036・噂を問いただす
「おいおい、アダロくん!俺達はこの寮で一年間共に過ごす仲間なんだぞ!
それなのにそんな険悪な態度でどうするんだっ!」
「うっさい、うっさい。耳障りだから熱血野郎は黙ってろ!」
トーマ君の暑苦しさに嫌気がするのか、心の底から嫌そうな顔でアダロ君が、
シッシと手を振り、トーマ君に向かってオレに近寄んなオーラを放つ。
「いいや、俺は黙らんよ、アダロくん!大体、キミはもうちょっとその態度を
改めた方が良いと思―――――はぐ!?」
「はいはい~♪もうそこまでにしようねぇ、トーマちゃん。それにそっちの
アダロちゃんもねぇ♪じゃないと折角私の作った料理が冷めちゃうでしょ♪」
トーマ君がアダロ君の態度を戒めようとした瞬間、瞳の奥が全く笑っていない
ソーニャさんがニコニコした笑顔で二人の争いを止める。
それを見た二人は、
「まま、誠に申し訳ございませんでした、ソーニャさんっ!あなたを
わたくしめの軽率な行動で不愉快にさせてしまった事、心から深く
お詫びいたしますっ!」
「マ、マジですいません、ソーニャさん!もう黙りますんで勘弁して
下さい!お願いしますっ!」
一瞬で表情が真っ青へ変わっていき、速攻で謝罪の言葉を口にすると、
急ぎ慌てて自分の席へと座る。
そして二人はテーブルに置いてある料理を、無言でパクパクと食べ始めた。
ひええぇぇ~~!
あの暑苦しい陽キャライケメンのトーマ君と、人の言うことなんぞ、
全く聞きそうもないアダロ君が一発で黙って謝り倒している!?
「ソーニャさんって、怒ると怖いんだなぁ......」
と、取り敢えず、ソーニャさんの機嫌は絶対に損ねないように
気を付けねばな。
俺は心にそう誓うのだった。
それから俺達みんなは、談笑を交わしつつ、朝ご飯を食べていく。
「ふう、食った食った♪ご馳走様でした、ソーニャさん♪」
食事を終えたハサード君が、満足満足とお腹を叩いてフォークと
ナイフをテーブルにトンと置く。
そして、ハサード君がこっちに顔をスッと向けると、
「なぁ、転校...おっと、ザック。お前にさ、ちょいとばかり聞いて
おきたかった事があるんだがよ、それを聞いてもいいか?」
ハサード君が俺に顔を向けて話し掛けてきた。
「俺に聞きたいこと?」
そんなハサード君に、俺は「何を?」とハテナ顔を見せる。
「あ、ああ。き、昨日の昼休みの学園食堂でよ。お、お前がスズ先輩と
ルル先輩から告白されたっていう話を聞いたんだが......あ、あれは
本当なのか?」
ハサード君が赤面の表情と辿々しい口調で、昨日先輩達から告白された
のか、どうか、その真意を聞いてきた。
「そ、それ..は....そ、その...............う、うん、本当の話だよ」
俺は正直に答えるべきか、一瞬悩んだが、あの二人は学園で超有名人
らしいので、ここで安易な事を言って印象を悪くしない方が得策かと
判断し、俺はハサード君の質問に「そうだよ」と素直に答えた。
「おお!やっぱりお前だったんだ!いやよ、学園食堂に行っていた連中がよ、
あのスズ先輩とルル先輩が一人の男子生徒に告白をしていたって、騒いで
いてな。しかも、その男子生徒は見た事がない奴だったと言っていたからよ。
もしかしたら昨日エクトス学園に転校生してきたお前かもと直感してさ。
だから聞いてみたんだが、どうやらピンゴだったみたいだなっ!」
俺の言葉を聞いたハサード君は、勘が当たったと言わんばかりのニヤリ顔で
喜びを見せる。
そして、
「ほほう。あのスズ先輩とルル先輩の二人が一年生の男子に告白をしたと
いう話は俺の耳にも入っていたけど、それがまさかキミだったとはねぇ~!
こいつは驚きビックリだよっ!」
俺達の会話を聞いていたトーマ君が、目をキラキラと輝かせて、鼻息を荒く
しながら興奮していた。




