃度の高いポーションを作ればいい!―――【ポーション合成】!

 【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×|ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】!」



 2つの小瓶が光の中で融合する。


「合成完了―――【ポーション(超聖浄化再生)《メガホーリーリニューアル》】!」


 眩い青の光を放つ小瓶が完成した。


 だが、こんなもんじゃねぇ。


「ラーナ、まだあるよな?」

「クレイさんいっぱい余ってますよ~~」


「よっしゃ、ならどんどんいくぞ」

「ふふっ。はい、クレイさん!」


「合成祭りだぁああ―――【ポーション合成】ぇえええ!

 【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】×【ポーション(聖浄化再生)《ホーリーリニューアル》】―――――――――!!!」



「合成完了―――【ポーション(究極聖浄化再生)《アルティメットホーリーリニューアル》】!」



 さあ、サイコ司教。


 俺のポーションが勝つか、お前のクスリが勝つか―――



「――――――勝負だ!」



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