第45話 3人目の住人、女騎士エトラシア。4人目の住人、ユリカ。5人?目の住人(ペット)、フェル
「ふぇるちゃんまたね~」
「わんわん、さよなら」
「キャンキャン!」
「ふふ、2人とも気を付けて帰るんだよ~」
「は~い。ラーナおねえちゃん」
ケイナとライナが、かわいらしい小さな手を振って店を出て行った。
フェルは見た目が子犬なので、ペットが増えた程度にしか思われていない。
まあ、あえて正体を言う必要もないか。
その小さくてモフモフな物体は、すでにポーション屋敷のマスコット的なポジションにつきつつある。
ケイナ達のような子供にも人気だ。
久しぶりに開店したポーション屋敷だが、既存の回復ポーションも売れたし、固定客のマットイさんなどに渡すポーションも売れた。
その他に増やした商品ラインナップとしては、魚の目ポーションとリラックスポーションが良く売れた。
リラックスポーションについては、エトラシアのものより効果は落としてあり、少しばかりのリラックス効果がでるようにしてある。
ティータイムで、心が落ち着くみたいなもんだ。
にしても、これでいいのだろうか?
「ああぁ……今日も終わりかぁ……これ大丈夫か?」
「えっと、なにがですかクレイさん?」
「いや、ポーション足りてるか? ラーナ」
「店内をみたらわかりますよね」
「マジか……あれだけ増やすとみんなに豪語したのに……足りなかったか」
「全然足りてますよ!?」
「え? そう?」
「どんな顔してそのセリフが出るんです?」
「なあラーナ。晩飯抜きで、作り続けた方がいいだろうか?」
「大丈夫です! まったく足りてます! だから店内を見てください!」
「なんか品薄なかんじがする棚だな……」
「クレイさん、目を治すポーションが必要ですね……もうポーションの瓶で埋まってます。棚っていうか屋敷自体が」
「え? そうか?」
「じゅうぶんですよ。というか供給過多です。あれだけ売れたのに、在庫増えてますから。クレイさんは自分が思っているよりもた~~~くさんポーション作りました。今日一日凄く頑張りました。さあ、晩ご飯の準備ですよ」
パンパンと手を叩いて、俺の背中を押すラーナ。
そうか~~ちょっと物足りないが今日はこれで良しとするか。
◇◇◇
夕食も済ませて、のんびり風呂を楽しんだ俺は寝室のドアを開けた。
「わ~い、クレイさんきた~~」
「ご主人様、はやくです」
きたじゃないんだが。
はやくじゃないんだが。
当然のごとく俺のベッドに居座る爆乳聖女とロリっ子メイド。
そして、ベッドの脇で控え目に上目遣いでこちらを見てくる元貴族令嬢。
「クレイ様、お待ちしておりました」
お待ちしておりましたじゃないんだが。
「今日も一緒に寝るのか? ラーナ、リタ」
「「もちろん」です!」
即答かよ。
「ユリカ、この2人のノリに合わせなくていいんだぞ。ちゃんとお前たちの部屋も用意しただろ」
エトラシアとユリカ姉妹だが、このポーション屋敷に住むことになった。
というか、当然のように帰ってきて、当然のように夕飯食ってたからな。
ユリカいわく「もうどこにも行くところがないので、住まわして欲しい」とのこと。
まあ、本人がいいなら好きにしろと俺は言った。
エトラシアいわく「くっ……わたしの肌を見ておきながら……もうお嫁にはいけないんだぞ」とか意味不明な理由だったので、「いや、見てないけど」と言っておいた。
そして、ユリカとエトラシアの部屋もひとつづつ用意した。
だって24部屋もあるんだもん。余りまくりだよ。
にも関わらずだ。
何故ゆえに俺の部屋に集合しているのだ。
人口密度おかしくない?
「はい……でも夜は……そのまだ怖くて」
まあオークに襲われて。性的な被害は無かったにせよ、心身共にボロボロにされたからな。
心の治癒はそう簡単ではないだろう。
「ユリカがそれでいいなら、もう何も言わんが」
「はい! 大丈夫ですクレイ様!」
「ちなみに俺は床では寝ないぞ。一緒のベッドってことだからな」
「はい! よろこんで!」
よろこぶんかい……
そのカールしたかわいらしいくせ毛を揺らして、クスリと微笑むユリカ。
この子もラーナに劣らない美少女だからな。もっと男に警戒心を持った方がいいと思うけど。
すでに毛布にモゾモゾと潜航を開始しているユリカ号には、何を言っても無駄っぽい。
こうしてお決まりとなりつつあるシーンがひと段落したので、ランプを消して就寝する俺たち。
――――――キィイイ
よ~~し、ドアのあく音きたぁ。
これもお決まりシーンとなりつつある。
ガサガサ―――んん? なんかモフモフがのってきた。
「クゥ~~ン」
「なんだ、フェルか」
「わぁ~~フェルちゃんも一緒だぁ~」
「フェル、おまえはリタに立派な犬小屋を作ってもらっただろ」
「キュゥゥ……」
「一人だけ庭は寂しいのか?」
「キャン!」
「まあ子犬バージョンだと番犬にもならんか……しゃーないな、適当にそこらで寝ろ」
「キャンキャン♪」
尻尾をフリフリしてラーナの服の中に入っていく、フェル。
おい、さすがにそれはマズいだろ。
「やん、フェルちゃんくすぐったい~~」
「クゥ~~ン」
「いいよ、いいよ。一緒に寝ようね~」
「キャン♪」
服の中に入ったフェルにより、ラーナの膨らみが三連峰となった。
まごうことなき名山だ。
「良かったなフェル。じゃあ寝るからな」
「キャンキャン♪」
なんだろう、最近フェル語が少し分かってきた気がする。
さあ~~明日に備えて寝るぞ~~
――――――キィイイ
はい、2回目のきたぁ!
もう残りの住人なんて、1人しかいない。
「クレイ殿、こんな時間にすまない。毛布をもう一枚欲しいのだが……!?」
部屋の異変を感じたのか、言葉が止まる女騎士。
「―――だ、誰かいるのか!」
ランプをつける女騎士。
「な、な、――――――なにをやっているんだ!」
それはこっちのセリフなんだが。
まあ、この状況だとそういう反応か。
「ああ、この子たちはもう俺の言う事を聞かんのだよ。気にするな」
「き、気にするなって……テントで繰り広げられたあれは、お外のたまたまイベントでは無かったのか!」
「え? ああ、まあ毎日こんな感じだ」
「なあぁあ! 常時行われているだとぉおお!!」
鼻息を荒くして、こちらに迫って来る女騎士
いや、落ち着いてくれ。ちょっと怖いぞ。
「くっ……ユリカには見せられないな。こんな破廉恥なベッド」
「おいユリカなら……」
「ユリカはダメだぞ! いくら命の恩人のクレイ殿と言えども!」
やたらと、興奮する女騎士。
「えっと……お姉さま」
そこへ、毛布の中からひょこっと顔を出すユリカ。
「あああ! 妹にはすでにクレイの毒牙が……」
なにもしとらんちゅーに。
「くっ……乱交王子め……好きにするがいい」
だから、おまえまで入ってくんなよ……
「エトラシアさん、大丈夫ですよ~~。クレイさんってこれだけ美少女まみれなのに全然襲いませんから~たぶん興奮するポイントが一般人と違うんだと思います!」
デカパイ聖女が自慢げにその膨らみを揺らしながらほざいた。
くそ、そんなに言うなら変態王子の本領を発揮してやろうか。
言っておくが、俺とて19歳の健全な男子なんだからな。
などとわちゃわちゃしていると。
すでにエトラシアも毛布の中に、すっぽりと入ってしまった。
狭い……
1人用のベッドに何人のってるんだよこれ。
「わぁ~~い。みんなでおやすみですね~やた~~」
ラーナがキャッキャと騒いでいる。
まあ……いいか。
「よし、もう寝るぞ」
「「「「「お休みなさ~い」」」」キャンキャン」
かくして2人と一匹、俺のベッドの住人がまた増えたのであった。
「そうだリタ。すまんがもう一部屋つなげて、ベッドをでかくしてくれ。こんなデカい屋敷でこんなギュウギュウなのは意味わからん」
俺は腹の上にのっているリタにお願いした。
「はいです、ご主人様。最高のベッド作るです! みんなで寝るの楽しいです!」
ロリっ子メイドは、にこやかにOKを出すのであった。
最後にめっちゃ疲れたな……さあ、寝よう。
◇◇◇
目を覚ました俺。
知らない天井だ……
いや、なんか見たことあるような気もするか?
そこへズザァアアアアと何かがスライディングしてきた。
うわぁ……でたぁ……
「頼むからゆっくり寝かしてくれ。女神さま……」




