ただの辛口ソウメンだけど空を飛ぶ
シュア――ン。
正にスターと言ってもそん色はない。
「食べたい…本気で。…絶対、食べる」
年の若い男の人は目を充血させ言う。
流れ星のように飛んでいく、ソウメン。
ソウメンが空を飛ぶことを身に付けた。今、世間はそのことでかなり持ちきりだ。
「アッ、今お尻を振った」女性たちが指を差して話す。グ――ッ。空腹を刺激する。
「私は二十年、研究をしてきた。必ず食べる」
「老人の暇潰しに喰われたらこっちが暇みたいじゃん」
振った。ヤバいくらい可哀相だが八十歳のお爺さんは諦めて、落ち込んで帰って、行った。
「ねえ、ちょっとだけ食べさせて」
男の子は気軽に頼んだ。
「食べたければ死ね」
男の子は顔が青くなった。「怖ッ…」
小学四年生の正島時太は泣きそうになった。思ってたのと違う。
もっとスマイルな『流しソウメン』の親戚と思っていたのに。
ソウメンは言う。「私はソウメンの神様の友人だ。本物を知っている存在ということだ。軽々しく食べたいとか言ったら、殺すぞ。マジ」ソウメンは水分の毛を逆立てて伝えた。
これを見ていた人から噂が広がったりしてソウメンは、すっかり嫌われてしまった。
たまに、子どもが喜んで見ると、「見るんじゃありません。毒を吐かれて病みますよ」と、親などが、すぐに忠告をした。
子どもたちには「恐怖の白悪魔」と、呼ばれてしまう。
ソウメンは、内心ヘコむ。
「ナニさ。こっちがソウメンというだけで無責任に、食べたいとかほざいたりしていたくせに」
ソウメンは過去を思い出す。
ソウメンは精霊として生まれた。百年の努力で美味しい身体を手に入れることができた。ソウメンは二百年ぐらいの修行でやっと飛べるようになったのだ。地べたを這いずっていたときは汚いと言われたことだって、あった。
落ち込んでいたソウメンを見かねたのかソウメンの神様が少し話す。
「元気出しなさい。二、三人に端っこでいいから差し上げなさい。そうすれば売れっ子キャラになるはずだ」
「神様、私をナメないで下さい。これでも私は超頑固者、です。半端な愛されキャラは『死』です」
神様は衝撃を受けて、頷いた。
「そうか。もう、私が言うことはなにもない。そのままで同じように生活をしなさい」
「ありがとうございます」
このやり取りは、関係なかった。最終的な結果、に。数日後、ソウメンはトラックにひかれて、亡くなった。可哀相な悲しい、最後だった。
ソウメンの神様は、関係ない。
トラックの運転手の過失も当然にあった。けれど、ソウメンの生きる精神の中途半端な心の弱さが、死の世界へ引きずり込まれてしまった、要素ではあった。ソウメンは、こうなってしまう運命を、長年の勘でなんとなく微妙に知っていたのだ。なんとか、上手く避けたかった。しかし、運命は避けれずに来てしまった。悲劇は起きた。
【ひかれても、生き返ることが上手くできたソウメン】
新聞の見出しにこう載った。
ソウメンは亡くなっても、諦めなかった。ソウメンは死後の世界で、必死に自分の身体をつくり五年で生きている世界へ、戻って来た!
ソウメンならではの復活、かもしれない。以前より飛ぶスピードはやや遅くなった。…本当の復活は十年ぐらいかかるかもしれない。
ソウメンは自分の会社を設立させ、やり手のソウメンの販売会社の社長になった。
日々を懐かしんでソウメンは語る。
「私も昔、色々と言われた。でも、今は生きていて良かったと、思っている」
「社長、俺一緒に働けて本当良かったです」
「ウン」
「食べなくて正解でした」
この社員は〈食べたければ死ね〉と言われた小学四年生の男の子だった。すっかり二十代、半ばの男性になっていた。
ソウメンは喪失感で悔しくなって、「食べろっ」
無理やり喰わそうとした。
会社員を、襲った。
ソウメンは信じられないぐらい、危ない本当に、嫌な強引さであった。
しかし時太は上手くかわし動ききった。十数年の間に人間的成長をしていた。
食べなくても幸せという意味を込めて時太は手の形を変えて、ピースをした。
ソウメンは冷静になって己を恥た。泣きながら「可愛いじゃん」と、言った。
ソウメンは時太の、成長に救われ人の心を知ることができた。
終




