180 最終決戦 その1
俺達の前に現れた不完全な合成魔獣。
しかし、パワーだけはかなりのもので、勇者の技である【グレートブースター】を掛けた安川でさえ、ハエ叩きをするかのように叩き潰す程だ。
さらによく見て見ると……。
「あそこ、歪な表情のヘイトがいるね」
「ああなったんじゃ、どうしようもないだろう。 まずはあそこを狙おう」
エミリーが歪な表情のまま複数の魔獣に取り込まれたかのようなヘイトの顔があった。
蛇やライオンやグリフォンみたいな魔獣と合成されたようで、しかも中途半端ときたもんだから、どうしようもないとクロウ中佐は言う。
そして、まずはそこを狙おうと。
「念のためこっちには強化魔法を、あの合成魔獣には弱体化魔法を掛けておくよ。 後者は効果があるかは不透明だけど」
「頼む、エミリーにアイリス。 三人が抜けてるからこっちは不利を強いられるしな」
「任せて!」
エミリーとアイリスが俺達に強化魔法を、敵には弱体化魔法を掛けておくという。
ただ、弱体化は効果があるかは不透明だ。
それでも、ある程度通らないと呪術も効かないことになる。
「ひなた、由奈、イリアさん、クロは俺と一緒に直接仕掛けよう。 分散して合成魔獣の気を散らそう!」
後、俺とひなたと由奈、そしてクロとイリアさんで合成魔獣の気を散らすように仕掛ける事にした。
しくじれば、攻撃が飛び、一瞬で死ぬからな。
「ならば私はミナト君とヨシノブ君や魔術師寄りの者とサポートに回ろう」
「頼みます。 強化魔法や弱体化魔法を掛けつつ、遠距離攻撃で仕掛けて下さい」
「みんな、気を付けてよ!」
「しくじれば……、みんな死ぬから……」
クレアもエミリーもアイリスもあの化け物相手に恐怖を抱いてるはず。
それでも気丈に振舞い、決戦に挑むのだ。
だから、俺達も負けられない。
なるべく、サポートに回ってる者に攻撃を仕掛けてこないようにしないと。
「行くぞ!!」
「「「おおっ!!」」」
前衛組が俺の合図とともに散開する。
合成魔獣の周りを走りつつ、攻撃の準備をしているようだ。
「紅蓮剣!!」
まず、俺が先に仕掛ける。
火の魔法を剣に纏って、さらにヘイトの顔に目掛けて斬りかかる。
しかし、グリフォンの翼がそれをさせないとガードする。
「くっ!! だが……!!」
俺は、構わずその翼を斬り落とした。
気味の悪い体液と共に翼が落ちていく。
「ぐぎえぇぇぇぇっ!!」
瞬間、ヘイトが口を開いて絶叫した。
最早、翼でさえヘイトの身体の一部となっているのか……!!
「何っ!?」
俺が着地したと同時に複数ある蛇の頭の一つが俺に向けて口を開く。
しかも、ブレスと来た……!
「【アイシクルザード】!!」
そこにエミリーが魔法で蛇の頭を凍らせた。
それを見た俺は、すぐに蛇の頭を斬り落とす。
「危ない所だったね」
「悪い、エミリー」
「でも、悠長にしていられないよ。 あれを……」
「な……!?」
エミリーが指差しした先を見て俺は驚愕した。
「斬り落としたはずの翼が……、再生されてる!?」
何と、斬り落としたはずの翼が再生されたのだ。
よく見ると蛇の頭も再生し始めている。
ヘイトの頭をコアとして再生を行っているのだろうか?
「厄介ですね。 多分コアはあのヘイトの顔でしょうけど、スピード勝負で周囲を斬り落としてからでないと、ヘイトの顔に当てられない」
「だが、その周囲も再生能力持ちだ。 再生を阻止する何かがないと……」
「とにかく俺は攻撃を続けます!」
「ああ! 打開策を考えながらサポートする! 直撃されないようにな!」
「はいっ!!」
とにかく、今は攻撃を続けるしかない。
再生に対する打開策を見つけてくれることを祈りつつ……。
ひなた達も必死で合成魔獣の気を散らしつつ、攻撃を仕掛けていたが、再生する肉体に苦戦を強いられていた。
最終決戦は、早くも持久戦の予感を秘めていた……。
よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。
作者のモチベーションの維持に繋がります。




