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第29話 エリクサーを超えるポーション

「クレイさん、ユリカちゃんを救うって……まさか!?」

「ご主人様、もしかしてやるですか?」


 当たり前だ。


 俺がやることなど、ひとつしかない。


「そうだ、ポーション作るぞ!」


「く、クレイ殿。ポーションってアイスオークを倒した時のあれか?」

「ああ、俺はポーションをその場で作ることができる」


「そ、そうなのか。しかしポーションでは妹は……」


「だから心配するなと言ってるだろ」


「そうだったな……すまない。ワタシはクレイ殿を信じると決めたから……」


 そうは言いつつも、不安の表情を隠せないエトラシア。

 その綺麗な赤い瞳には消え切らない黒い影がチラついているかのうようだ。


 まあその気持ちはわからんでもない。

 あとは結果で安心させるしかないな。


 俺の心の奥底からふつふつと湧いてくる感情。


 この顔を変えてやると思うと、ますます燃えてくるぜ。


 さて、ユリカを救うポーション作成に入るわけだが。


 ユリカの状態からして、俺の手持ちの【ポーション(体力回復)】では効果が足りない。


 彼女の体力は尽きかけているし、オークに殴られたことにより内臓器官の損傷、そして外傷もかなり深刻だ。

 それに大量のポーションを飲む力も残ってはいないだろう。


 となれば、一本のポーションで全てをまかなう必要がある。


 まずは―――


「ラーナ、聖水だ。グッとやるやつ、いけるか?」


「はいっ! いけますよぉ~やった聖女の出番だぁ。クレイさん、あれくださ~い!」


 両手をこちらに差し出すラーナ。

 俺は【ポーション(魔力全回復)《マナフルリチャージ》】をラーナに渡した。


 即座にクピクピと飲み干すラーナ。



「ぷはぁ~~すっきりぃい~これで完全フル充電状態ですぅう~~いきますよ~~


 ――――――ぐっ……くぅううう~~」



 ラーナの手のひらから流れ出す聖水が、より強く青の輝きを帯びはじめる。

 深い色味を帯びながらも透き通るよううな透明感ある聖水。「神青の聖水」だ。


「ふはぁ……はぁ……はぁ……で、でました~」


 肩で息をするラーナ。やはり「神青の聖水」を出すのは相当な負担がかかるようだ。


「ラーナ良く頑張った。休んでいていいぞ」


 よし、メイン素材はこれでOKだ。


 あとは体力回復草を加えて……



「【ポーション生成】!

 ――――――【ポーション(聖体力回復)《ホーリースタミナチャージ》】!」



 光の中から現れた小瓶。

「神青の聖水」がメイン素材である最高の体力回復ポーションだ。


 だが、これだけでは駄目だ。まだ足りない。


 次の工程だな。


 俺がポーチをさぐっていると、エトラシアが近づいてきた。


「クレイ殿、ワタシに手伝えることがあればなんでも言ってくれ。現状なにも役立ちそうにないが……」


 奥でへたっているラーナをチラリと見て俯く女騎士。

 顔にかかる綺麗な赤髪が涙を隠し、僅かに噛んだ唇を震わせてその声は今にも消え入りそうだった。

 妹のために何も出来ない自分が歯がゆいのだろう。


 だが、それは違う。


「何を言ってるんだエトラシア。これを見ろ」


「え? それは……たしかワタシの鞘についていた草……?」


 そうだ。不滅草(ふめつそう)だ。


 繁殖能力に乏しく個体数が圧倒的に少ないS級の素材だ。その変わりに、ちぎってもすぐに元に戻る驚異的な再生能力をもつ。大量に子孫を残すのではなく、個体強度を高めて少数精鋭で生き残るという進化を遂げた薬草だ。


「こいつがなければ、俺のポーションは完成しない」


「そ、そうなのか……クレイ殿」


 俺はエリクサーを超えるポーションを作ったことが無い。理論上は可能だと確信していたが、素材が集まっていなかった。


 そう、この不滅草(ふめつそう)が無かったのだ。


「エトラシア顔を上げろ。おまえの持って来た素材が妹を救うんだ。じゅうぶん役に立っている」


「うっ……そうか……ワタシでも役に立ったのか」


 たりめぇだ。その顔を変えてやるさ。


 さあ、次のポーションいくぞ!


 ・俺の自家製ポーション水

 ・魔力回復草


 そして、エトラシアの持って来た

 ・不滅草(ふめつそう)


 これらを使って―――



「【ポーション生成】!

 ――――――【ポーション(再生力活性化)《リジェネブースター》】!」



 不滅草(ふめつそう)というレア素材がメインのポーション。

 主成分である再生能力をフルに活かした一品だ。


 こいつを作ってみたくてしょうがなかったが……ようやくできたぜ。


「クレイ殿、これで完成なのか? その2本のポーションを妹に飲ませれることができれば……」


「まだだ」


 最後の仕上げが残っている。


「すぅ~~~」


 俺は大きく深呼吸をして、精神を統一した。



「―――【ポーション合成】!

 【ポーション(聖体力回復)《ホーリースタミナチャージ》】×【ポーション(再生力活性化)《リジェネブースター》】!」


 2つのポーションが光の中で融合する。


「合成完了―――【ポーション(超生命力回復)《メガライフパワーチャージ》】!!」



「こ、これが……クレイ殿」


「ああ、エトラシア」


「妹を救ってくれるのか……」



「そうだ。エリクサーを超えるポーションだ」




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