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58 召喚された中学生との会話その2

「あたしたちがガルタイト国から脱出した後は、無我夢中で走ってました。 道中に出くわした魔物も兵士から奪った剣のおかげで難なく切り抜けました。 ある程度走った後は、無能扱いされた3人の為に、休憩挟んでそのまま真っ直ぐ進んでましたが、途中で厄介な魔物に出会ってしまいました」


「それが、サイクロプスなわけか」


「はい。 今のボク達では兵士から奪った剣をもってしても歯が立たなかった為、結局逃げるしかありませんでした」


 心愛に続いて、茶髪セミロングでボクっ娘少女の松原(まつばら)) (みなと)が、サイクロプスと出会った直後の流れを話してくれた。

 戦い慣れない中で、あのBランクの魔物と出会ってしまったのか。

 逃げるしか選択肢がなかったのも頷けるが……。


「当然ながら、あのサイクロプスはボク達を追いかけて来ました。 しかも、二匹というオマケ付きで。 【グレートブースター】を掛けながら必死に逃げましたが、友達がバランスを崩して転倒したんです」


「私が胡桃を背負ったままバランスを崩したせいでサイクロプスに追い付かれ、死を覚悟しました。 その時にあなた達が助けに来てくれました。 本当にありがとうございます」


 当時、俺達がサイクロプスとの間に入り、ひなたに介抱された少女、(くすのき) 七絵(ななえ)が、湊の話の後で改めてお礼を言ってきた。


「とりあえず君らの今後だけど……、アイリス、国王への報告は終わったんだっけ?」


「うん。 お兄ちゃん達と同じくガイアブルクの国民として迎えたいって。 人数が多いから手続きは明日になっちゃうけど。 とりあえず、エリスお姉ちゃん…おっと、エリス王女が予備として購入した別荘が、ここのすぐ隣にあるからそこを使っていいよ。 エリス王女からも許可済みだから大丈夫」


「との事だ。 君らが良ければガイアブルクの国民としてここに居場所を構える事ができるが、どうだろう?」


「勿論です! みんなもそうだよね?」


「ああ、これ以上の逃亡は懲り懲りだからな。 それに先輩達がいる。 強くなるためのアドバイスもくれる筈だ」


「ボクも受け入れます」


「おれも!」


「あたしも!! 逃げ回るよりここでどっしり構えた方が気が楽だよ」


 みんなが提案を受け入れる姿勢を示してくれた。

 とにもかくにも、彼らに逃亡生活を強いるより居場所を確保する方がはるかにいいからな。


「それじゃ、みんなを隣の別荘に案内しよう」


 アイリスとひなたが立ち上がり、みんなを案内しようとした矢先、突然誰かが俺の服の裾を握ってきた。

 振り向くと、フェアリーキャットのモチを抱えた少女……来宮 胡桃が俺の服の裾を握っていた。

こうして見てると背丈小さいな。

 まるで幼女だ。


「胡桃?」


 気付いた七絵も声を掛ける。

 暫く沈黙が続いていたが、ようやく胡桃が口を開いた。


「にぃと一緒にいたい……」


「なぁーご」


 胡桃が口にした内容にみんなが衝撃を受けていた。

 モチもそれに合わせるかのように鳴く。

 ひなたと由奈は、『あー、これはアレだなぁ』と微笑ましい表情をしていた。


「えっと……、理由を聞いていいかな?」


「あの怖い魔物から助けて……くれたから……」


 俯きながら理由を述べる胡桃。

 その身体は、恐怖を思い出したのか、震えていた。

 そこに友理奈が割って入って話し出した。


「多分ですが、暁斗先輩が突撃したサイクロプスが胡桃を狙ってたんだと思います。そこに割って入った暁斗先輩の姿に一目惚れしたんじゃないかと」


 あ、あれで一目惚れっすか……。

 ひなた、由奈、クリスタがうんうんと頷いていた。


「お兄ちゃん、これは流石に傍にいてあげるしかないよ」


 アイリスもこう言ってくる。

 なんか知らない間にハーレム要因が増えてきている気がするんだが……。

 相手が望んでるなら……仕方がないか。


「分かった。 一緒に居てもいいよ」


「ん……っ♪」


 俺が許可すると、胡桃は嬉しそうに俺に抱き着いてきた。

 そして、これでもかという程に頬ずりしてくる。


「よっぽど先輩が気に入ったのね。 すみませんが胡桃をお願いします」


 七絵が改めて、俺に胡桃をよろしくと言ってきた。

 きっと、七絵が彼女にとっての数少ない友達なのだろうな。


「ああ、明日の手続きはこれから君が寝泊まりする別荘にて行うからその時は彼女を連れてくるよ」


「はい、わかりました」


「じゃあ、隣の別荘に案内しようか。 お兄ちゃんと由奈お姉ちゃんは胡桃ちゃんをお願いね」


 アイリスの一言の後、他のみんなを連れて隣の別荘へ向かって行った。

 残されたのは、俺と由奈。

 そして、俺の胸元に頬ずりし続ける胡桃だ。


「よっぽど甘えてくれるお父さんやお兄ちゃんがいなかったんだね」


「多分な……。 みんながいた時はあまり話さなかったし、常時緊張してた感じだったしなぁ」


 胡桃の頭を撫でながら物思いに更けていく。

 国王には胡桃の件も話さないといけなくなったな。

 それも明日の手続きの時にするからいいとして……。


「まぁ、これからもよろしくな、胡桃」


「んっ♪ よろしく……にぃ、と、ゆなねぇ」


「うん、胡桃ちゃんよろしくね」


 こうして、今回の出来事はひとまずの終わりを迎えた。

 なお、今のやりとりを陰からアルト達に見られていたという事を知ったのは、一週間経ってからだったのはまた別の話……。



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