表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/58

009・エレア


「へぇ~エクトス学園には転校で行くんですね?」


「まぁね。でもそんな問いをするって事は、キミは違うのかい?」


時期が時期だけに、そっちも転校だと思ったのに。


「はい。わたしは最初からエクトス学園を受けました。ですが両親から

エクトス学園に通う事を反対されてしまい、その説得にかなりの労力と

時間を食いまして。ですが数日前、やっとわたしの想いが通じたのか、

両親の説得に成功する事ができました!」


「なるほどねぇ。両親の説得に時間が掛かっちゃったんだ?でも勉学

期間にはまだ間に合いそうだし、説得できてホントに良かったよね!」


「はい!」


説得できた余程嬉しかったんだろう、少女は屈託のない笑顔を見せる。


「それにしても、まさかエクトス学園の...更に通うのも初めてだっていう

生徒にこんな場所で会うだなんて、ここで会ったのも何かの縁ですよね!

だ、だから...こ、これからも...そ、その学園では仲良くしてくれると...

嬉しいし、ありがたい......な。えへへ♪」


はぐぅ!な、なんて満面の笑顔を見せるんだ、この子!?


それに仲良くだなんて、俺にはそんな資格はないんですよぉお~~っ!


この少女を見捨てて逃げようとした俺の性根が、このニコニコ笑顔が

眩し過ぎて、溶けるからそれ以上照らさんといてと悲鳴をこぼす。


「も、もしかして...そ、その...め、迷惑でした?そ、それだったら......」


俺の困惑した表情に気づいた少女が、しょんぼりした表情に変わる。


「いやいや、いやいや、いやいや!ち、違います!違いますよっ!?

そんなんじゃありませんって!迷惑どころか、寧ろ感激極まりないですっ!」


「それじゃ!」


「う、うん。こ、こちらこそ、お願いします!仲良くしてやって下さいっ!」


そう言って俺はニコリと微笑みを浮かべながら、少女の前に右手をスッと

差し出すと、


「ほ、本当ですか!うふふ、やった~っ♪」


少女は先程よりも更に屈託のない笑顔を見せて、俺の右手にガッチリと握手を

交わしてくる。


「おっと、そうでした。わたしの自己紹介がまだでしたね!わたしは

エレアっていいますっ!」


「エレアっていうんだ?俺の名前はザックだよ。これからよろしくね、

エレアさん!」


「そっか、ザック君だね!こちらこそ、よろしくだよ!あ、わたしの名前は

呼び捨てで構わないからね!それともうちょっと砕けて話してくれると

嬉しいな!だってこれからは同じ学園に通う仲間なんだしさ♪」


「同じ学園に通う仲間か……。うんわかったよ、エレアさ...いや、エレア。

それじゃキミも同じように、俺の事はタメ口呼び捨てで話してくれよな♪」


「え!あ、は、はい!わかりました、ザック君!おっと...…じゃなかった!

わ、わかったわ、ザックッ!こ、こんな感じでいいかな?」


「う~ん、少しぎこちないけど、その内に慣れてくるかな?そんじゃ、エレア。

改めてよろしく頼むな!」


「うん!」


俺とエレアはお互いに自己紹介し合った後、呼び捨てと砕けた会話を要求。


それを二人とも承諾すると、再び笑顔で握手を交す。



―――それから馬車に揺られること、幾数日。



俺とエレアは無事、王都の門前へと辿り着いた。


「うへぇぇえ~。こ、ここが王都なんだぁぁあ~~っ!」


俺は王都の出入りの大きな門や、周囲を囲む魔法壁を見上げて、その大きさに

驚きを隠しきれないでいると、


「見惚れるのは分かるけどさ、そんなのいつでも見れるんだから、感動は

そこまでにしておいて、日が暮れる前に王都に入場する為の手続きをさっさと

済ませちゃおうよ!」


「おっと、そうだったな。日が暮れる前に行かないと、学生寮から門前払いを

受けてしまうかもしれないな!」


エレアに軽い窘めを受けた俺は、王都の門に続く人の行列へと並んだ。



それから数十分後。



「はい、これがエクトス学園への転入の書類です!」


俺はエクトス学園に転入してきた新入生だと分からせる為、門番に転入の

書類を見せた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点]  『馬車に揺られること、幾数日』とありますが、たしか『今日のうちに王都に着くためには』って話しだったはず。  今日中に着くなら、『数時間』とかでは? [一言]  面白そうだったので読み…
[一言] うん。 エレア可愛い!(確信)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ