004・いくらなんでも鈍感過ぎるぞ
「そんな事になっているとは......」
「そっか......やっぱりお前、気づいていなかったんだな?はぁ~道理で
ヤケに反応が薄いなと思ったんだよ。あれだけ露骨にイチャイチャして
いたっていうのにさ。それに気づかないどころか、その挙げ句の果て、
サキナちゃん達を取られちまうとは......。ったくよ、いくらなんでも
鈍感過ぎるぞ、ザックッ!」
「うぐぐぅ!?ど、鈍感で悪かったな!お、俺だって、まさかここまで
自分が鈍感だと思いもしなか―――ハッ!?ちょ、ちょっと待てっ!?
だ、誰の目にもっていうことは......も、もしかしてクラスのみんなも
サキナ達がロード達とイチャイチャしている事実を知っているのか!?」
「ああ。勿論知ってるぞ。恐らく知らないのはお前だけじゃないのか?」
「う、嘘だろ......み、みんな既に知っていた......だと!?」
――あっ!
そ、そういえば!?
俺は昨日までのクラスの雰囲気を、ふと思い出す。
俺の事を何故か、ニヤニヤと見てくる男子生徒の視線。
お気の毒にという表情や、憐憫な表情で見てくる女子生徒の視線。
何でそんな視線を俺に向けてくるんだろうかと思い、ハテナしていたが、
あの視線の正体はそういう事だったのかっ!?
つまり、これらの視線はサキナとニーナをあっさり他の男子に取られて
しまった俺に対しての、ザマァと同情の視線だったという訳か。
それに気付いた俺の耳に、クラスメイト達の視線や声が入ってくる。
「おいおい、見ろよあいつの落ち込みようを。どうやらやっと気付いたん
じゃねぇのかな、あの野郎!」
「くあはは、ザマァ見ろだよな♪」
「大体さぁ、あの程度の奴にサキナちゃんとニーナちゃんの二人は
勿体なかったんだよ!」
「そうそう。偶然にお隣同士になっただけの分際でよ、あんな可愛い子達と
囲まれやがってよっ!」
「くくく、でもホント滑稽だよな~♪気付いていない内に、大好きな幼馴染を
取られていやがるんだから♪」
「だが、サキナちゃんやニーナちゃんをイケメンに取られたのは俺達に
とっても物凄いダメージだがな......」
「「「「嗚呼、クソッ!イケメン爆ぜろやぁああぁああっ!!!」」」」
「ザック君には同情はするけどさぁ~、相手がロード君とルカ君じゃねぇ~」
「うんうん♪相手が悪すぎるっていうか......ホントお気の毒様だよねぇ~」
「くうぅ、ザックの野郎がしっかりあいつらを管理していないせいで、
ロード君を取られちゃったじゃないかぁ!」
「はは、あんたもロード君狙ってたもんね♪」
「うへぇ~身の程知らずだねぇ...あんたじゃ、100パーセントの確率で
付き合えないでしょうに...」
「あははは♪いくらなんでも100パーはヒドイってぇ~。せめてさぁ、
99パーくらいにしといてあげなよ~っ♪」
「おい、それあんま変わんないぞ......」
「「「「ははははは~~~♪」」」」
耳に入ってくるクラスメイト達の声は、俺と幼馴染の二人、そしてロードの
話でワイワイと談笑し盛り上がっていた。
「ほらな♪みんな知ってるだろ?」
「あ、ああ...そうみたいだな。あはは、これは参った......ホントお前や
あいつらの言う様に、何て滑稽で、何て鈍感な奴だよ俺ってさ.........
あは......あははは......」
「そんなに落ち込むなって......といっても、直ぐには無理だろうけどよ。
け、けどさ、産まれ生きてまだ16年。お前の人生はこれからじゃねえかっ!
それによ、お前の学生生活...青春は今から始まるんだぞ!だ、だからもう
あいつらの事はさっさと見切りをつけてリセットしてよ、そしてその後に
始まるであろう新しき青春を......人生を謳歌しろよ、なっ!」
クラスの声に落ち込み机に伏せている俺の肩を、親友のアイッシュが
優しくパンパンと叩きながら慰めの言葉をくれる。
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン......
「お!授業開始のベルが鳴ったな。えっと確か、今日は...魔法の基礎を
学ぶ授業だったっけか?じゃあ~教科書はこれか......?」
アイッシュが授業ベルの音を聞いて、授業の為の教科書を探し準備を
始める。
「俺の学生生活...青春は今から始まる......か」
おっと、いけない、いけない。俺も授業の準備をしなきゃな!
俺は思い込んだ思考からふと帰ると、カバンの中から慌てて教科書を
取り出し、そして先生が教室に入って来るのを待つ。