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94 国王との連絡とその後の予定

「さて、バスを用意した。 これでガイアブルクへ送ってあげよう」


「ありがとうございます、クロウ中佐」


「なーに、妾もあの女がいなくなった事でスッキリしたのじゃ」


「それでは、俺達はガイアブルクへ帰ります」


「うむ、また遊びに来るといい。 顔パスで通すように伝えるのでな」


 俺にとってお不快な女担任だった葛間を駆逐した後、クロウ中佐がバスを用意してくれたようだ。

 そして、シャルロット女王に別れを告げてバスに乗り込み、ガイアブルクへ向けてバスを走らせた。

 クロウ中佐やその配下達も一緒に乗っている。


「さて、お父さんに連絡を入れないと……」


「私も立ち会おう。 そのために同乗したのでな」


 車内でアイリスが水晶玉を使ってクリストフ国王に今回の顛末を報告した。

 クロウ中佐もこの為に一緒に乗ったようだ。


『脱走勇者とかつての担任だった勇者に出くわすとか…暁斗くんは悪運が強いのかな?』


「だから茶化さないでください」


「それで、前者の……脱走勇者の方はどうなの?」


「女王がそれ用のポスターを送っているはずですが……」


 国王に茶化されている傍らで、アイリスが脱走勇者について聞いてくる。

 ゼイドラムから指名手配のポスターを送ると言ってはいたから、クロウ中佐も確認を取っている。


『その指名手配のポスターがさっき届いたよ。 これをギルドにも配って城下町や我が領内にある町や村にも貼ってもらう予定だよ』


「そうですか」


 しっかりと届いたようでホッとした。

 まぁ、シャルロット女王がそこまでヘマをするわけがないだろうし、信頼しているし。


『しかし、あの脱走勇者がゼイドラムが管理する採掘場を住処にしようと考えていたとは……』


「我々もしてやられましたよ。 アキト君達のおかげで事なきを得ましたが、帰還時期をずらす羽目になってしまいました」


『そこはあまり気にしてはいけませんよ、クロウ中佐』


 クロウ中佐も俺達の帰還の遅れに思う所があったようで、クリストフ国王に謝罪していた。

 気にしてはいけないとクリストフ国王が言ってくれたけど。


『しかし、あのクルスとかキサラギとかいう召喚勇者が不法侵入と器物破損を犯すとは……。 世間を知らなさすぎないかね』


「あいつらは都合が悪い部分は聞かない……、というか聞く耳もたないようにしています。 召喚される前からそうでした」


『なるほどねぇ……』


「あと、担任の葛間もそうでしたね。 私が由奈ちゃんや暁斗君を奴の手から助ける事が多かったのでよく知ってましたから」


『ふむ……』


 脱走勇者である来栖と如月に不快感を露にするような声色になった国王に、ひなたが説明をした。

 まぁ、ひなたは特にあいつらに想いを寄せられてたっぽい事をひなた自身が言っていたな。

 かなり嫌がってた様子で……だけど。


『それと、ゼイドラムから射撃訓練用のセットがもうすぐ届くはずとシャルロット女王から伝言が来たよ。 王城に届き次第、アイリスの家に送るよ』


「お願いね、お父さん。 地下が空いてるからそこに運ぶようにお願いするね」


『伝えておくよ。 それで、ゼイドラムはどうだったかな?』


「世界観が違った感じでした。 まるで俺達の世界に戻って来たかのような……そんな感覚の中で過ごしました」


『戦車だっけか? あれを平気で作る国だしねぇ』


「1割が姉である女王の道楽で作られた奴ですがね」


「あはは……」


 あの訓練セットもそろそろ届くようだ。

 流石は世界観が違って見える機械技術国家だ。

 ただ、戦車数のうちの一割がシャルロット女王の道楽で作られた代物だとか……。

 クロウ中佐の苦労は、今後も続いていく……のだろうなぁ。


『あ、あとイリアゲート君からアキト君達宛の招待状が届いたんだが……?』


「招待状? あぁ、あれですか……」


『知ってるのかい?』


「ええ、ゼイドラム滞在時に七絵ちゃんと連絡していた時に知った内容ですから……」


 由奈が招待状に件について国王に説明した。

 七絵の知り合いの三人娘の唐突な結婚を聞いた時はお茶を吹いてしまったんだよなぁ。

 それくらい衝撃的だったし、唐突だったからな。


「それで、招待状にはいつ式を挙げると書かれてるんですか?」


『5日後だそうだ。 七絵くん達も招待状を送っているそうだし、どうする?』


「参加しますよ。 七絵が言った三人娘も気になりますし……」


『分かった。 では君達宛の招待状もそっちに送るよ』


「分かりました」


『では、これで失礼するよ』


 そう言って、クリストフ国王からの連絡を終えた。


「結婚式は5日後だけど、ガイアブルクに着いた後はどうしようかな……?」


 俺がガイアブルクに戻ってからの空白の5日間の予定をどうしようか考えていると……。


「だったら、明後日に海に行かない?」


 アイリスが海に行かないかを提案してきた。


「え、海が……海水浴場があるの?」


 そこに食いついてきたのはひなただ。

 由奈に至っては明後日の方向を見ているようだ。

 まぁ、俺も気分は乗らないんだが……。


「そうだよー。 東地区の門から北東に徒歩30分の所に国が管轄する海水浴場があるんだよ」


「へぇー」


 アイリスの説明にひなたが目を輝かせながら聞いていた。


「海かー。 私……泳げないんだよね……」


「そうなのですか?


「ああ……、実は俺もだよ」


「あ、暁斗様もなんですね……」


 クリスタにカミングアウトしたように、由奈と俺は何を隠そう泳げない。 いわば『カナヅチ』なのだ。

 だからこそ、海に行くのにアンニュイになってしまったのだ。


「もしよければ私が泳ぎ方を教えますが……」


「くるみも……教える」


「胡桃ちゃんも泳げるの!?」


「むふー」


 由奈が胡桃に泳げた事を聞いて驚いており、胡桃も胸を張ってドヤっている。


「まぁ、余裕があればでいいから……」


「分かりました。 余裕があれば教えますね」


 クリスタには一応、そういう返答にしておいた。

 海水浴場に来る人数次第で、余裕がなくなるだろうからな。

 特に明日は快晴で、海水浴日和だろうし……。


「おっと、ガイアブルクに到着したか。 降りる準備をしようか」


「話をしてると早いですね。 お世話になりました、クロウ中佐」


「うむ、また何かあったら協力する事を誓おう」


「はい。 では、また……」


 クロウ中佐とそういう約束を交わした俺達は、バスを降りてガイアブルクの西地区の入り口の門へとくぐった。

 アイリスの家に着く間も、海水浴についての話で盛り上がった。


 結局の所、ガイアブルクに帰った後に明後日海水浴場に行く事が決まったので、明日には水着を買いに行く事になった。

 水着選びに難航したのもまた別の話……と言う事にしておくか。



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