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第41話 雨降る日にはカフェでホットを1

華美真琴


「今日は用事があるので、先に帰りますね」

「ああ。じゃあな」


 俺が軽く手を挙げて返すと、青空はニコッと笑って足早に教室を去っていった。


 結局、青空との関係はだらだらと続いてしまっている。あの日、断れなかったが故に。


 そして夕奈とは……あれから一言も話していない。俺が敬遠してるのもあるが、多分、向こうも同じような行動をとっているのだろう。


 だとしても、青空の提示した条件は呑めないが。



「華美、ちょっといいかな?」

「どうした?」



 帰ろうとしたところで抽冬に声をかけられ、俺は立ち止まる。



「この後、暇だったりする?」

「特に予定はないが」

「そっか。それなら少し付き合ってくれないかな? 話したいことがあるんだ」

「……わかった」

「ありがとう。取りあえず、落ち着いた場所に移ろうか」


 ――――――――――――。


 俺と抽冬は近くのカフェチェーン店へと足を運び、それぞれ好みの商品をを注文して二人掛けの席に。



「この時期にホットを頼むとは……さてはお前、結構な変わり者だな?」

「そんなんじゃないよ。確かにじめじめしてるけどさ、今日みたいに止む気配のない雨が降ってると温かい物を飲みたくなる気分になっちゃうんだよね。わかる?」

「いや、わからんな」



 俺がそう返すと、抽冬は「そっか」と少し残念そうに零した。



「それで、話とは?」

「あ、うん。実は僕ね、知ってるんだよ」

「なにを?」

「華美についてだよ。好きでもないのに雨音と付き合ってること、それからこないだ華美が雨音に別れを切り出したこと、最終的には別れなかったこと、その理由もね」



 抽冬の言に俺は驚きを隠せなかった。



「な、何故お前がそれを?」

「……雨音から全部聞いた、って言っても華美はきっと困惑しちゃうと思うから、一から説明するよ」



 抽冬はそう前置いて語りだし、そして俺は知った。


 青空は最初から把握していたのだ。俺が夕奈に煽られたことも、そのせいあって彼女を欲していたことも。


 青空がそれらを知った上で俺に告白してきたことも、すべては夕奈に復讐する為だということも……起因となった出来事も。



「手のひらの上で踊らされてたというわけか」

「……ごめん。雨音を止められる立ち位置にいたのに、僕も加担して君達を騙す真似して」



 深々と頭を下げた抽冬。



「……どうして今になって明かした?」

「…………それは」



 おもむろに顔を上げた抽冬は寂しそうに笑って口を開く。



「雨音が、好きだから」

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