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第31話 転生王子、4人の美少女に潜り込まれる

 エトラシアの妹であるユリカを救出した俺たちは、野営の準備をしていた。


 ユリカは俺が作った【ポーション(超生命力回復)《メガライフパワーチャージ》】によって、完全回復していた。

 一人で歩けるし、会話も普通にできる。


 彼女の顔立ちはまだ少しだけ幼さを残しながらも、姉と同じく整っておりどこか清純な美しさを漂わせていた。

 肩にかかる程度にのびた髪は、姉と同じ赤髪でところどころカールしている。

 背丈はラーナより少し高く、歳は同じく16だそうだ。


 瞳も姉と同じ赤だが、エトラシアの燃えるような激しい赤とは対照的で、ユリカの瞳はやわらかくて優しい赤といった感じだ。立ち居振る舞いはしっかりしているが、所作が控え目な美少女である。


 ふぅ、最高のポーションを作ることができたな。


 俺は姉のエトラシアと談笑するユリカを見て、心地よい満足感を感じた。


 あとは、アフターケアだな。


 外傷や体力は完全回復したのだが、心はすぐにはいかないだろう。

 彼女には、リラックス効果がプラスされた回復ポーションをしばらく飲んでもらうことにした。


 まあそのポーションは帰ったらまとめて渡すとして、今はテントだな。


「ご主人様、お願いしていた一式を取り出してほしいです」


「よしリタ。ここに全部出しておくぞ」


 俺はリタから預かっていた機材一式をポーチから取り出した。

 今回は野営の可能性があったので、リタにあるものだけでも一式準備してくれとお願いしておいたのだ。


「にしてもこれがテント?……か?」

「ほんとだぁ~リタちゃん、これはなぁに?」


 俺たちは地面に置かれた四角い箱を見て、疑問の声をあげた。


 まあ、急な話だったからな。

 テントなんてそうそう都合よくないだろうし。


 俺とラーナの疑問に、リタは満面の笑みで答える。


「ご主人様、ラーナ、テントここにあるです!」


 リタがスイッチらしきものを押すと―――


 四角い箱が展開して、骨組みが立ち上がり布が広がっていく。


「うおぉ……すげぇ……」


「リタ特製の魔導テントです!」


 あっという間にその場にテントが出来上がってしまった。


 やべぇ……なんかかっこいい。


「ふぇえ~~リタちゃん天才ですぅ~」

「り、リタ殿……これは魔法なのか??」

「わぁ~~大きなテントですね!」


 ラーナとエトラシアにユリカが、興奮気味にリタのテントに入って行く。

 うぉ~俺も入るぞ!


「ひゃぁ~中は明るいですぅ~」

「ふあっ! リタ殿あったかいぞ!」

「すごい。床がフワフワしてます。ゆっくり寝れそう!」


 みんなの驚きと笑顔に、満足気な表情のリタ。


「これはリタが作ったテントなのか? 本当に凄いな」


「ハイです、ご主人様。生前に作ったのを引っ張りだして、急いでメンテナンスしたです」


 なるほど、リタはリフォームの腕だけでなく魔道具、いや魔導家具の作成の才能もあるようだ。


「テント内は魔導ランプで照明の明るさ調整ができるです! あと布地に冷暖房機能を付与しているので、冬は温かく、夏は涼しくなるです! それから底は整地機能がついているので、ある程度平らにならしてからテントが設営されるです! あ、あと、魔導熱コンロもあるのでお料理もできますです! さらに床には防寒材兼クッションとして~~~」


 ふふっ、楽しそうにしゃべるな。


 やはり好きな事をやってる奴の顔はいい。


「にしてもこれだけの装備だと、かなりの魔力が必要なんじゃないか?」


 魔道具である以上は、動力は魔力のはずだ。

 しかしこれだけの充実機能を保つとなると、相当な魔力の充填が必要だろう。


「ご主人様、大丈夫です。ラーナがいるです」


 テントの中に入ると、ラーナが動力源の魔石に魔力を流し込んでいた。


「リタちゃん、メモリいっぱいまで入れましたよ~」

「ハイです、ラーナありがとうです!」


 なるほど、底なし魔力の持ち主がここにいたか。


「むふふ~~ラーナでよければいくらでも魔力あげますよ~~でも~」


 チラリとこちらを見たラーナが寄って来た。


「クレイさん……欲しいです」

「ご主人様、リタもそろそろ……欲しいです」


 上目遣いで俺にすり寄る美少女2人。


「ら、ラーナ殿もリタ殿も、な、なにを言ってるんだ!?」


「クレイ様、わたしも……その……欲しいです」


「ユリカまでなにを言い出すんだ! た、たしかにクレイ殿は命の恩人だが……それとこれは別問題だぞ!」


「俺のが欲しいのか?」


「なっ、クレイ殿まで! 貴殿に見境はないのか!」


 俺はポーチからポーションを取り出して彼女たちに渡す。


「「ぷはぁ~~ああ~~生き返るぅうう!」です!」

「ふぅ……すごく美味しいです……」


 ラーナとリタはお決まりのアクション、ユリカは少し遠慮気味にポーションを飲み干した。

 そしてさっきから騒いでいた女騎士は、顔を赤くし始める。


「な、なんだ……ポーションのことだったのか」


「いや、それ以外になにがあるんだよ」


「くっ……! ワタシだけ仲間外れとか酷いぞ、クレイ殿!」


 いや、さっきからおまえはなにを怒ってんだ。

 そもそもエトラシアはポーション必要ないだろ。


 あ……まてよ。


 この女騎士にも必要かもな。

 ま、帰りの道中で色々考えてみるか。




 ◇◇◇




 食事を簡単に済ませた俺たちは、就寝準備に入った。


「わぁ~い。ふわふわですぅ~」

「これがテントなんて信じられないですね」


 ラーナとユリカが、キャッキャウフフとはしゃいでいる。

 外のお泊りとかでテンション上がるやつらか。


「よし、みんなもう寝るぞ。明日も早いしな」


「「「はぁ~い」」です」


 モゾモゾと毛布に入る美少女たち。

 ちなみに俺は別毛布だ。まあ流石に一緒はマズいだろう。


 エトラシアは見張りとか言って、テントの外にいる。

 リタの魔道具である魔物警戒装置を外に設置したから、まあ大丈夫なんだが。

 あと、俺の気配察知もある程度有効だしな。深い眠りで無ければ、魔物の接近に気づくことができる。


 本人も飽きたら寝に来るだろう。


 さて、俺も寝るか。今日は一日頑張ったよ。



 …………ゴソゴソ



「おい……」


「てへぇ~バレちゃった~~」

「気付かれたです」


 ラーナとリタが俺の毛布に入ってきた。


「たまには一人で寝かしてくれよ」


「だって~~いつもと違うと寝れないんだもん」


 16歳の美少女が「寝れないんだもん」ってなんだ。


 フロンドに来た初日に潜り込んできて以来、この2人はなにかと理由をつけて俺のベッドに入って寝るようになった。もう最近は怒るのも面倒くさくなってしまったが。


 リタなんかすでに定位置の俺のお腹の上に乗っている。

 まあちっこくて軽いからいいんだが。そしてラーナは俺の横。


 それから……



 あと、もうひとつゴソゴソ気配がするんだが!?



 そこへテントへ人影が入って来た。


「なっ! く、クレイ殿! 貴殿はやはりラーナ殿たちを力づくで……!」


 うむ、やはり勘違いしたか。この女騎士。

 まあさすがにこれはエトラシアでなくてもちょっと引くかもな。


「ワタシたち姉妹も狙っているのだろう?

 くっ……だが、クレイ殿には恩がある……す、好きにするがいい!」 


 はい? 


 なに言ってんだこのポンコツ女騎士。


「妹よ……すまない……ワタシが不甲斐ないばかりに……って! ユリカぁ? なんでおまえまでクレイ殿の毛布に入ってるんだ!!」


 知らんがな。勝手に入ってくるんだから。


「おい姉よ、ユリカを連れていけ。こんなに密集してたら暑くてたまらん」


「くっ……妹を人質に取られては……このゲス王子め!」


 いや、人の話を聞けったら。


「いいだろう、ワタシを蹂躙するがいい。だが妹には手を出さないと約束してくれ」


 ガシャガシャと鎧の音を響かて、ゴソゴソと不穏な動きを始める姉のエトラシア。


「おい、なんで入ってくるんだ?」


「わ、ワタシも入らせてもらおう、この体で妹の盾となるのだ」

「おい! やめろ。おまえはさっきからなにを勘違いしてるんだ?」


 グリグリと強引に毛布に入ってくる女騎士。


「いてぇ、鎧のまま入るんじゃねぇ! ゴリゴリあたるだろうが」


「ぬ、脱げと言うのか……くっ……どこまでも卑劣な、だが甘んじてうけよう」


 うわ……おまっ……


 胸当てを取り外したエトラシア。


 なんとかなりのモノがバルルンと飛びだした。


「凄いな……鎧で無理やり押し込めてたのか」


 これはラーナのバルんといい勝負だぞ。なに食ったらこんなデカくなるんだ?


「あ、アンダーウエアまで脱げと言うのか!」


 言ってねぇよ。


 その後もギャーギャー騒ぎまくった女騎士エトラシアであったが。


「ふふ~~寝ちゃいましたね」


「お姉さま……」


 ずっと張りつめていた緊張の糸がようやく切れたんだろう。


「エトラシアさん、幸せそうな顔してるです」


 たしかに、至福の寝顔だな。


 ということで、俺の毛布に何故か美少女4人が入ってきて落ち着いてしまった。


 まあ……いいか。


 もう気にせず寝ようっと。



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※本作はカクヨムにて先行公開中です。


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