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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
77/134

74 動く城

 100米も進むと、魔物の密度が濃くなってくる。


「数はさっきの比じゃないわねー」

「原因は、たぶんアレ」


 ノマが右斜め前方を示した。

 そこに真っ黒い木が立っている。枝に葉はなく枯れ木のように見えるが、薄っすらと陽炎のようなものが纏わりついている。


「魔素を吸収してる」


 目に見える程に魔素を集めて吸収しているのだ。それを瘴気に変換して、地面に流し混んでいるのだろう。


「まずあいつから」


 ノマが《炎槍》を魔樹(エビルツリー)に放つ。


 同時に、俺が地面を隆起させ、即席砦を作り上げた。


 燃え上がる魔樹と突如現れた砦に、周囲の魔物は棒立ちになっている。


 その間に俺は、砦上に入口を開けて、留守番の獣人や元1層の女性陣を招き入れた。


 これは先程の戦いの反省を元に、決めたことだ。


 反省その1。あっさり勝ちすぎ。

 反省その2。その割に魔力使いすぎ。


 その反省から、人数を増やす事にしたのだ。

 楽にレベルアップ可能だから、みんなで交代で攻撃に参加してもらう。


 代わりにというわけじゃないが、イシュルには西の森の拠点に戻ってもらい、向こうで戦闘参加者の整理役をお願いした。


「んじゃ、戦闘開始!」


 内容に似合わないのんびりとした口調で、俺が言うと、みんな一斉に攻撃を放ち始めた。


 獣人たちは投石器で礫を放ち、それ以外は弓で攻撃している。


 皆レベルが低いので、一撃で倒せるわけではないが、着実にダメージは与えている。


 討ち漏らしは俺たちかシモベたちが片付けるが、ギリギリまで我慢。


 1、2頭、わざと突破させた魔物もいる。アルファたちの獲物だ。格上のオーガだったが、手負い状態で集団に襲われたので、あっさり倒れている。


「ぼちぼち前進するか」


 30分程戦って、周囲を見回す。


 まだ見える範囲に魔物はいるが、だいぶ数が減ってきた。倒した魔物も、戦いの合間にアルファたちに回収させているので、これ以上この場所で戦う意味も少ない。


「じゃあ移動開始だ」


 今いる砦の前方を隆起させ新たな砦を作る。そこに移動したのち、今までの砦を崩した。


 そこで少し戦ったのち、同じように移動する。


 名付けて「這い寄り動く城」作戦。


 命名はココアだ。

 なんか嬉しそうに名付けていたので、おそらくライブラリに元ネタがあるのだろう。


 砦は、ゆっくりとではあるが、階段に向けて前進していく。


「矢や礫は、まだ大丈夫?」


 交代でやってきた、元1層のドワーフ、パムに尋ねた。


「はい。まだ3分の1も消費していません」


 うーん。みんなのレベルも上がって、一撃で倒せることも増えてきたけど、残り距離を考えると微妙かな?


「魔素は大幅な黒字です。矢や礫を大量に産み出しても問題ないですよ」


 ココアは楽観的だ。


「まあそりゃそうなんだが、魔素を変換しなくても作れる物を魔素で作るって無駄な気がして」


 我ながら、ちとケチくさい気はする。


 そんな無駄話をしている間も、砦の前進は止めないし、攻撃の手は緩めない。


「4本目」


 射程に入った魔樹エビルツリーをノマが燃え上がらせた。


「遠距離攻撃の手段を持ってない魔物相手だから、楽ですねー」


 援護に徹しているシャルが暇そうだ。


 たまに投石する魔物がいるが、弓や魔法を使ってくる魔物はいない。

 おかげで、砦の高低差が強力な防御になっている。


 弓を射るのも、魔法を使うのもそれなりの知能が必要だ。

 もっと強力な魔物じゃないと、やってこない。


「ああ、シャル。そんなフラグ立てちゃダメですよ」


 ココアが慌てて言う。


「フラグ?」


 意味がわからず問い返した時だった。

 前方から、大型の狼のような魔物が3頭駆け寄ってきた。尻尾が二又に見える。


「犬又!アレは炎を吐きます!」


 ココアの警告が響いた。

読んでいただき、どうもありがとうございます。


「這い寄り動く城」

もちろん「ハ◯ルの動く◯」が元ネタでございます。


全然うまくはないけど、思いついてしまったら、やらざるを得ませんでした。

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