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038・ひと悶着


「お、おお…さっき、ザックから告白を受けたと確認はしていたがよぉ。

やっぱり聞くと見るとじゃ段違いだな!」


「す、凄いな、ザック君ッ!あの冷徹な性格の持ち主であるスズ先輩と、

男性をゴミとしか見ていないルル先輩がこんなにもデレッとした表情を

異性に見せるとはねぇっ!」


ハサード君とトーマ君が、俺に見せるスズ先輩とルル先輩の恍惚な

表情に、唖然と感心の入り混じった表情をしてしまう。


「ふん……朝から鬱陶しい連中だ。行こうぜ、ジロン!」


「う、うんそうだね。そ、それじゃ失礼しますね、スズ先輩、ルル先輩!」


露骨に嫌そうな表情をしたアダロが、恋愛関係にはあまり興味のないジロンと

一緒に寮を早足で先に出て行く。


「ふむ。僕達もザック君の恋路を邪魔しちゃいけないな!ではハサード君、

我々も行くとするかっ!」


「お、おう、そうだな!そんじゃな転校生。あっちで何があったかは

知らんが、それを忘れるくらいに先輩達からイチャイチャしてもらえ♪」


トーマの言葉にハサード君が賛同すると、俺に頑張れと手を振った後、

二人で寮を出て行く。


「あはは!元気ありふれた連中だな、お前の寮仲間達は♪」


そんな寮を出て行くみんなを、スズ先輩が満面な笑みで見送る。


そしてその後、表情を恍惚に変えて俺の耳元近くにゆっくりと顔を

近づけると、


「ではザック。あいつらのお言葉に甘え、早速イチャイチャしようか!」


恍惚な表情でそう言ってくる。


「ちょ、ちょっと、スズ先輩!?い、息がぁあ~~!?」


スズ先輩の行動に慌てて顔を離そうとした瞬間、今度はルル先輩が俺の耳を

クイッと摘まんで自分に近づけた後、


「ほれほれ。スズなんか放っておいて、あーしと沢山イチャイチャしろなのっ!」


ニヒヒと笑った顔を見せると、俺の腕にギュッとご自慢の胸を押し付けてくる。


「わきゃ!むむ、胸がぁあ!ルル先輩の胸が、ああ、あ、当たってますよ!?」


スズ先輩の甘い吐息攻撃、そしてルル先輩の胸をギュッと攻撃に、俺は思いっきり

たじろぎ、動揺し、テンパっていると、


「あらあら騒がしいと思ったら♪もうザックちゃんたら、モテモテだねぇ♪

むふふふ~~♪」


何の騒ぎだと、スタスタと足音を鳴らしてやって来たソーニャさんが俺達の

イチャつきに気付き、「いやだわ、この子達ったら、朝から大胆な事を♪」と

言わんばかりに、身体をクネクネとくねらせて頬を赤く染めていく。


しかしそれも一瞬の事で、ソーニャさんの表情が真面目へと変わっていき、


「でもそろそろその辺でイチャイチャを止めておかないと、三人とも

マジマジで遅刻をしちゃうわよ?」


ソーニャさんが壁に掛けてある時計を指差し、俺達にそう忠告してくる。


「ソーニャさんの言う通り、取り敢えずここを出ませんか?スズ先輩に

ルル先輩?俺のせいでお二人を遅刻させちゃうのは、流石に偲びないので!」


「別に私の事は気に掛けなくても大丈夫だが、まぁそうだな。まだ2日目の

ザックを遅刻させてしまうのは私の方こそ偲びないか。よし!では学園へ

赴くとするか、ザックッ!」


スズ先輩がさっきよりも更に強い力で俺の腕にギュッと抱き付くと、そのままの

体勢でズルズルと引きずるようにして寮の外へと出て行った。


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