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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
83/134

80 村の将来

「そうか。階段を発見したか!」


 村長が嬉しげに頷く。

 だが、すぐにちょっと複雑な表情になった。


 喜んではいるが、少し困ったような表情だ。


「素直に喜んでいいんじゃねーか?」


 そんな村長を見て言ったのは、オドだ。


「素直にって、なにか喜べないことでも?」


 あまり村長の懸念がわかっていない様子なのは、オロン。


 開拓村の三役揃い踏みだ。


 俺たちは、いつもの3人。さらにたまたま来ていた、キャラバンのリーダーも同席している。

 さらに、第三ダンジョン卿の公子エウォルまでいた。


 まだ帰ってなかったのか。


「本当なら、ダンジョン平定戦で見つけたかったな」


 村長が、なんとも言えない表情で言う。


「どうしてです?手間をかけずに階段を見つけたんだ。村の重要度が高まりこそすれ、損はないと思うが」


 オロンが首をひねる。


「重要度が増すと言うか、このまま開拓村に任せておけばいい、と思われかねない」


「あ」


「今の陛下は、完全に内向き志向だ。5層の価値は、命石(ライブコア)の供給源としか思っていない」


 キャラバンのリーダーが、村長の言葉を補強する。


「開拓民も出しませんかね?」


 シャルが尋ねる。


「募集くらいはしてくれるだろうが、第3層はまだ土地が余ってる。命令もなしに好き好んで5層にくる奴は、いないかもな」


 リーダーの言葉にエウォルが考え込んでいる。


「ということで現状の人員で、引き続き5層の開拓と、新たに6層の探索を行うわけだ」


「無理だな」


 オドが肩をすくめる。


「今の尖兵で西の森を自由に行き来できるのは、事実上デレクたちだけだ。5層の開拓だけだって難しいぞ」


「うーん。俺たちと一緒に西の森で2日も戦えば、レベルも2つ3つ上がると思うけど」


「どうやって?!」


 オドが目を剥いた。


「陣地を築けば、結構簡単に?飛び道具使う魔物はほとんどいないから」

「対魔物で、そんなに簡単に陣地築ける奴はいねーよ」

「だから最初は、俺たちと一緒にやれば。レベル上がって、地魔法のスキルが伸びれば、あとはどうにでも」


「地魔法か」


 オドが唸る。


 俺たちの中では、地魔法最強説が囁かれているが、尖兵では四元魔法の中で最も人気がない魔法ではある。


 直接的な攻撃魔法が少ないからね。


 使い方も見せるので、有効性はすぐにわかってもらえるだろう。


「ふむ」


 村長が考え込む。


「尖兵のレベル上げが上手くいったら、村を二つに分けるか」


 そんなことを言い出した。


「二つに分ける?」


「ああ、ここは食料生産拠点として、尖兵たちの基地としての機能を、西の森の方に移動させよう」


 なるほど。最終的には、6層への階段の周囲に移動するわけだが、実力に合わせて、もう一段階置くわけか。

 階段間の街道に宿場町が必要だから、将来的にも無駄にならない。


「だとすれば、イシュルさんたちの村を譲り受ければいいんじゃないかな。彼らは、全員階段へ移動するそうだし」


「ほう?」


 村長が関心を示す。


「そりゃ有り難いが、大丈夫なのか?」


「たぶん?捨てるって言ってたし」


 ウソです。命令すれば、確実です。


「イシュル殿の仲間って、どれくらいいるんだ?」


 オドが尋ねる。


「全員と会ったわけじゃないからなぁ。たぶん、100人くらい?」


 あとあとの事を考えて、フワッとした回答にしておく。


「100人か。お前らも、階段へ移動するんだよな」


「尖兵のレベル上げが終わって、村長が許可してくれたら、そのつもりだけど」


 俺たちは、村長を見る。


「ダンジョン攻略の最前線を他勢力のみに頼るなど、ありえない。当然行ってもらうつもりだ」


「それだよ!」


 どれだよ。

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