48 そして彼女は第三の妻となる
第三の追手を屠った俺達は、春日部さんを連れて、ガイアブルク王国の西地区にあるアイリスの別荘に向かった。
「ここが、ガイアブルク王国の王都?」
「うん、正確にはそこの西地区なんだけどね」
「この地区だけでも街並みが大きいね……」
アイリスに案内される春日部さんは、街の大きさに驚いていた。
俺達も当初は驚いていたが、慣れって怖いなぁ。
「それにしても、アイリスちゃんって、王女様だったんだね。 ひなたちゃん達に言われて初めて知ったよ」
「ああ、でも継承権はないから普通に呼ばせてるよ。 特に不自由はないしね」
当の春日部さんは、アイリスとの話に花を咲かせている。
とりあえず話し相手が増えたのは喜ばしいことだね。
「さ、着いたよ。 ここが今私たちが住んでる家だよ。 本来は役所代わりを担うお父さんの別荘で手続きをするけど、事情が事情だし、私の家で説明するよ」
「うわぁ、大きいね……」
「まぁ、別荘だからな。 部屋も結構余ってるらしいぞ」
「そうなんだ……」
「さて、そろそろお父さんも来るはずだけど……」
アイリスがそう言った直後に、国王が転移で現れた。
まるで転移のバーゲンセールだ。
「由奈くんの手続きと聞いて私が来た!」
「最後の言葉、色々とやばくないですか?」
「気にしてはいけないよ、ひなたくん。 じゃあ、アイリス。 手続きは中でしようか」
「わかったよ」
そう言って、アイリスが玄関の鍵を開けた。
二人の後に続いて、俺達も入る。
◇◇◇◇◇◇◇
「さて、由奈くんの国民登録の手続きはこれで終わり……と」
「早いですね……」
「俺達の時もそうだったけどな。 アイリスからの報告で予めできるところを先にやってたみたいだよ」
「ほぇー……」
「まぁ、行動力が高いのがお父さんらしさなんだけどね」
俺やひなたの前例を出した後の春日部さんの表情は、ポカーンとした表情だった。
まぁ、これがクリストフ国王なんだということで慣れてもらうしかない。
「さて、アイリス経由で由奈くんに暁斗くんの三人目の妻になるように勧めた理由も話さないといけないな。 まず、我が国は『一夫多妻制』を採用していてね」
「そうなんですか?」
「本当だ。 一部の他国は採用していないが、そこだと大半が『婚約破棄』とか『浮気』とかそういうのが横行してるみたいでね」
婚約破棄まであるのか、他の国は。
それに関する小説が好きな奴が喜びそうだ……。
「我が国がこの制度を導入したのはそれらを起こさせないというのもあるが、人口比率も女性の方が多くてね」
やはりそういう事情だったか。
街巡りでも思ってたが、女性の住民がやたら多い印象だった。
男性も多い事は多いが、比率的に心なしか……という感じだったな。
「この制度を使うには、ガイアブルクの国民になる必要があったからね。 だから由奈くんの国民登録を行ったのだよ」
「そうなんですね」
「ついでに言うと、由奈くんはさらに特殊な存在……、向こうにとっては部隊から出た裏切り者のような存在になったからね。 国民になることで全力で君をサポートできるようになる」
クリストフ国王の説明を真面目に聞く春日部さん。
それは真剣そのものだった。
流れ次第では、ここで第二の人生を過ごさないといけなくなるから。
だけど、彼女に迷いはなかった。
「分かりました。 私も暁斗君の妻になります!」
彼女は、力強く決意した。
俺の妻の一人になることに。
「やったぁ♪」
「歓迎するよ、由奈ちゃん」
アイリスもひなたも歓迎するかのように喜んでいる。
「こんな俺だけどさ、これからもよろしくな、春日部さん……。いや由奈と呼ぶべきだったな」
「うん。 私の方こそよろしくね、みんな」
俺も彼女を歓迎すると共に、彼女に対する呼び名を変えた。
妻になったんだし、いつまでも『春日部さん』じゃ失礼だろうしね。
「さて、由奈くんは今日だけでも色々あっただろうから、少しの間はゆっくり休むといいだろう。 由奈くんを第三の妻とする手続きはこっちでやっておくよ。 という事でここで失礼するよ」
クリストフ国王は、そう言って帰宅していった。
その後は、メイジフォックスウルフの家族やテイムした魔物からも歓迎された。
特に、フェアリーキャットの『モチ』とメイジフォックスウルフの末っ子のリリは由奈の膝上の奪い合いをしていたくらいだ。
彼女にとっては新たな生活。
さらに新たな追手が来るかもしれないが、それまでに彼女も頑張ってくれると信じ、色々とフォローしよう。
それが夫である俺の役目だしな。
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