表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/81

第19話 転生王子、絡んだきたチンピラにポーションずぼっ!する

 ガラの悪い4人の男たちに絡まれる俺とラーナ。


「ば、バッドさん。その、まだお金の用意ができてなくて。ら、来週には必ず返しますんで~」


 先程口を挟んできた男が、ビクつきながら逃げて行った。

 このバッドという男に金をかりているのか?


「ボスっ! あいつまた逃げやがった。追いますか?」

「いや、来週かえっすつってんだから待ってやれ。まずはこの新顔たちの教育からだな」


 待つのかよ……


 バッドと呼ばれた男がズイっとこちらに寄ってきた。


「おい、誰に断ってこんなところで商売してんだ?」


 ふむ……


「歳は20代前半ってとこか。背丈は175。体格はそこそこ良しと」


 いいぞぉ~モニターとして文句なしだ。


「ああ? おまえ何ブツブツ言ってんだ? ちゃんとバッドさんの質問に答えろや」

「おまえ、バッドさんを舐めてんのかぁ? 俺たちは10年前からこのしまを牛耳ってるんだよぉ」

「そうだ、バッドさんはなぁ。孤児だった俺らを集めてしっかり食わせてくれてんだよ!」


「へぇ~あなたけっこういい事してるんですね? 私、見た目で判断しちゃうとこでしたぁ」


 ラーナが怯えた顔から一転、興味深そうにバッドと呼ばれた男をマジマジと見る。


「バッドさん、こいつら完全に舐めてますぜ。そうだ、バッドさん例のやつ見せてくださいよ!」

「おお、そりゃいい。確実にビビりますぜ!」


 取り巻きたちに持ち上げられて、渋々と言った感じで懐からナイフを取り出したバッド。


 バッドは、そのナイフをチロチロと舐めだした。

 が、舌を切るのが怖いのか、かなりビビりながらのチロチロだ。


「ふぇ? おなかすいてるんですかぁ?」


「ちげぇ~よ! ナイフ舐めるぐらい好きってことだよ!」


「あ、だからお腹空いてるんですね?」


「バカ野郎! ナイフが好きってことはヤバい奴ってことで普通ビビるだろ! 空気読めよオンナ!」


 小首を傾げて、ぱちぱちと瞬きをするラーナ。

 残念ながら聖女様には効果がなかったようだ。


「ちっ、調子狂うな。まあいい、最初の質問に戻るぞ。おまえらここで何やってんだ?」


「ポーションの販売ですよ~瘴気に効くポーションです」


 ルーナは両手を腰に当てて得意そうにその豊満な胸を揺らす。



「「「ギャハハハ~~」」」



「な、なにがおかしいんですか!」


「ははぁ、オンナ。ウソつくならもっとましなウソをつけよ」


「ウソってなんですか!」


「ああ? 瘴気に効くポーションなんてないんだよぉお!」

「このけだるい感じはなぁ。フロンドに住むなら誰も逃げられねぇんだよ!」

「そんなポーションがあればバッドさんの妹さんだって……」


「で、でも。クレイさんのポーションは違うんです!」


「はあ? なにが違うってんだ……」



「「「「―――そんなもんがあるなら飲ませてみろってんだ!」」」」



 男たちの見下すような笑い声がその場に鳴り響いた。


 たしかに、市販のポーションには無いな。


 だが―――


 俺はラーナの肩をつかんで下がらせた。


「ラーナ、あとは俺に任せろ」

「クレイさん? まさかとは思いますけど、ワクワクしてます?」

「大丈夫だ」


「えっと、その顔……凄く嫌な予感がしますよ!?」


 ラーナの言葉には構わず、俺はズイっと男たちの前に出る。


「なんだこいつ? やる気か?」


 バッドがナイフを俺に向けてきた。


「素人がナイフなんか持つな」


 俺はスッとバッドの間合いに入る。

 バッドは間合いに入られたことにすら気付いていない。やはりクソ素人か。


 パンっとバッドの手を払う。

 簡単にナイフが地面に落ちた。


 そもそもさしたる殺気も感じられない。そんな覚悟でナイフなんか向けてくるんじゃない。


「わっ! こ、このやろう!」


 俺が想定外の動きをしたことに驚きを隠せない男たち。



「くそっ、いかがわしいポーションを俺の町で売るんじゃねぇ……ムグっ!?」



「それは飲んでみないとわからんだろ?

 ―――――――――ほれ!」


 俺はポーションをバッドの口にすぼっと入れた。



「てめっ、なにしやが……ムグッ! ゴクゴクっ!!」


「とにかく飲め! だまって飲め!」


「うわぁあ、ボスがぁああ! なんなんだよこいつ!」


「おい、おまえたちもだぞ?」


「ひぃいい、目が座ってやがる!」


 俺はポーションを次のターゲットの口に突っ込む。


「よし飲め。効けば料金はもらうからな。っていうか効果はあるんだよ! さあ飲め!」



「「「ガボっ……ゴクゴクぅ!!」」」



 よし、これでチンピラたちは全員ポーションを飲んだな。


「うわぁクレイさん、容赦なく瓶をズボズボ突っ込みますね……」

「だって、飲ませてみろと言ったのはこいつらだろ? ワクっ」


「まあそうですけど……もぅ語尾にワクついちゃってますよ」


 そりゃそうだ。


 俺のポーションを飲んだからには―――



「結果を確認せねばならんからなぁあああ~~グフフフ!!」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ