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61 閑話~その頃のガルタイト国内⑤~

「また、裏切りが発生するとは……!」


 ガルタイト王城内で国王のヘイト・ゾア・ガルタイトが頭を抱えていた。

 ホムンクルス兵士の量産が終わった直後に周囲には極秘で二度目の勇者召喚をしていたにも関わらず裏切りが発生してしまったのだ。


「申し訳ありません……。 まさか今回は11人も裏切る事になろうとは……」


 前回の召喚時点では一人の女子生徒…葛野ひなたの裏切りが発生したため対策をねろうとしていた。

 しかし、召喚してから一週間は対勇者の呪いすら個人に掛けることは許されない制約があることが発覚し、ゾーンタイプの呪いも対勇者の呪いはない。

 なので【威圧】の強化を図ることでなんとか裏切りを阻止しようとしたが、結果は最悪の形となった。

 今回の召喚で、『無能』とされたのは3人。

 裏切った11人はその3人の知り合いだったのだ。


「ひとまず、今回の召喚された勇者を訓練の後で何人かを討伐部隊に派遣するようにしてくれ」


「はっ!」


 宰相はすぐにプランを勇者たちに伝えるために王の間から出て行った。

 そして、宰相とすれ違うように兵士が王の間に来た。


「国王様、クレハ共和国にいるゲスー・オズワルド様が来ておられます」


「何、ゲスーだと!?」


 ゲスー・オズワルド。

 国王ヘイト・ゾア・ガルタイトにとっては魔族殲滅主義に共感してくれた数少ない親友である。


「確か、現クレハ共和国の大統領になったと言ってたが……?」


「どうされます?」


「構わん。 ここに来るように伝えてくれ」


「分かりました」


 国王がそう伝えると、兵士は敬礼をした後、王の間から出ていく。

 しばらくした後、件の男……ゲスー・オズワルドが王の間に来た。


「久しぶりだな、ゲスーよ」


「ああ、こちらこそ久しいな、ヘイト」


 かつての親友の再会を祝うように、お互い呼び捨てで呼びあう。


「まさか、お前が大統領になったとはな」


「クーデターを起こして無理やりその座についただけさ。 目的のためにな」


「目的……そうか、魔王殲滅主義の浸透だったな」


「下手に動いたところで、周辺国や国民が黙っていないだろうから、無理やりにねじ込むようにしたのさ」


「なるほど、そしてお前がここに来たのはもしや?」


「ああ、クレハ共和国をお前の国の領土にしてもらおうと思ってな」


 ゲスーの提案に息を飲む。

 この男の狡猾さはヘイト自身がよく知っている。

 目的の為に生半可な手段は選ばないということも。

 今でもヘイトは魔族殲滅主義を掲げている。

 周辺国に白い目で見られようと、国際組織から強制脱退させられようともその意思は揺るがない。

 それ故に、親友から出された提案は魅力的に感じたのだ。

 そうなればもう答えは決まっていた。


「分かった。 お前の提案を受け入れよう」


「感謝する。 でなければ俺がわざわざ大統領になった意味がないからな」


「ほぉ、クレハの国民も道具扱いにするためでもあったのだな」


「ああ、今のクレハの国民は俺の思想と反りが合わないからな。 お前の恐怖政治で無理やり思想を変えてもらいたいのさ」


「よし、それに関しても任せてもらおう」


「ありがとう、友よ」


 そう言って、ゲスーはヘイトと固い握手を交わす。

 そしてすぐに兵を派遣し、クレハ共和国はガルタイトの物になったという宣告を与えた。

 こうして、クレハ共和国はガルタイトの領土にされてしまった。

 そして、これは密かに聞き耳を立てていた魔族の諜報部隊からある人物を経由して各国に伝わることとなる。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「新しい勇者はどう?」


「かなり個性的にきついようですが、運用には問題ないかと」


「そう……」


 メイドの報告を聞くのは、ザナ王女。

 しかし、彼女の表情はどこかやつれた様子だった。

 姉妹的存在のアン王女率いる魔王討伐部隊が惨敗したという報告も受けたからだ。

 地下ダンジョンでの訓練を積んで強くなったと思っていたが、相手がさらに上回っていた事実は彼女をショックに追い込むには十分だった。

 しかも、勇者二人が死亡しただけでなく、さらに二人の勇者が脱退し行方をくらませたという話も聞いてしまった。

 これで勇者の裏切りは、合計15人となった。


「今は彼らの訓練を重点にしなさい。 編成はその後で考えるわ」


「分かりました」


 そう言って、メイドが部屋を出ていく。

 ザナ王女は、これ以上考えることはなかった。

 疲労で何も言えない状況の中、彼女はすぐに睡眠を取ることになったのだ。

 悪夢を見続けながら……。



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