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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
73/134

70 方針の確認

「お、建物が増えたな」


 久しぶりに西の森の拠点にやってきて、その変化を目の当たりにする。


 畑も家も大分増えている。

 まだ家は10軒もないが、かなり村らしくなったといえよう。


 マイダンジョンの方も、大きく変わっているけど、あっちは旅の間もちょくちょく寄っていたからね。

 ちょくちょくというか、ほぼ毎日だけど。


「人手が増えましたので、作業もはかどります」


 留守を預かっていたエレールが胸をはる。


「みんなのレベルは、どれくらいまで上がった?」

「獣人の皆さんは幼い子を除けば、そろそろ10に手が届きます。あとの女性の皆さんは、始めたばかりですから、やっと3というところでしょうか」

「順調じゃないか。ありがとう、エレール、ヴァニラ、ナニー」


 そう礼を言うと、3人は顔を真っ赤にして頭を下げた。感極まって、声も出ない様子だ。ヴァニラなんかは泣きそうになっている。


 お礼を言うのも、考えて言わないといかんな。


「さてこれからの方針だけど」


 シャル、ノマに6人のシモベを前にして、俺は腹案を話し始める。


「とりあえずの大目標は、6層への進出と5層の制覇だ」


「大きくでたわねー」

「6層への階段も未発見なのに」


 シャルとノマからツッコミが入る。


「そもそも5層の制覇って?」


「シャルの言うとおり、制覇っていっても良くわからんよな。もうちょっと具体的に言うと開拓村と6層への階段との間に、安全な街道を通すことを目指す」


「6層への階段を探せないと、話になんないわけね」


 シャルが腕組みをして、豊かな胸が強調される。


 俺の視線に気がついたのだろう。ノマも腕組みをして、自分の胸を強調しようとする。


 だがノマ。

 それは強調しているんじゃない。隠しているんだ。


 たぶん、俺は優しい表情でノマを見つめていたと思う。


「なに?」


 面白くなさそうにノマが尋ねた。


「あ〜。いや、その、階段を見つける事は、それほど難しくないと思っている」


 挙動不審だが気にしない。


「その自信はどこから?」


「新しいシモベに任せるつもりだからね」


 そういう俺の背後にある気に5羽の鳥が舞い降りる。


 2層で馬車の外を見る為に召喚したシモベたちだ。


 1、2層の監視はネズミのシモベに切り替えたので、今までは自身のレベル上げをしていてもらった。


「なるほど、空から見つけるわけか」

「幸い、5層では空を飛ぶ魔物はいないからね。早く、安全に階段を探すことができる」


 大目標と、とりあえずの方針は決まった。


 すでに俺たちやシモベ6人は、この森に出現する魔物は、問題なく狩る事ができる。


 獣人や1層の女性たちは、なるべく早めにそのレベルに上がる事。

 鳥たちは、階段の探索。


 もちろん合間に各拠点の充実も行う。


 イシュルたちの存在もおおっぴらにしたので、今まで開拓村に持ち込めなかった素材を持ち込めるし、開拓村からいろいろ購入することもできる。


 拠点の充実も捗るだろう。


「もし、獣人や女性たちで戦うのを嫌がるものがいたら、マイダンジョン専任という事で」


 俺が言うと、ナニーが首を振った。


「獣人の子供はともかく、成人で戦うのを嫌がっている人はいません」

「むしろ積極的なくらいです」


 ヴァニラも頷いた。


「復讐とか考えている人もいそうねー」


「まあ少なくとも備えている人は多いだろうな」


 彼らが受けた仕打ちを考えると無理もない。実際、獣人たちはいつかやると言っていたしな。


「だが、今じゃない」


 このダンジョンで人類の勢力が心許ない今、わざわざさらに弱くなるような事をするべきじゃない。


「6層を平定した辺り?」


 ノマが小首を傾げた。


「その時に5、6層でどれくらい人がいるかだな」


 3層が味方してくれればいいが、当てにし過ぎるのも危険だ。


「そうね。人も増やさないとね」


「召喚しますか?」


 この場にいる全員に聞こえるように、ココアが言う。

 言いながら、ハアハア息を荒くするのはやめてほしい。


「うーん。逆に人は、こっちのダンジョンから招きたいんだよな」


「えー。せっかく力素も豊富になってきたのに」

「まあそっちは、ダンジョンの拡張と整備に使う方向で。そろそろ、層も増やしたいだろ?」


「いよいよ、多層化ですか!」


 ウヒョーと奇声をあげるココア。


「いろいろ、やるべきことが多いわねー」


 内容は面倒臭そうだが、愉しげにシャルが言い、ノマがコクコクと頷いた。

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