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76 閑話~討伐部隊壊滅とアン王女の末路~

「が、がはっ…、ごぼっ…」


 魔族領北部にて、剣を胸に突き立てられ仰向けに倒れたアン王女。

 剣は心臓部を貫通し、出血もひどく今にも息絶えようとしている。


(こ、こんな……、こんな……ことが……。 お父様……、ううっ)


 何故、こうなったか。

 それは、今より3時間前にあった出来事まで遡る。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 拠点としていた『アキレス』の町にて、新たなホムンクルスの兵士と新たに召喚された中学生の勇者達が合流し、戦力が整った。

 そして、もう一度魔族領に進軍しようとしたが、前日になって勇者二人が姿を消した事が判明。

 その二人とは、如月(きさらぎ) 光輝(こうき)来栖(くるす) 貴之(たかゆき)だ。

 元々、この二人は能力が高い故に討伐部隊に組み込まれた。

 それがきっかけで不満を抱かれたが、前回の惨敗でそれが爆発した。

 アン王女は、対勇者の呪いを使って屈服させようとしたが、その前に二人は脱走した。


「進路を北に。 第9防衛部隊と戦うよりマシなはず」


 その後の行方も掴めないまま、進軍をせざるおえなくなった為に北部へと進軍ルートを変更した。

 北部には、第7防衛部隊が待ち構えていた。


「全員、攻撃開始!!」


 アン王女の号令で討伐部隊全員が魔族の第7防衛部隊に攻撃を仕掛けた。

 前回以上の数を揃えたから今度こそ勝てる。

 そう思っていた。


「きゃあぁぁぁっ!!」


「い、いやあぁぁぁっ!!」


 いきなり勇者として派遣された女子生徒二人が、魔術師の炎で焼き殺された。

 その炎は、二人が灰と化すまで燃え続けていた。

 アン王女も呪術を行使したが、第7防衛部隊相手でも効果がなかった。


(な、なんで……!? こいつらも呪いが効かないって言うの!?)


 アン王女は、苛立ちを隠せない。

 しかし、相手は待ってくれない。


「がは……っ!」


「ひぎぃっ!!」


 ホムンクルス兵士もろとも派遣された勇者達が次々と串刺しにされたり、真っ二つにされたりした。


「ひ、ひぃっ!!」


「い、いや……、いやぁ……」


「あ、あぁ……」


 そんな無惨な光景を見た女子生徒三人が恐怖に煽られた果てにへたりこみ、失禁してしまった。

 スカートの中から出てくる液体が、地面とスカートと太腿を濡らしていった。

 限界がきたのか、女子生徒三人は同時に漏らしたまま気を失った。


 第7防衛部隊は、そんな少女達をスルーして闘争心のある者達を攻撃していた。

 第9防衛部隊に劣るものの、北部の守りを任された部隊なので、その錬度は高い。


 魔術師の炎や電撃で焼かれたり、感電死させられたり、剣士部隊に首をはねられたり。

 そんな無惨な光景は数分の間続けられた。


 こうして、ガルタイトの新たな討伐部隊はものの数分でアン王女と戦意喪失した上で気絶した三人の少女達を除き、壊滅した。


 第7防衛部隊の女性兵士が、戦意喪失兼気絶中の三人の少女達を捕虜として捕らえられ、拠点に連れていかれた。


「さて、最期に言い残す事はないか?」


 第7防衛部隊の隊長である虎の獣人が、アン王女に剣を突きつけながら言った。

 当のアン王女は隊長を睨んだまま、何も言わない。

 そして、立ち上がりかけたが……。


「何も言わないか。 なら、そのまま朽ち果てよ」


「がっ、は……!」


 隊長の剣が容赦なくアン王女の心臓部を突き刺した。

 そのまま、仰向けに倒れる。


「その剣は、お前の墓標代わりとしてくれてやるよ」


 獣人の隊長は、そう吐き捨てながらアン王女の元から去って行った……。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 以上が、今回の流れの顛末である。

 獣人の第7防衛部隊隊長に心臓部を突き刺され、3時間も放置され助けてくれる者もおらず、今のように息絶えようとしてる状態であるのだ。


(お父様……)


 走馬灯のように自分を作った父のような人物、ヘイト・ゾア・ガルタイトの顔が浮かんでくる。


(申し訳ありません……。 私は最後までお父様の役に立てませんでした……)


 ホムンクルスである彼女の目から涙が流れる。

 そして、血が流れ続けている為に、目が霞んでいく感覚に陥る。

 彼女の生命が終わりを告げる時が来たのだ。


(最悪な結果を残したまま死にゆく私を……どうか……お許し……くだ……さ……い……)


 心の中でそう告げてすぐに、アン王女の瞳から光を失い、瞼は閉じていく。

 こうして、アン王女は死亡した。


 その様子をガルタイトからの使い魔が見ていた。


 後に、クレハ共和国が取り返され、ゲスー・オズワルドが戦死したという報告を受けて発狂するヘイト国王の元に討伐部隊の壊滅とアン王女の戦死が伝わり、さらに発狂する事になる。


 これにより、ガルタイト国は急速に崩壊への道へと向かって行く事になる……。


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