表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンは世界だ!  作者: トト
81/134

78 魔王の影

 最初から1時間ほど戦闘を行ったら、役割を交代する事としていた。


 その手はず通りに交代していって、とりあえず1周が終わったところで、俺たち3人は、順番から抜けることにする。


 全員の成長が著しく、手出しする必要がないのだ。


 特に1層組の元衛兵たちは、元から訓練を行っていただけに、目を見張るような戦い振りだ。


 それ以外は、さすがにレベルアップによって上がったステータス任せの、力技とも言える戦い方が目立つ。


 ただ、連携を取りつつ多数で少数に当たるように心がけているので、危なげはない。


 俺たちは、砦の上から戦況を見守るだけで充分だ。

 いざとなれば、シモベたちもいるしね。


 俺たちが気にしているのは、全体の戦況と、階段だ。


「もう顔を出さないかなー」


魔樹(エビルツリー)もあらかた焼いたんで、無理だろ」


 そう言いつつも、警戒は怠らない。


「本来は、こんな階層に現れる奴じゃないと思うんだよね」


「やはり、この階層に魔樹エビルツリー)を植えたのは、アレだと思う?」


 アレ。


 6層への階段から、身体の一部だけ覗かせ、異様な圧力を巻き散らしていた魔物だ。


 すぐに6層へと消え、正体は全く分からなかった。


「分からない」


 素っ気なくノマが言う。


「でも、どちらに賭けると言われれば、植えたと言う方に賭けるな」


 今まで焼いた魔樹(エビルツリー)は、明らかに階段から広がっていったような分布だった。

 だが魔樹エビルツリー)自身が階段を超えてきたと思うには、移動速度が遅すぎる。


 6層側の階段が魔樹(エビルツリー)の群生地でもない限り、10本以上の魔樹(エビルツリー)が連続で5層に渡るとは考えにくい。


「だとすれば目的は」

「より強力な魔物が5層に上がれるようにでしょうねー」


 俺の台詞の後半をシャルが引き取った。


「知能の高い魔物って、6層辺りから出るの?」


 自分たちの戦い安い環境を整えようとするのは、それなりの知能があるということだ。


「10層より深い辺りになれば、それなりの知能の魔物が出るはずです」


「10層ねぇ」


 ココアの台詞にため息が漏れる。


「その辺りの魔物が、ここまで進出している可能性があるってことか」


「いくら頭がいい魔物でも、単独でここまで来るかどうか。でも、これだけの規模のダンジョンで、ダンジョンコアが産まれるほど、瘴気が溜まっていれば、魔王が4、5人いてもおかしくはないか」


 ココアが自分に言い聞かせる様に言う。


「魔王?」


「文字通り魔物の王ですね。穏やかな魔王もいるようですが、魔王たる者一度は人類征服に手を染めるのが、粋と考える者も多いようです」


「粋ねぇ」

「もしくはロマン?」


「そんな理由で、生存圏に侵攻してほしくはないな」


「最終的には、人類と魔物なんて生存圏の奪い合いなんですが」


 粋やロマンで侵攻されるよりは、そっちの方が余程納得できる。


「最悪、6層で魔王の一軍とぶつかるわけか」


 さすがに戦力が全然足りないよなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ