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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
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48 第2層

 俺たちは今、馬車の中だ。


 王都への先触れは、第2層の使者と共に戻ってきた。


 いや、言葉を飾ってもしょうがないな。2層からやって来てたのは護送隊だ。


 完全武装の騎馬隊が2つに、馬車が2台だ。馬車は、1台は普通の箱馬車だったが、もう一台は窓も小さく罪人を運ぶ為の護送車のようだった。


 この馬車で移動しなければ、第2層の移動は許可しないという。


 伯爵たちが抗議しようとしてくれたが、俺たちはそれを受け入れた。


 色々都合がいいからね。


 割り振りは、王国の役人であるオロンと息子のエスタのみが普通の馬車で、俺たちはまとめて護送車である。


 普通の馬車の方も、窓が分厚いカーテンで目隠しされている。

 余所者に2層の様子を見せたくないようだ。


 俺たちの馬車は、天井近くに握り拳程の丸い小さな明かり取りが6つあるだけだ。外の景色どころか、暗く内部も良く見えない。


 まあ、魔法で明るくするんだが。


 御者とも完全に隔離されているし、俺たちしか乗っていないので、走行中は誰かに見られる心配は一切なかった。


 おかげで、心置きなくマイダンジョンに入って、いろんな作業をこなす事が出来て、いろいろ捗る。


 この馬車を用意した人間には、心からの称賛を送りたい。


 むこうの本意じゃなかろうが。


 それにしても、俺たちの扱いは徹底していた。

 食事の時も馬車は止めるが、俺たちを下ろそうとはしない。扉の下部にある高さ10糎ほどの小さな開き戸を開けて、食事の入ったお盆を渡してくるだけだ。


 ちなみに、トイレは馬車の中にある壺。ダンジョンに吸収されるまでは、悪臭に耐えろということだ。


 完全に囚人扱いである。


 マイダンジョンに行けなかったら、シャルとノマは憤死していたかもしれない。


 何度かエスタが抗議してくれたが、亜人や下層の浮民風情はこれで十分だ、と取り合ってくれなかった。


 伯爵たちが言うように、2層はだいぶ腐っているらしい。


 外の光景もそれを裏付ける。


 土地は開けていて、人の数も3層に比べて多いが、表情が暗い。建物も粗末な物が多かった。


 一番驚いたのは道路だ。

 俺たちが乗せられた馬車や護送兵は、石畳の敷かれた広い道を通っている。


 だがその道を通る普通の民はいない。せいぜい、横切る者がいる程度だ。

 普通の住人は、その両脇を通っている細いでこぼこの道を使っているのだ。


 石畳の道は、貴族や兵士専用の道らしい。


「驚いたね、コリャ」


 呆れるより他ない。


 ところで、馬車に閉じ込められている俺たちが、何故外の様子がわかるかだが、眷属を新たに召喚したためだ。


 気軽にマイダンジョンに戻れるようになったので、鳥を5羽、召喚したのだ。開拓村をはじめとして、各層に鳥を放っており、いまこの馬車の上空にも1羽飛んでいる。


 その視界を借りて、辺りを見渡しているわけだ。


「3層に比べて、瘴気の澱が多いですね」


 同じ光景を見ながらイシュルが言った。


「人の数が圧倒的に多い。ゴミをちゃんと処理してないから、瘴気も増える」

「だな。大した強さじゃなかったが、昨日も魔物が発生してたし」


 発生した魔狐は、やがて駆けつけた兵士たちに倒されたが、死骸は命石を取っただけで、なんの処理もされていなかった。

 あれじゃ、すぐに瘴気を生み出すだろう。


 ちなみに兵士の質は、3層と大差はなかった。


「3層と比べても、2層は酷いですねー」

「全くだ」


 やがて、鳥の視界に巨大な城が見えてきた。

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