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030・ダンジョン探索テスト


「本当にからかっていないんだけどなぁ......」


でもここで焦って告白をしたとしても、ザックが幼馴染達の呪縛から

開放されない限り、交際は少し難しいかもね。


人が羨むレベルのスズ先輩とルル先輩にも、なびかなかったって

いうのが何よりの良い証拠だし。


だから今はじっくり、じっくりとザックとの友好を築き上げる事に

専念しなきゃ。


そしていつの日か、ザックの呪縛が開放されたその時。


それからだよ......



「……恋の勝負はさっ!」



ザックの窘めから逃げながら、わたしは誰にも聞こえないくらいの、

か細き声で改めて恋を頑張る決意を固める。


「お~~い!そこの二人さん。私を忘れてはいませんかぁ~~?」


そんな最中、ザックとエレアの追いかけっこを少し離れた場所で見ていた

フローラが、両手をブンブンと振りながら駆け寄って来ると、自分を

無視するんじゃないと二人に咎めてくる。


「まったく、わたしを放って置き、何を二人で楽しくイチャイチャし

ちゃってさぁ~!」


「へ!?お、俺達は別にイチャイチャなんて......な、なぁ、エレア?」


「あは、あはは。もうフローラったら、いくら放って置かれたからって

そんなに拗ねないでよ♪」


「ハァ!?べ、別に、す、す、拗ねてなんかいませんけどっ!?」


エレアに図星を突かれたフローラが、メガネをクイクイッと上げる動作を

何度もしながら頬を赤くすると、プイッと顔を横に向ける。


そしてそんな照れ隠しを誤魔化すかの様に、


「そ、それよりもエレアとザックは、どこのダンジョンのテストを

受けるのか、もう決めているの?」


フローラが別の話題を話し始めた。


「どこのダンジョンのテストを受ける?」


「それってどういう意味なの、フローラ?」


しかしその話を知らない二人は「なにそれ?」と首を揃って傾げる。


「ええ、知らないの?クエスト学園の7月の授業内容は、ダンジョンを

探索するテストだよ!」



「「ダ、ダンジョンを探索するテスト!?」」



「うん。テストで探索するダンジョンは全部で3つあるんだけど...…

1つ目はパーティを組んで進むスタンダートなダンジョン。2つ目は

罠等を回避していく、トラップ回避を学ぶ為のダンジョン。そして3つ目は

ソロ専門...つまりは一人で探索するダンジョン。この3つからテストを

受けたいダンジョンを選ぶんだよ!」


「へ、へぇ...そうなんだ。でも俺とエレアって、4月分と5月分を学んで

いないんだけど、そんなんでダンジョンに入っても…ましてやそんな

テストを受けても大丈夫なのか?」


「そこは大丈夫だよ。その3つのダンジョンは基本、お昼休みや放課後の

時間にフリーで開放されているから、その時にいつでも入る事が出来るんだよ。

だから今の内に3つのダンジョンに馴れとけば、まだまだテストには十分に

間に合うと思うよ♪」


「そ、そうなんだ?それなら良かったよ。でもスゴいね、学園内に3つも

ダンジョンがあるなんてさっ!」


ランベール学園にもダンジョンはあったけど、ひとつしかなかったからな。


まぁ、かなりの規模のダンジョンだったけどさ。


それにフリーどころか、実力の出来具合でダンジョンの中に入れる時間や

行動範囲、そして様々な制限がタップリあったから、ランベール学園では

殆どダンジョンの探索は出来なかったんだよなぁ。


俺はランベール学園にいた約2ヶ月間、ダンジョン探索を殆ど出来なかった事を

ふと思い出す。


「それで改めて知ったエレアとザックに聞くけど、二人はどのダンジョンの

探索…テストを受けるの?」


「う~ん、そうだねぇ?わたしはパーティを組んでダンジョン探索をして

みたいから、そのテストを受けるかも?ザックは、3つテストのどれを

受けてみたい?」


「ん?俺か?そうだな......俺もエレアと一緒のテストかな?俺もパーティを

組んでダンジョン探索をしてみたいからさ!」


しっかし、ダンジョン探索かぁ♪


ランベール学園ではあんまりダンジョン探索が出来なかった分、マジで今から

気分はワクテカだよっ!


改めて聞いてくるフローラの問いに、ザックとエレアが受けてみたいダンジョン

探索のテストを答えていく。


「ねぇ、ザック。わ、わたしと同じ探索テストを受けるっていうんだったらさ!

わわ、わたしとさ、そ、そのパーティを組んでみるっていうのはどうかなっ!」


エレアが二人っきりのチャンスといわんばかりに、ザックをパーティに誘う。


...が、


「ああ、残念だけどね、エレア。それは出来ないんだよ?」


「はああぁああ!?な、なんでだよ、フローラッ!」


フローラの慈悲なき通告に、エレアが何故とショックを受けてしまう。


「それはね、今回のダンジョン探索テストは初回という事もあって、先輩だけと

パーティを組むっていう決まりがあるからだよ。あ、因みにソロ専門のダンジョン

探索テストは先輩が離れた場所で見守る感じだよ!」


納得いかないとゴネるエレアに、フローラがその理由を淡々と説明していく。


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