表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンは世界だ!  作者: トト
79/134

76 団欒

「あー、疲れた」


 そう言ってシャルが大きく伸びをする。


 そんなシャルをノマが睨んでいる。顔ではなく、もう少し下を。

 睨んでも、自分のモノが大きくなるわけじゃないと思うが。と考えたところで、殺気がこちらに向かってきて、慌てて意識を他に向ける。


 例えば、今の状況とか。

 ノマの殺気に気がつかない振りで、わざとらしく辺りを見回した。


 日も落ちたので、今日の戦闘は終了となっている。


 壁の向こうで魔物たちの雄叫びが聞こえるが、知ったこっちゃない。


 終わりと言ったら終わりなのだ。


 砦をさらに囲むように、5メートル以上の壁を立ててある。砦を中心に半径15米の安全地帯を作った事になる。


 さらに3本ほど真木の苗木を植えた。

 本来、グレーコボルドたちには深刻な影響を与える真木だが、アルファは俺の眷族化しているので、問題ない。アルファの部下のグレーコボルドたちは、なんとアルファの眷族という称号を獲得していた。


 いわば俺の孫眷族(?)となったグレーコボルドたちも、瘴気の枯渇に対して、強くなっているようだ。


 しかも俺に直接仕えているわけじゃないのに、エグいくらいに俺たちに隷属している。


 先ほどのノマの殺気には、地面に頭を擦り付けるほどの土下座をしていた。

 コボルド族の縦社会っぷりが、垣間見える。


 これ幸いと、この場の維持をアルファたちに任せる俺たちも俺たちだが。


 マイダンジョンに引っ込んで、羽根を伸ばす。

 ノマのご機嫌もようやく直ったようだ。


 この女性陣への気の使い様。コボルドも真っ青な縦社会のような気もしなくもないが、深くは考えない事にする。


 それが平和の為だ。


「風呂でも入るか」


 遠距離戦ばかりで、返り血などは浴びていないが、風呂に入って戦塵を落とすことにした。


「フイィ〜」


 露天風呂に浸かって、心の底からの声をあげた。


 気持ちがいい。


 開拓村と違い、マイダンジョンでは毎日風呂に入れるのが素晴らしい。

 勢いにのって男女別の大浴場に俺たち専用と、計3つの露天風呂を作ってしまった。


 今入っているのは専用風呂で、俺一人きりだ。


 3人で入ることも多いが、今日はあまり疲れたくないので、シャルやノマと別に入る事で同意を得ている。


 3人で風呂に入ると、何故疲れるかは御想像通りと言っておこう。

 シャルもノマも、少し残念そうだったが、この頃少し貪欲すぎないかね?


 獣人組も1層組も一休みしてもらったのち、全員を広場に集めて、食事会を開く。


 今日仕留めた、血毛牛を丸焼きにした。

 時間の都合上、魔法で一気に焼きあげたので、風情はないが、ちょっとしたバーベキュー気分を味わってもらう。


 みんなの表情は、明るい。


 特に1層組は、充実した笑顔だ。


 閉じ込められた環境から、半ば強制的に戦わされるのは、どうかと思ったが気にはしていないようだ。


「強制的だなんて、思っていませんからね」


 1層組エルフのまとめ役コーリィが、笑顔で言う。

 たおやかで上品な雰囲気と、右手に持った骨付き肉のアンバランスさが、ちょっと笑える。


「それならいいけど」


「本心ですよ?自分で生きていく力を得る為です。感謝こそすれ、不満に思うことなど」

「そうそう」


 口を挟んできたのは、ドワーフのパムだ。


「安全に、これだけレベルが上がるんだもん、文句を言ったらバチが当たるって」


 周りで話を聞いていたらしい連中が一斉に頷いている。


「ステータスの伸びがヤバイって」

「わたしは、四元魔法が取れました」

「あたし、なぜか暗殺が取れたんだけど」


 口々に言い合うみんなの表情は明るい。


「悪いな。じゃあ、もう少し力を貸してくれ」


「もちろんです」

「少しだなんて水臭い」

「そうそう。命令しろって」


 そんなこと言ってると、眷族扱いになっちゃうぞ。


(それはフラグですか?)


 違うわい。

 

 

 

 つい先ほどまで、戦いを行っていたとは思えない、のんびりとした一時を過ごした。


読んでいただき、どうもありがとうございます。


誤字報告もいただいております。ありがとうございます。

結構、見直しているつもりなんですが、誤字が残ってるもんですね。

ちょっと、ショックでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ