転職します
拝啓、父上様、母上様
寒さも厳しくなってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
あなたたちに「自立しろ」と家を追い出されてから、はや三年、まったくお顔を拝見する機会がなくてごめんなさい。お元気にしていますでしょうか?
ちなみに、私は死にそうです。
もみくちゃにされる朝から、終電ダッシュを決められるか毎回賭ける晩まで働いて、この間はいつお休みをもらったか覚えていません。
デスクの下には、お泊りに最適な巣ができました。椅子はグラグラするので、個人的には絨毯の床が安心します。
定期は、高くつくので買うのを辞めました。引っ越してから開けていない段ボールだらけの荷物倉庫になっている借家も、解約しようか絶賛お悩み中です。
上司同僚ともあまりうまくやれていません。もともと人間関係の構築は苦手でしたが、だからといってよもや言語の通じない宇宙人だらけの職場に放り込まれるとは夢にも思いませんでした。ゴリラの方がまだ話を聞いてくれます。あ、笑うところです。
勉強は嫌いなのであまりしませんでしたが、世間一般で悪いとされることには手を出さず、ひっそりと、平凡に過ごしていたというに、一体何をしたというのでしょうか?神様は私がお嫌いか。…すいません、話がずれました。
色々と言いましたが、心配しないでください。この地獄とももうすぐお別れするつもりです。
では、お二人は心身ともに健康に気を付けて長生きしてください。
敬具
追伸。これは、遺書です。
間違って消してしまったので再度。
ケータイケースが壊れたので買い換えたいです。
でも、貯金を始めたので今月早くもピンチです。