028・チャラい奴とは思われたくない
「じゃ、何であんな凄い先輩達から告白なんて受けるのよ!?......あっ!?
ひ、ひょっとしてあなた、魅了や誘惑のスキル、もしくはその魔法系を
使ったんじゃっ!?」
「そ、それもないない!俺のスキルは至って普通の技だし、魔法なんか
ひとつも覚えていないっていうのっ!」
そんな凄い先輩に惚れられた俺を、今度は猜疑心を含んだ怪しいぞという
全開なる眼で、フローラがジィィ~~ッと見てくるので、それも
俺は全力で否定する。
大体そんなレアスキルや魔法を習得していたら、サキナやニーナの二人を
あんなチャラ野郎に取られてなんていやしないよ。
いや...例え持っていたとしても使わないよ、そんな卑怯なスキルや魔法!
そんなもので得た好意なんぞ、所詮は紛い物の偽物だしね。
「じ、じゃあ、何でなのさぁ~!?」
「ふ...それは俺がカッコいいからじゃないかな♪」
俺がニヒルなポーズを取ってそう答えると、
「いやいや、それはないと思うわ!」
「うん、ザックはどっち付かずだよ!」
エレアとフローラが冷淡な表情にて、即座に俺の言葉を否定して
くるのだった。
「ああ!ひっどいなぁ~二人とも!ふん、もういい!俺ひとりで帰るっ!」
エレアとフローラから小馬鹿にされたザックは、プンプンと怒りながら
学生寮へドカドカと足音を鳴らして帰って行く。
「あらら。そんなに拗ねないでよ!ちょっとしたジョークなんだからさ♪」
「そうそう。それに男は顔だけじゃないよ、ザック♪」
プンプンと帰るザックを、苦笑の笑みを浮かべつつ追い掛けて行き、
エレアとフローラが機嫌を治すフォローをする。
そんなフォローを入れる最中、エレアが、
しっかし......マジでこれは参った展開だな。
まさか初日からザックが異性に告白を...しかも二人同時に受けるとはねぇ。
噂を聞いてすっ飛んで見に行ってみれば、二人共にルックスも超美人で
可愛いらしいときている。
それにフローラがさっき語った様に、能力値もずば抜けているときたもんだ。
ぐぬぬぬ......
お、己れぃぃぃいっ!
流石に初日でというのは、予想外も良いところだよっ!
「これじゃ、わたしの計画が~!ザックとラブラブ恋人大作戦の計画に
思いっきり支障が出ちゃうじゃんか~っ!危うい大ピンチじゃんか~~っ!」
「......ん?エレア、今なにか言ったか?」
「へわ!?ご、ごめん、聞こえちゃった?ち、ちょっとした独り言だから!」
わたしの挙動不審に気付いたザックが、心配そうな表情でこっちを見てくる。
「独り言?」
「うん。大した事のない独り言。だから気にしないでいいから!あは、
あっはは~~♪」
ザックに独りごとを気づかれてしまったわたしは、それを誤魔化す様に
苦笑いをこぼす。
そして、内心はテンパりながらも、
「そ、それよりもザックさんよ。その先輩二人の告白に対してどうする
おつもりなんですかい?ああ!も、もしかして、どちらともお付き合いを
しちゃう......とかですかいっ!?」
ザックに聞きたい事を……スズ先輩とルル先輩のとお付き合いはどうする
つもりなのか、それを問うてみる。
すると、
「いや、二人とは付き合わないよ」
ザックはキッパリと、どちらとも付き合わないという答えを返ってきた。
「へ!な、なんでよ??」
「そ、そうだよ!あんな素敵な先輩とお付き合い出来るっていうのに!?」
わたしの驚きにフローラも乗ってザックに問うと、
「はは、そうだよね。二人の言う通り、確かにスズ先輩もルル先輩も
素敵だと思うよ。でもさ、出会ったばかりの女性といきなりお付き合いを
始め、恋人関係になれる程、俺はチャラ野郎じゃないからさ。だから
スズ先輩とルル先輩には告白の返事はもうちょっと待って欲しいって頼んだっ」
ザックは少し俯きながら、何故二人からの告白を受けなかったのか、それを
淡々とした口調で語っていく。




