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38 エミリーと町巡り

 バーサークバッファローの事件から3日後。

 現在俺は、西地区の宿屋の前にいた。

 エミリーさんに、ガイアブルクの王都を案内する為だ。

 昨日、エミリーさんに出会い、王都を案内して欲しいと頼まれたからだ。

 クレアさんが、王城でバーサークバッファローの検証に立ち会う為、エミリーさんは暇になるからだった。

 ひなたやアイリスにも相談し、OKを貰った。

 そんな訳で、俺はエミリーさんが宿屋から出てくるのを待っているのだ。


「アキトくん、お待たせー」


 暫く待っていると、エミリーさんが手を振りながら宿屋から出て、こっちに来た。

 あの【漆黒】戦で見たブレザー風でやや短めのフリルスカートだが、パステルオレンジ基調ではなく、スカイブルー基調だ。

 多分、色で冒険者用と日常のお出かけ用に分けてるんだろうな。


「さて、それじゃ案内しますよ、エミリーさん」


「うん、よろしく。 あとね、ボクの事は呼び捨てでいいよ」


「呼び捨てで?」


「それと、お話する時もタメ口でいいよ。 ボクとアキトくんは1つしか歳が違わないんだし」


 まさか、彼女から呼び捨てで呼ぶこととタメ口で話していいと言われるとは。

 確かに年齢的には、俺は17歳でエミリーさんは18歳なので、一つしか違わない。

 とはいえ、俺は別の世界から召喚されたイレギュラーで前にアイリスに案内してもらったからこそ、この町を案内できるからなぁ。

 エミリーさんは、冒険者としても先輩格なので基本的に敬語で話していた。


「ボクとしてはね、アキトくんともっと身近でいたいんだよ。 敬語で話されるとね、どうも距離が開いてるようでに感じてね」


 一種の告白に近かった。

 俺と身近でいたいから、呼び捨てやタメ口で話して欲しいと言ったのだ。

 敬語で話されると、距離が開いているように感じるから……。


「分かった。これからそうするよ。 じゃ、行こうかエミリー」


「うん♪」


(おおぅ、いきなり腕を組まれると彼女の胸が当たって……!)


 彼女の願いを受け入れ、呼び捨てとタメ口で話すようにした途端、エミリーが嬉しそうに俺の腕を組んできた。

 思いっきり俺の腕に彼女の胸が当たっており、その柔らかい感触が伝わってくる。


 当の彼女は笑顔なのだが。


 少し時間を食ったが、ひとまずエミリーとの街巡りを始めた。

 まずは南地区だ。


◇◇◇◇◇


 定期馬車に乗って南地区にある遊園地前の停留所にたどり着く。

 エミリーは、その遊園地の規模を見て絶句していた。


「ここが遊園地……!」


「ああ、アイリスに案内してもらった時に、俺も驚いたけどかなりの規模らしい」


「へぇ。 それで、中に入るの?」


「折角来たからな。 お金は払うよ」


「ホントにごめんね。 宿屋の分しか換金していなかったから」


「そこはしょうがないさ。 さ、入ろう」


 流石にエミリーにはお金を払わせられないので、入園料やらの全ては俺が払う事に。

 ヘキサ公国と、ここガイアブルク王国ではお金の単位が違うし、換金のレートも違う。

 エミリーはヘキサ公国出身、かつSランクの魔物の報告を受けてやって来た形なので、宿屋に泊る分しか換金できないからな。


「わぁっ♪ 実際に入ってみたらすっごい大きい」


「ははは、じゃあ最初はどこに行く?」


 スカートを翻してはしゃぐエミリーに苦笑しつつ、遊園地内の地図を見せる。

 それを見てエミリーは、ゴーカート、ジェットコースター、観覧車の順に乗った。

 流石にジェットコースターは……かなりキツかった。


「結構楽しかったね。 また機会があれば行きたいな」


「喜んでもらえて何よりだ。 じゃあ、次は東地区だな」


「そこはどんな場所?」


「メインは飲食店とショッピング店が多数ある場所かな。 まず、そこで食事をしよう」


「うん♪ 丁度お腹も空いて来たしね」


 そう話しながら、東地区行きの馬車に乗り込んだ。

 俺がさっきエミリーに言ったように、東地区は飲食店とショッピング店が沢山ある商業地帯だ。

 丁度昼頃だし、そこで食事をすることにしたのだ。


 ちなみにエミリーが食べたいと言った店は、ステーキ屋さんだった。

 冒険者でもあるし、【魔術師】の素質をもつ彼女は魔法を使う毎に魔力だけでなくエネルギーを消費するのだろう。

 なので、沢山肉を食べたいとの事だった。

 俺もこの世界のステーキには興味があったので、食べてみた。

 肉は北部の酪農村で生み出された牛の肉らしく、かなり美味だった。

 そんな美味しいステーキで舌鼓を打った後は、アクセサリーショップや日用品の店で色々と買い物をした。


「お、そろそろ夕方か」


「みたいだね。 いやー、楽しかったよアキトくん」


「楽しんでくれて何よりだよ。 さて、宿屋まで送っていくよ」


「あ、その前におトイレ行ってくるね」


 なんだかんだで、夕方になったようなのでそろそろ帰宅しないといけない。

 付近の公衆トイレに行ったエミリーを待った後、西地区行きの定期馬車乗って宿屋の前の停留所に到着した。


「クレアは……まだ帰ってきてないみたいだね」


「立ち合いが長引いてるのかもな」


「ま、何かあれば連絡してくるだろうし、気長に部屋で待つことにするよ。 またね、アキトくん」


「ああ、またな」


 そう言ってエミリーは、宿屋に入っていった。

 俺もその足で自分の拠点に戻り、ひなたやアイリスと色々な形で楽しんだ。

 とはいえ、そろそろあの子の……、春日部さんの事を聞かないといけないな。



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