044・幼馴染は決意する!(幼馴染side)
本当に......
本当に、もう会えない......の?
本当に、ここにはもう帰ってこない......の?
本当に......本当に......本当に......本当に......!??
偽りのない事実......なの.........っ!?!?
...ああ、
......ああああ、
ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――っ!!
ユキコさんから聞いた時には、まだ半信半疑で疑っていたザックの話。
しかしザックからの手紙にて真実だと決定打されると、私の心に沈痛と
絶望と後悔がドンドン流れ込み、黒を更に黒へと染めていく。
「......そっか。ザックの手紙。やっぱり、サキナの家のポストにも入って
いたんだね?」
「ニーナ......!」
ニーナの声に、私はハッと我に返っていく。
「......行っちゃったよ、サキナ。ボクが気持ちをハッキリとさせなかった
から、ザックが行ちゃったよ......」
「ニ、ニーナ?」
「ボクがサキナに気を使っちゃったせいで......相手に気を使っちゃった
せいで...ザックがそれを気にもしてなかったから......それを良いことに...
ボクはそれに甘え、軽んじた結果...ザックがボクの前から...消えて...消えて
いなくなっちゃった......」
そう...ボクはロード君の友達なんて、別に好きでもなんでなかった。
でも、それで荒波を立てて嫌だと拒絶行為を示すと、サキナにもロード君にも
その友達にも悪いなと思って、なし崩し的な感じで友達として付き合っただけ。
だから勿論、その友達とは彼氏彼女の関係じゃない。
そもそも、その友達の名前だって良く思い出せないくらいだ。
.........その程度の関係。
本当に他愛もない会話や、放課後とか休日とかにたまに遊びに行くだけの、
そんな付き合いをしていただけ。
ザックが止めて欲しいと言ったら、直ぐにも止めていた。
でもザックは何も言ってこなかった。
ザックが寡黙な性格だと知っていた筈なのに。
それなのにボクはそれを特に気にもせず、良いように捉えてしまい、
ザックを蔑ろにしてしまった。
もしかしたら、心の中では止めてと叫んでいたもかもしれない
というのに...
そんなボク達を見て、見えない場所で泣いていたのかもしれない
というのに...
それを見逃した結果、ザックはボクの前からいなく...なっちゃ......った。
「うう......ぐす、うぅぅ......うわああああああああああああああん!
ザックがいなくなっちゃったよぉぉぉおぉぉおおおぉぉぉぉっ!!」
ボク...ニーナは、声が枯れて二度と出なくなっても構わないというくらいの
大きな叫声を荒らげ、ザックに心から懺悔をする様にワンワンと泣いた。
「......ぐす………違う」
違うぞ、ニーナ!
今は泣く事が正解じゃない!
今ボクが取るべき行動はひとつしかないじゃないか!
ボクが今取るべき行動は......
「エクトス学園への転校手続きをすることっ!」
そしてザックに許してもらうまで、ずっとお詫びをし続けるんだっ!
ニーナは目尻に溜まった涙を指をサッと拭い、その決意を心に刻むと、
自分の家に向かって猛ダッシュで駆けて行った。
そんなニーナの行動にビックリするサキナが、
「へ!え!?エ、エクトス学園に転校手続き?ほ、本気なの、ニーナ!?
だ、だって、あんたの夢は王宮魔法使いになる事だったじゃないかっ!?」
駆けて行くニーナを呼び止め、慌てた口調で問いを投げる。
「確かに王宮魔法使いは夢。でもザックに疑われるくらいなら...嫌われる
くらいなら、そんな夢...別におじゃんになってもいい!それにね、ザックと
一緒に冒険者になるのも、また一興だと思うんだ!」
「………ニーナ」
「じゃ、サキナ。そういうわけだから、ボクはもう少し遅れてから学園に
登校するね!」
サキナの問いに、決意に満ちた表情でニーナがそう答えると、再び自分の家に
向かって猛ダッシュで駆けて行く。




