037・スズ先輩とルル先輩と一緒に登校
「へぇ~初日から愛の告白を...しかも二人の女子から受けちゃったんだぁ♪
ザックちゃんったら、中々やるじゃないのさ~♪あ!もしかして、あっちの
学園でも、そんな感じで異性から告白されてたりしていたんじゃないの?
どうなのよ~うりうり~~♪」
「あは、あはは......」
ま、まぁ確かに、告白されるかもっていう異性はいましたよ。
でも俺の知らない内に、その異性さん達、他の男と付き合っていましてね。
そして気づいた時には、ビックリするくらいイチャイチャされていました。
「......ふう。告白かぁ......あはは、あはははははは.........」
「ありゃま、ザックちゃんのその表情!?ど、どうやら聞いてはいけない
質問をしちゃったみたいだね......。本当ごめんねぇ~ザックちゃん~!」
俺の困惑した表情を見て、ソーニャさんが何かを察したのか、申し訳ないと
顔をして、反省の言葉を口にする。
そして、
「……あ~!み、見て、みんな!もう登校の時間が迫っているわよぉ~!
そ、そろそろ急がないと遅刻しちゃうわよ?ほれほれ~さっさと登校の
準備をするする~♪」
それをお誤魔化すように、ソーニャさんが壁の時計を指差し、俺やみんなに
早く登校しろと急かしてくる。
「おっと。もうそんな時間か!よし!それじゃ、ソーニャさん。朝御飯、
ご馳走様でしたっ!では行こうか、みんなっ!ほら、ザックくんもいつまでも
クヨクヨと顔を下に向けてないで元気出しなよっ!」
「はは…話を振った俺が言うのもなんだがよ。元気を出せよ、ザック!」
「何があったかは知んないけどさ、元気を出してねぇ、ザック君~♪」
「ふん……」
落ち込む俺の肩を、トーマ君、ハサード君、ジロン君が次々とポンポンと叩い
ていき、慰めの言葉を口にしていく。
しかしアダロ君だけは、俺に向けて慰めの言葉を特に贈ることなく、スタスタと
食事部屋から出て行った。
「はは、元気を出して、か......」
けど元気を出せっていうのは、無理という話だよ。
だってさ、十六年だぞ。
そりゃ俺だって、忘れられるものなら、全て忘れ去りたいよ。
だけど、
それでも俺はあいつらを忘れらなきゃいけない。
俺はその為にここ、エクトス学園に来たんだから。
頑張って、ちょっとずつ、ちょっとずつでも、あいつらの事を忘れる
努力をしていかないとな。
俺は改めて、あいつらを忘れる事を決意すると、床に置いたカバンを
手に取り、ソーニャに行ってきますと言うと、みんなの後を追うように
食事部屋を出て行く。
そして靴箱のある出入り口に差し掛かった時、
――ん?
「どうしたんだ?みんな騒いで?」
まだ外に出ていないトーマ君達が、何かにざわめいている姿が俺の目線に
映ってくる。
「おい。どうしたんだい、みんな?そんな出入口で騒い……で…って、
嗚呼!?ス、スズ先輩!?ルル先輩!?」
「よう、ザック。おはよう!」
「うふふ。おっはようなの、あーしの可愛いザック♪」
寮の出入口にスズ先輩とルル先輩がいて、俺に朝の挨拶をしてくる。
「な、なな、何故お二人がここにいるんですかっ!?」
「ふ。どうしてここにとは随分なご挨拶じゃないか、ザックよ。
想い人と共に登校をしたい。そう考えるのは乙女としては真っ当な
思考だと思うのだがな?そうだろ、ザックよっ!」
「―――のわ!」
スズ先輩がフッと微笑み、ここにいる訳を口にした後、俺の右腕に手を
回してギュッとしてくる。
「うふふ♪そういうことなの、あーしのザックよ♪まぁこいつは正直
どうでもいいから、あーしとは一緒に登校しろなのっ!」
「―――うわ!」
そしてルル先輩がニコニコな笑顔で俺の左腕に飛び付き、ギュッとする。




