5 ダンジョンマスターの秘密
次話から月水金に更新を行います。
その分、1話をもう少し長くできればいいなぁ(努力目標)
そして今俺は、ダンジョンコア改めココア(命名 俺)をその身に宿して、もとのダンジョンを歩いている。
話を聞いた結果、色々分かったこともあるが、結局やることはあまり変わらないからだ。
村の周りの魔物を狩り、命石と使える素材を取る。変わったのは、死体の処理方法だ。
以前は土に埋めるか燃やしていたものを、新ダンジョンへポイ、で終了だ。実に楽である。
「やはり普通のコボルドじゃ、大して力素は吸収できませんね〜」
3体目のコボルドを吸収したココアが不満そうにいう。
「そうは言っても、俺が一人で狩れるのは、コボルドやゴブリンあたりがせいぜいだ。我慢してくれ」
まあ今日は、今のところ無傷で戦闘時間も短い。俺としては絶好調と言っていい。
「え?ご主人様は、かなり強くなっていると思いますが」
そんなことをココアが言う。
「仮にもダンジョンマスターを倒して、その上自らがダンジョンマスターになったのですから。ご覧になりますか?」
目の前に、俺のステータスが映し出された。
「え?神殿で祈ったわけでもないのに!」
神殿で祈った時にお告げがあるステータスが、目の前に宙に浮かぶ文字で表示されている。しかも聞いたことのない項目もある。
「仮にも神に遣わされた世界システムであるダンジョンコアですよ、わたくし。サブシステムのサブシステムである、神殿なんかより高性能なのは、当然です」
脳裏に誇らし気なココアの声が響く。俺は、偉そうに無い胸を張る、こまっしゃくれた女の子の姿を幻視した。
「あ、ヒドい。私はグラマラスでアダルティな出来る女なのです!やり直しを要求します!」
先ほどの女の子が、両手を振り回しているイメージが浮かんだ。
うん。俺の中でのココアのイメージは定まったな。これはこれで、可愛いぞ。
だが、そんな事より俺のステータスだ。
種族が、ダンジョンマスターになっている。
でもってレベルが1になっていた。種族が変わってレベルもリセットってことか。
ただ生命力や魔力含めた、各パラメータが、ヤバい。もっとも変化の少ない筋力値でさえ、3割増しだ。
敏捷性なんて倍になってる。
なるほど、これなら村周辺で出る魔物には、単独でも完勝出来るやもしれん。
シャルやノマに早く教えたいぜ。
今日は訳あって別行動している、相棒たちのことを考える。
「その二人が眷族候補の女性ですか?」
俺の思考を読んだのか、ココアが聞いてきた。
「眷族?」
「はい。ダンジョン内でご主人様が召喚した者は最初から、ご主人様に隷属しており必要に応じてダンジョン内の権能を与えることが可能です」
「一方、別のダンジョンから人を招く場合、ご主人様と契約して眷族となることができます。この時は、権能を与えることと引き換えに、ご主人様を害することが禁じられます」
「へー。便利そうだね」
ダンジョンが大きかったら。
「すぐ大きくなりますよ。それに今だって、他の人間や魔物の入れない安全地帯として使えますし」
言葉に出さなかった方の思いを読んで、ココアが言う。
今や俺は、隠し事ができないらしい。
「大丈夫です!ご主人様の秘密は、私の秘密です!誰にも言いません!特にご主人様の性癖とかは、絶対にシャルさんやノマさんに言いません!!」
勘弁してくれませんかね。