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第4話 戦闘ポーションの力

 俺が飲んだ黒い小瓶は【戦闘ポーション(瞬間身体能力アップ)《インスタントパワーブースト》】だ。


 その名の通り身体強化の効果があり、一定時間一気に自身の戦闘力を底上げしてくれる。

 ちなみにこんなポーションは俺の知る限りこの世界に存在しない。

 俺オリジナルのポーションだ。


「さて、残り2人だな。もう諦めて帰ったらどうだ? しつこいおっさんは嫌われるぞ」


 俺は残った2名に威嚇するように言い放つ。


「ぬぅ……ふざけおって。なんとしても聖女を確保するぞ、タイナー! 援護しろ!!」


 聖女? え? いま聖女て言った? このおっさん。


 てことは、この子が……


 思わぬ言葉に俺の思考が少し揺れる。


 そこへ火球が数発、俺めがけて飛んできた。


 タイナーてやつの火魔法か!


 軸足に力を入れて地を蹴り、連続火球を躱した先には―――


「―――ぬぉおおお!!」


 隊長と言われた男が剣を振り被り、渾身の一撃を放ってきた。


 なんとか自身の剣で受け止めるが、火球回避直後で体勢が悪く踏ん張りがきかない。

 受けた衝撃で、剣が俺の手から弾かれた。


「さぁ~~これで終りだ!」


 再び剣を構えなおす隊長。


 俺は大きく息を吸って―――



「――――――うぉおおおおおおおおお!!!」



「ぐはぁああ!! ぎ、ぎざまぁ……なにを……」


 剣を落とし、両耳を抑えて苦悶の表情で声を漏らす隊長。


 大声を出したんだよ。


 戦闘ポーションで強化された俺は、肺活量も人間離れしちゃってるからな。


 俺は両耳を抑える隊長のどてっ腹に、一発重たいパンチを打ちこむ。


「これで4人目っと……さて。あとはあんただけだけど?」


「た、隊長……ひ、ひぃいいい……ば、化けものだ……」


 最後の一人に視線を向ける俺。もうほとんど戦意喪失してるけど。



「くそ……退却だ……タイナー魔法発動せよ……」


「は、はいぃ隊長――――――緊急離脱風魔法スクランブルトランスウインド!!」



 魔法発動とともに、凄まじい風が5人を浮かせて吹き飛ばしていく。


 うわぁ……えげつない退却しやがる。


 あれ絶対捨て身の退却技だぞ。その場の離脱は可能だろうけどさ。


 ともかく黒づくめたちは吹き飛びながらも、撤退していった。


 ふむ……。


 でも……なんか風で移動ってのは案としてはアリかもしれん。

 あれをポーションで再現できないだろうか。

 うわぁ……作りたくなってきた。ウズウズしてきた。また作りたいリストが増えてしまうけど。


 素材はなにを使う? 風見草がベースになりそうだけど。いやそれだけじゃダメだ。


「あ、あの……」クイクイ。


 あと、安全性を考慮しないとな……回復させつつみたいな効果も付与しないと。となると組み合わせは……


「あ、あの!」クイクイ。


 そして味も重要だ。ここはゆずれない部分だからな。


「―――あの!!」グイグイ!


「んん? もしかして、なんかいい案あるのか! 是非聞かせてくれ!!」


「ふぇえ!? ご、ご、ごめんなさい!」


 あ。


 しまった……この子のこと忘れてた。


 いかんいかん、ついポーションの事になると我を忘れてしまう。

 美少女の袖クイクイに即反応しないとか、ダメダメじゃねぇか。


「あっと……ごめんよ。大丈夫だった?」


 いや、めっちゃ今更だけど。


「は、はい。助けてくれてありがとうございます。わ、私、ラーナと申します」


 どうやら無事なようだ。修道服はかなりボロボロだけど、外傷はそこまで無さそうだし。


 ところで……


 この子美少女がすぎないか? 色々あってしっかり見れて無かったけど。

 綺麗に澄んだ青色の瞳と、同じく鮮やかな青い髪が特徴の少女。歳は15らしいが、何か特別な力が秘められているような雰囲気を纏っている。

 あと、華奢で小柄な体型に不釣り合いな2つ膨らみが凄い……いや栄養が全部そこにいってんのか。


「あ、あの。良ければお名前を教えて頂けません……か?」


 おっと、ヤバイ。

 この子の2つが巨峰すぎて思わず凝視してしまった。


「俺はクレイだ。敬称とかいらんからな。よろしく」


「クレイさん……私を救ってくれた人……」


 ぼーっと俺を見てくるラーナという少女。なんか頬が赤いけど。


「まあなんだ。行きがかり上助けただけだから。あまり気にするなよ」

「そ、そんな……いくらお礼をしてもしきれませんし。そ、それにすっごくカッコ良かったです……」


 ほう、カッコ良いとな。普通なら「後半ボソッとなにかを呟いたようだが」とかで流されるシーンだが。

 俺はいま、戦闘ポーションで聴力もギンギンなのよ。


 よって全てが、一語一句聞き取れました。


 美少女から褒められるのはなんら悪い気はしない。

 ご褒美としてありがたく頂戴しておこう。


「クレイさんって、凄い魔法を使うんですね!」


「いや、俺は魔法は使えんぞ。魔力も生まれ持ってゼロだからな」


「え? 魔力ゼロ? でも……?」


「ポーションだよ」



「へぇ!? ポーション??」



 ラーナの声が裏返り、綺麗な青い目を大きく見開いている。

 予想通りのリアクションだよ。


 俺は女神からもらったチートポーチから、黒い小瓶を一つ取り出した。


「ふぇ! なんですかこれ? 黒いポーションなんて見たことないです!」


「俺が作ったからな。こいつが戦闘ポーションだよ。これで身体強化しているんだ」


「ぽ、ポーションで身体強化!?……凄い。ってことは私も飲んだら」


「―――それはダメだ」


「で、ですよね。こんな高価そうなもの」


「違う。こいつは素材さえあれば、ある程度の量は作れる」


 金の問題じゃない。

 こいつはチートポーションに見えるのだが、そんな都合のいいことばかりではない。


 身体への負担が大きすぎるんだ。

 そりゃそうだ、たった1本で人ならざる力を引き出す。だがその力は無から引き出しているわけじゃない。

 その人が持つ身体機能を無理やり爆上げしているんだ。


 当然ながら体に良い訳がない。

 強化すればするほどその負担は大きなものになる。

 だから、めったやたらと使うわけにはいかないんだ。


 俺はS級冒険者を目指しているわけでも無ければ、勇者になりたいわけでもないし戦闘狂でもない。

 なのでこの力は必要最低限でしか使わないし、他人には使わせない。


「俺が理想とするポーションの効果は治すだ。でも戦闘ポーションはその逆をする」


 そう、ポーションとは本来は人を癒すものなんだ。


 これは俺が定めたルールだ。


「ふぇ……じゃあクレイさんは私の為に無茶したってことですよね」


「そりゃ俺にとって必要な事だからな」


「え……それって……」



「――――――アキャっ!!」



「ええ! な、なんですか!?」


 そう、この戦闘ポーションにはもう一つ欠点がある。

 ぶっちゃけ俺はこっちの方が嫌だ。


 今回は一本で済んだし、奥の手も使わなくて済んだけど。それでもやってくる。

 マジで勘弁して欲しい。


 そう……ポーションの効力が切れた。


 ポーションが切れた直後にやって来る強烈な痛み。無理した反動でもある。これはポーションでは治せない。なぜならむりやり体を必要以上に活性化していたからだ。



 これ、めちゃくちゃ痛いのよ……もう筆舌に尽くしがたいぐらい。



「てことでラーナ。ちょいと耳塞いどいてくんない? いまから情けない声出すから」

「は、はい!頑張ってくださいクレイさん! 私、何もできないけど見守っています!」


 いや、できれば見ないで欲しいのだけど。

 だが、痛みは待ってはくれず……


 そこから数分間、俺の悶絶ショーが開催された。


 これを我慢とか……できるかい! 


 だがなんとか耐えきったぞ……


「クレイさん! さっきのイケメンカッコ良いお兄さんから一転してダサダサな声でまくりでしたけど、頑張りましたね! エライいです!」


 いや、耳塞げって言ったよな。


 なに聞いちゃってんのこの子。すっごくハズイじゃないか。



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