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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
98/134

95 秘密兵器

「ゴロ〜〜〜ン!」


シャルが妙な抑揚をつけて言った。

どうも球体の名前らしい。


なぜ妙な抑揚をつけたのかは、不明だ。

シャルやノマが、妙な言動をするときは、たいがいココアが元凶なので、まあそういうことだろう。


(その言い方は不本意です。たまたま今回はその通りですが)


ほれ見ろ。


(でも失敗しました。マイダンジョンから取り出しながら、名前をいうのが正式な作法でした)


ココアがぶつぶつ言っているが、無視する。


こういう時にココアが言っていることは、ほぼ確実に意味がない。


(ひどい!文化とは、そういうものなのに!)


うん。無視無視。


「で、これは何?」


シャルとノマに尋ねた。


大きさが2米ほどもある巨大な球体だ。材質は鉄に見える。


「だからゴローンよ。ほんとはゴーレムを作りたかったんだけどねー」


ゴーレムというのは、ココアが教えてくれた魔物の一種だ。ただの魔物と違うのは、ゴーレムは他の何者かに作られる魔物だということ。

マイダンジョンの畑の手入れ用に一体召喚してある。


もちろん旧ダンジョンでは、今のところ確認されていない。


「人型のゴーレムは難易度が高い。だから、一番単純なゴーレムを作った」


それがこの球体ということか。


「ゴローンは三層に分かれている。中央に魔法陣を刻んである本体。その外側にスライムのようなドロドロした流体。そして全体を守る鉄の層」


ノマがいつになく饒舌だ。


「ノマ様。これはどのようにして動くのですか?それと攻撃手段は?」


ノエルが質問した。


「1号」


そう言ってノマは、近くにある魔樹を指差した。


ゴローンの1体が、びっくりするような勢いで転がり出し、魔樹に激突する。


魔樹は真っ二つにへし折れた。

ゴローンは折れた魔樹にのしかかって、潰していく。


ある程度潰してところで、一旦静止した。球体が鈍く輝く。


「ゴローンは魔樹のみを探して、倒す。そのあと命石(ライフコア)を探し出して吸収する。だから、半永久的に動く」


おいおい。


「実際は、傷ついたりするから、修理しなくちゃダメだろうけどねー。あと使わない命石(ライフコアは、中に溜めてあとで回収できるよ」


「凄いじゃないか!」


俺は純粋に驚いた。

なに、その高性能。


だが、ノマもシャルも、手伝ったのだろうドワーフ二人も不満顔である。


「本当のゴーレムに比べたらまだまだ」

「ほんと。身体を動かす魔法陣だけだって、驚異的だしねー」

「ゴレム君をバラして調べてみたい」


「おい、やめんか」


物騒な事を言い出したノマをたしなめる。


ちなみにゴレム君というのは、召喚した農作業ゴーレムの名前だ。

命名はノマだが、2体目以降はどう名付けるのか、不安になる名前である。


「そうですよ。ゴレム君を召喚するのに、どれだけ力素を消費したと思ってるんですか」


お前もヒドイ事言うね。ココア。

孤独に農作業をやっているであろうゴレム君が不憫だ。

真木の若木の大量育成だって、彼のおかげなのに。


「まあ、だいぶ妥協した部分はあるけど、魔樹の森の外縁で魔樹を倒すのには、十分だと思う」


シャルが球体の側面をピシャピシャと叩いた。


「ん。現状では最高傑作」


「それではマスター。ご命令を」


ドランが俺を促した。


「こいつらの名前は?」


「ゴローン1号と2号」


ノマの命名だな。間違いない。


「よし。ゴローン1号とゴローン2号。森の外側から、魔樹を倒し排除するんだ。ただし、10日に一回要塞山に帰投すること。理解したか?」


ゴローン2体が、ブルリと震えた。


「よし!では行け!」


ゴローンは並んで転がり始めた。


「ところでノマ」


早速魔樹にぶつかるゴローンたちを眺めながら、尋ねた。


「ゴローンって名前の由来は?」


「ゴーレムがコロンと転がるから」


うん、そうだよね。

その程度の由来だとは思った。

読んでいただき、どうもありがとうございます。


冒頭ゴローンの名を呼ぶ時は、4次元ポケット所有者の口調でお願いします。

またBGMは、各自脳内処理でつけてください。


2019/07/15:一部分かりにくい記述を訂正しました。

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