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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
7/134

7 愚行

 辺りを見回してみれば、コボルドの死体が6つ。あ、それにガースまで倒れてる。


 頭を半分潰されている。ありゃ、即死だな。


「俺の判断ミスだな。ここまで危険な目に遭うとは思ってみなかった。ごめん」


 素直に頭を下げる。


「全くです。確かに、私たちもここまでガースが馬鹿だと思っていなかったので、仕方ないと言えば仕方ないですが」


 自分とシャルの汚れを〈洗浄〉で綺麗にすると、ノマは半分吐き捨てるように言う。


 あれ、もしかしてすると物凄く怒っていらっしゃる?


「本当に。一応仲間だと思っていたのに」

「え?一体なにがあったの?」

「魔物が狩れないくらいなら、良かったんだけどね。見つからないから、森に入ろうって言い出したのよ」


 シャルの言葉に、思わず首を振ってしまう。

 森は確かに魔物が増えるが、レベルも上がる。踏み込むなら、あらかじめ入念な準備をするべきだ。ノリで入る場所ではない。


「もちろん、わたし達は反対したんだけどね。半ば強引にここまでやってきて、丘の影に入ったと思ったら」

「襲ってきたんです」


 ノマが嫌悪感も露わに言う。


「は?!」


「ノマを羽交い締めにしてナイフを突きつけてね。武器を捨てて、服を脱げですって」


 シャルの表情は半笑いなんだけど、凄く怖いんですが。ノマは怒りを押し殺そうとして、殺しきれてないし。

 2人とも顔立ちが整っているんで、余計に怖い。


「大丈夫だったの?」


 なにがとは、あえて言わない。


「運良く、このコボルド達に襲われましたから、大丈夫でした」


 あー。意味は判るが、いろいろと内容がおかしい。


「コボルドに襲われるや、戦いもせずに私を突き飛ばして、逃げ出したからね、ガース」

「なにやってんだよ、ガース」


 見事なクズっぷりだ。考えなしだとは思っていたが、そこまで腐った奴だとは知らなかった。


「本当にごめん。最初にキチンと断るべきだった」


 自分の有用性をアピールしようとして、仲間を危機に陥れてしまった。


「私達もこんな風になるとは思ってもみなかったので、しょうがありません」

「そそ、嫌な顔したのだって、鬱陶しかったからだし」


 2人は表情を和らげ、許してくれた。


 それから、後片付けだ。

 森の近くで、あまり長居する訳にもいかない。


 コボルドから、命石(ライフコア)と討伐証明の耳を解消する。


 残りは、どうするかな。


「シャル、ノマ」

「なに?」


「これからする事については、村に戻ってからゆっくり説明する。だから、とりあえず質問しないで、他の人にも秘密にしといてもらえるかな?」

「なんのこと?」


 要領を得ない2人の前で、マイダンジョンへの入口を開ける。


「こういうこと」


 そう言って、コボルドの死体をポイポイと放り込む。


 コボルドの死体が、中空に消えていくようにしか見えない光景に、2人は絶句した。


「ということを秘密にしておきたいんだ」

「あとでちゃんと説明して下さいね」


 呆れたような声色でノマが言うと、シャルも大きく何度も頷いた。

お読み下さってありがとうございます。

少しでも面白いと思ってもらえると、嬉しいんですが。


次回は、だいぶテイストが変わります。

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