033・ルルの一目惚れ その1(ルルside)
あーしの名前はルル。
エクトス学園で随一の秀外恵中なる二年生なの。
そのせいか、自分で言うのもなんだけど、あーしってば、めっちゃ
モテるんだよねぇ~。
だから今日もほら、
「ルルさん!ぼ、ぼ、僕と、おお、お付き合いして、くく、下さいっ!」
「僕のパートナーは貴女しかいません、どうかお願いしますっ!」
「あなた以外の女性なんて考えられません!どうか俺の彼女になってっ!」
「好きです!絶対、不幸にしませんから、俺とお付き合い下さいっ!」
「ルル先輩!あなたの笑顔が大好きです!その笑顔をオレだけのものに
させて下さいっ!」
「俺と付き合えよ、ルル。イケメンな俺ほど、お前と釣り合いの取れる者は
いないと思うぞ!」
様々な連中があーしに告白してくるが、そんな連中に、あーしは申し訳ないと
いう表情をしながら、
「ホントゴメンなの~。告白はホンット嬉しいんだけどさ~。あーしはってば、
お付き合いとか~、そんなんはしばらくいいやって感じなの。だから返事は
ノーという事でお願いなの♪」
...と、あーしに告白をしてきた連中に対し、感情の込もっていないセリフにて
全てお断りした後、両手をパンと合わせてウインクをする。
「は、はぐ!む、無念だあぁぁ~~っ!」
「くう!パートナーになりたかった......」
「ぐは!やっぱ、駄目だったかぁ~っ!」
「ちくしょう~やけ食いだぁああ~~~っ!」
「そ、そんな~僕だけの笑顔だと思ったのにぃぃいい~~っ!」
「ば、馬鹿なぁああぁ!こ、この俺が!この絶大なるイケメンの俺様が、
女にフラれた......だとぉぉおっ!?」
あーしからお断りの言葉を聞いた連中は、ガッカリした表情で頭を垂れると、
トボトボ帰って行く。
そんな連中を見て、
「だあぁぁああ~~~、もうっ!ホント毎度毎度、足の裏にくっついたガム
みたいにしつこくて鬱陶しい連中なのっ!」
大体これだけ振りつづけているんだから、いい加減に誰とも付き合わないと
いう事をみんな自覚しろよなのっ!
あーしは眉をVの字して怒りを露にしながら、額に浮かんだ青筋をヒクヒクさせ
つつ、不平不満の愚痴をこぼす。
そう...あーしは今の今まで、一度足りとも異性に対して恋も愛も感じた事がない。
だから何であーしの事をよく知りもしない癖に、好きだの、付き合って下さい
だのと宣えるのか、まるで訳が分からないのだ。
第一、付き合ってどうするなの?
―――イチャイチャする?
―――手を繋ぐ?
―――腕を組む?
―――抱き合う?
―――温もりを感じ合う?
―――それをやって、何が面白いっていうの?
―――それをやったからって、一体なんだっていうの?
―――それをやったからって、どうなるっていうの?
「本っ当に、理解不能なのっ!!」
あーしは考えれば考える程、それらをやる事への価値を全く見い出せず、
頭を思いっきり悩ませる。
「......ふう。取り敢えず、飯でも食いに行くか、なの......」
あーしは嘆息を大きく吐くと、小腹の空いたお腹を満たす為、寮内にある
学生食堂へと足を動かす。
―――数十分後。
「ったく......なんでみんなそんな躍起になって色恋に現を抜かせるなの?
マジで意味が分からないなの......」
な~にが、恋だ、愛だ、なの!
「......ホンット、くっだらないなの!」
あーしは寮の食堂で晩御飯をパクつきながら、今日の告白合戦を思い出して
しまい、再び愚痴と文句が沸き上がってくる。
「....やれやれなの。そんな事よりも、これ超絶旨いなの!流石はリダさんなの~!
モグモグ…ほう!かぁあ~~、美味し過ぎっしょなの~っ♪」
ガラガラ......
あーしがガクッと落ちた気分を取り戻す様に、食堂の料理人、リダさん特製の
Aランチに舌鼓を打っていると、食堂のドアが開き、誰かが中に入って来た。




