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第13話 2人目の住人、リタ(ロリっ子ドワーフ美少女メイド)

 広い浴場の湯船は、なんともいえない良い香りが漂い、湯気が視界をふんわりと覆っている。

 俺はリタのなおした風呂に入っていた。


 風呂場に自生していたレア素材のキノコたちはいったん別部屋にうつした。あやうく捨てられるところだったので、危なかった。最終的には庭に栽培区画とか作りたい。


「はぁ~、極楽だぁ……」


 俺は肩まで湯に浸かりながら深い溜息を漏らす。

 やはり風呂は良いな。俺は元日本人ってこともあり湯船が好きだ。シャワーだけとかなんか疲れが取れる気がしない。


「さて、メイン風呂はいったんあがって……」


 次は奥にある小さめの湯船に足を入れ……!?


 ピリッと来た! 

 これ……電気風呂か。湯船側面にいくつかの魔石がはめ込まれている。どうやらここから雷属性の電気をわずかに発生させているようだ。


 なるほどこれは刺激が凄いな。先に入ったラーナが「ひゅわぁあああ~」って分けわからん叫び声を出していたのはこれか。


「ふあっ……」


 ピリピリが慣れないが、たまに入りたくなるぞ、これ。


 その他にもいくつか趣向を凝らした湯船があり、さらにサウナと水風呂のセットまであった。


 いや……凄いな。マジで。


 もはや前世の日本と変わらない、いやそれ以上の充実した風呂じゃないか。

 これは毎晩の楽しみが増えてしまったぞ。


「ふぅ~~~気持ち良かった」

「ですよねぇ~~すっきりです~~」


 先に入っていたラーナも至福の声を漏らした。

 彼女はその綺麗な長い青髪を乾かしている。手に持っているのはこれまたリタが作ったであろう魔道具だ。まさにドライヤーである。


 よし、俺も使ってみよう。

 どうやら風魔法を応用しているようで、温風まで出るじゃないか。


 こりゃいいな。


 俺が上機嫌で鼻歌まじりに頭を乾かしていると、ロリっ子メイドのリタがひょっこり顔をだす。


「お風呂……どうでした? です?」


「ああ、凄く良かったぞリタ」


「ほ、ほんとですか、よかったです! お風呂はいっぱい考えて……苦労して作ったです!」


「最高だったよ。いい仕事をしたな」


 リタが満面の笑みで頷いた。


 ちなみに、ラーナとリタが間違えて風呂に入ってくるというベタな展開はなかった。

 ていうか、2人は先に入って上がったんだからそんなイベントが起こるわけがない。


 なんだが……


 ――――――ブルンっ!


 この音……


 ――――――ブルンっ!


 髪を乾かし終わったラーナが、風呂がありのストレッチみたいなことをしはじめた。

 まあそれは好きにすればいいんだが、彼女が大きく伸びをすると、それに合わせてデカい2つがブルンブルンしている。


「どうしたです?」


 横を向くと、リタが俺を見上げてた。


「いや……何を食べたらあんなデカくなるのかと思ってな」

「デカい?」


 ちなみにリタの方は……スンっとしていた……。

 まあ、大きければいいってもんじゃないからな。


 リタ、気にするなよ。ロリメイド美少女だって需要はあるんだからな。


 脳内で呟いた俺はリタの頭を撫でた。


 首を傾げるリタに、俺は問いかける。


「どうだリタ。満足できたか?」


「はいです!」


 うむ、いい返事だ。好きな事をやれたんだろう。


「良かったですね~~リタちゃん!」


 ラーナも屈伸ブルン運動を終えてこちらに来る。



「さて、リタの願いも叶ったことだし……

 じゃあ、ラーナ聖水だ。これでリタもすっきり成仏できるだろう。ラーナGo!」


「なんでぇえええ! Goってなんですかぁ! 今クレイさんすっごくいいことした直後ですよぉお。確実にリタちゃんが仲間になる予感しまくりなシーンの直後ですよぉお! なんなら私のメインヒロインの座をおびやかすぐらいの勢いでしたよぉお! 私の時もでしたけど、急に冷たくなりません? 感情の切り替えが恐ろしすぎませんかぁあ!」


 この子、すげぇ長文を早口でしゃべったな。


「いや、このあとは天国にでも行くのがこの子の幸せなんじゃないのか? ゴーストなんだし。無理やり新キャラ追加やた~って現世に束縛するのもどうかと思うぞ」


 死後の世界は確実にあるしな。

 それは転生した俺が実体験済だ。たぶん天国もあるだろうし、リタなら行けそうだ。


「そ、そうかもしれませんけどぉ……」


 あまり納得のいかない様子のラーナ。


 まあ言わんとしていることは分かるっちゃ分かる。


「いや、成仏するというのは決して悪い事ではないと思うぞ。それにこの館は未知なる素材の宝庫だ。リタがこれ以上館を修繕したら、素材が無くなっちゃうだろ?」


「クレイさん! 前半はともかく、後半のセリフにはまったく同意できないですぅうううう!


 ――――――それに、私はリタちゃんと一緒にいたいです……」


 ラーナが涙目で俺に訴えかける。


 まあそれは俺もあるけどな。しかしそれは俺たちの都合だ。


 俺は好きな事をやれればいい。

 それが全てだ。そうすると決めて追放された。


 そしてリタは好きな事をやったんだ。


 最高の状態で終わらせることができるのは今だろ。


 と、思ったんだが。


「リタ、君は今後どうしたい?」


「館の修繕をしたいです」

「だがそれはリタの義務ではないんだぞ? いいのか?」


「やりたいです……それに……」


「んん? どうした? 言いたいことはハッキリ言っていいぞ」


「館だけじゃなくて、もっといっぱい作りたい! もっともっと!!……です」



 そっか―――



「よし、ならいたいだけいろ。好きな事を満足するまでしたら言ってくれ。その時は聖女ラーナが成仏させてくれるだろう」


「はい、ありがとうなのです!……それから」


「どうした?」


「あのポーション……もっと飲みたいです!!」


「ああ、定期的に飲むといいぞ。ちゃんと作ってやるから安心しろ」


「やたです! ご主人様!……じゅるり……」


 おい、よだれ出てるぞ。


 こうして俺たちの仲間に、ロリっ子・美少女メイド・ドワーフ(ゴースト)が加わった。

 名称なげぇ……まあリタって呼ぶからいいけど。



「ところでリタ。俺の名前はクレイだ。ご主人様じゃないぞ」



「ハイです! ご主人様!!」


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