4 魔力と瘴気
やっと主人公の名前が判明します。
この世界は、ダンジョンである。
なにを当たり前な事を、と思うかもしれないが、大事な事なので再確認する。
もう一つ当たり前の事を。
ダンジョンは、成長する。
ね?当たり前の事だ。
では、ダンジョンは、どうやって成長するのか?
ほーら、分からなくなった。
コアの説明は、こうだ。
ダンジョンは魔力や瘴気、いわゆる力素を吸収して成長する。
ただし、魔力を生み出す能力を持っているのは、植物と人間をはじめとする動物のみ。
魔物は、瘴気によって生まれて、周囲に瘴気を撒き散らし死して瘴気に戻る。
さらにダンジョンに吸収しきれない力素が淀むことによって、瘴気となるため魔物の数が多いと、瘴気の増加量が飛躍的に伸びることになる。
魔力と瘴気の直接の変換は、ダンジョン自体か一部の植物にしかできない。直接じゃないなら、魔物の肉を動物が食ったり、素材として使うことで可能だけど、効率はあまりよろしくない。
今のコアのように、ごく若いダンジョンは、力素が淀むことはほぼないが、ダンジョンが大きくなればなるほど、力素が溜まり易くなるそうだ。
なんかダンジョン内には瘴気が溜まり、魔物だらけになる運命しか見えないな。
まあ救いもあってダンジョン内に瘴気が溜まり過ぎると、極稀に新しいダンジョンコアが生まれることがあるそうだ。
「それが私であり、そのご主人様となったのが、デレク様なわけです」
新しいダンジョンとやらに座り混んで、俺はコアの話を聞いていた。
「それのどこが救い?」
「新しいダンジョンは成長のために多量の力素を必要とします。それは魔力でも瘴気でも構いません」
「つまり、古いダンジョンから瘴気を吸い取って、こっちは成長して、古い方は力素のバランスを取り戻すってこと?」
「はい、ダンジョン間を力素が直接流れることはできませんが、魔物の体を持ち込むことはできます」
魔物を構成する瘴気をこちらで吸収して、むこうに還元することを防ぐというわけか。
なるほど。