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40 閑話~その頃の魔族領と、惨敗後の討伐部隊~

 魔族領の中心部にある魔王城。

 そこの応接室で、イリアゲートと諜報部隊長が会話していた。


「そう……、一人違う考えを持ってる子が……」


「正確には、死ぬ前にあの二人に一言謝りたいという内容です。 彼女付の従者に成りすましていた者から入ってきました」


「何故、その考えを?」


「どうも、あの時に自分の性格の弱さから助ける勇気を持てなかったとのこと。 実はその場には他の諜報部隊員を忍び込ませてましたが、我々や勇者以外の兵士や宰相などほぼ全員が『威圧』スキルを行使していたようです」


 諜報部隊長から出てくる新たな事実。

 それは忍び込んだ者と召喚された勇者以外のガルタイト国の者が、【威圧】スキルを常に使用していたという事だった。

 思想の統一を図ることが目的だという。

 だが、結果として一人の反逆者を生み出す結果になった。


「という事はひなたさんは、あんな状況に関わらず彼を助けに入ったと」


「でしょうね。 威圧による恐怖より、友達の理不尽な扱いに対する怒りが勝ってたのでしょうね。 件の彼女は正反対で性格が弱いため威圧に屈してしまったのでしょう」


「だから、彼女は……。 でも、何故?」


「時間がそうさせたのでしょう。 当の彼女はもう二人が自分たちに牙を向く決意をしてることは理解しているようでして」


 当の彼女……、由奈にしてみれば召喚されてからおよそ1か月。

 暁斗達が敵対の意向を固めるには十分すぎる時間だった事。

 二度も追手部隊があっさり壊滅したことを踏まえれば、由奈がその考えに至るのは理解できる。


(なんとか、手を差し伸べてあげれないかしら……?)


 イリアゲートは考えていた。

 せめて由奈だけでも手を差し伸べて、話をする機会を与えてあげれないかと。

 だが、彼女だけでなく他の勇者も同行するし、兵士も増やしてくるだろうし、何らかの仕込みもされてるに違いない。


(簡単にはいかないものね……)


頭を悩ませるイリアゲートだったが、ひとまず振り払い、別の話題に切り替えた。


「ところで、最南端を担当する第9防衛部隊の方に、ガルタイトの討伐部隊が攻めて来たそうですが……」


「はい、先ほど諜報部副隊長経由で耳にしました。 結果は我が隊の圧勝でした。 後、各防衛部隊に『呪術師』の素質を持つ者で編成しなおしたのは間違いではありませんでしたね。 呪いを行使するアン王女が同行していたようですし」


「そうですか……。 第9防衛部隊には何らかの褒章を与えましょうか」


「ですね。 今後の士気向上も兼ねて」


「あと、さっきの由奈さんという少女の件もクリストフ国王様に伝えておいてください。 それならきっと……」


「分かりました。 そっちも伝えておきます」


 こうして、二人の話は夕方まで続いたのであった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 一方、敗走したガルタイトの魔王討伐部隊は、拠点を兼ねた街『アキレス』にたどり着いた。

 恐怖に煽られて失禁した女子生徒たちは、別の部屋で着替えなおしたが、ショックで寝込んでいる。

 他の勇者も敗戦のショックとクラスメイトの死亡を目の当たりにした影響で引きこもっている。


「なんて、なんて事なの……」


 別の部屋でアン王女は頭を抱えていた。

 あの惨敗が信じられないと言うかのように。


「お父様が作られた最高の兵士たちも魔族に全て殺され、勇者も二人失うなんて…。 お父様になんて報告すれば……」


 国王仕込みの最高の兵士がすべて失った事を知った際の反応を想像したら怖くて報告できない。

 彼女も自信を持って今回の進撃を強行した。

 道中、最南端の境界線でメイジフォックスウルフというSランクの魔物を傷つけ、呪いの効果が発揮した。

 これで勝てると思ったのだろう。

 だが、彼女が傷つけたメイジフォックスウルフは何も耐性を持たない赤子であり、本来はSランクの魔物なので、成長すれば呪いの効果はなくなる。

 それを知らずに自分の力をも過信した結果がこれである。


「しかも、一部の勇者が今回の結果に不満を抱いてるし……、八方塞がりだわ」


 一部の勇者というのは、光輝や貴之だろう。

 彼らは元々の能力が高いが、地下ダンジョンで訓練を積んだから強くなった。

 そう思ってたが、魔族の男の強さの前に歯が立たなかった。

 地下ダンジョンでの訓練程度じゃ、大した成長にならない。

 それこそ、冒険者として活動し、様々な経験を積まないといけない。

 ガルタイト国は、それをしなかった事も敗因につながっており、光輝達からの批判の的になっている。


「変に裏切られるといけないから、呪いで従服させようかしら」


 しかし、それを反省しようとせず、より強い対勇者の呪いで屈服させようと考えてる辺り、ホムンクルスでありながら国王の遺伝を継いでいるのだろう。

 アン王女はこれまでにない微笑を浮かべていた。

 その後、討伐部隊が崩壊することになるのを知らずに……。



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