表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンは世界だ!  作者: トト
36/134

34 上層へ

話数を間違えていたので、訂正しました。

話の順番は変更ありません。

「本村は、近くにあるのかね?」


 村長が尋ねる。


「それについて外部に話す事は禁じられておる」


「なにを警戒しているのかな?」


「私たちが決めた事じゃないんで想像ですが、所詮我々は少数派ですからね」

「ふむ」


 ノエルの言葉に村長が考え込む。


「ご理解ください。我々は、あなたたちの王国に隣接する弱小国という位置付けなんですから」


「なにを馬鹿なことを」


 オロンは嘲ったが、村長とオドは虚をつかれたらしい。


「確かに、王国の勢力範囲外にある、異なる人類の集団か。外国と言っても間違いじゃないな」


 村が所属するのは、1層から3層までを支配する王国だ。ほかに人類の国は存在しない。

 かつては、層毎に国があった時代もあるが、統一王国が出来て百年あまり、王国に所属しない人類は存在しなかった。


 つまり、イシュルたちは百年振りに現れた外国人なのだ。

 ホントは、ダンジョンにすら所属してないけど。


「弱小国の代表としては、隣国になるべく、情報を与えたくないんですよ」


「弱小国とか言いながら、自信有り気に言いにくい事言うな」


 苦笑しながらオドが言うと、ノエルは悪戯っぽくウインクした。


「国としての力と、個々人の力は別ですからね」

「言うねぇ」


 苦笑を深くして、オドは俺の方を見た。


「この人らと戦って、勝てるかい?」

「あとで、この人たちのステータス見せてもらうといいですよ」


 しかめっ面を作って答える。


 ちなみにシモベたち3人のステータスは、一般的な尖兵の5倍程に偽装してある。もちろん、俺のシモベとかいう称号も隠した。


 ココアに頼んでいた事というのが、これである。

 俺たちのステータスも偽装済みだ。能力は一般の6割増しというところにしてある。


「しかし、外国となると中央にお伺いをたてんといかんなぁ」


 村長が天を仰いだ。


 よしよし、計画通り。


 俺はシャル、ノマと目配せを交わし合う。


 シモベたちを村まで連れてきた目的は、シモベたちを認知させ、彼らから村に欠けている知識を浸透させる事。

 そしてもう一つ、なんとか1層に行く口実を作り、そこでマイダンジョンの住人を得る事だった。


 ここまでの会話は、シモベたちを1層に送り込むのに誘導するよう、事前に念入りに打ち合わせている。


 その成果が見事に出たわけだ。


「あなたたちを代表者として受けとっていいのかな」


「交渉に関しては、全権を委任されていると思っていただいて結構」


 なんとイシュル、初めての発言である。

 ちょっと噛みそうになったのはご愛嬌。


「デレクたち3人が、しばらく抜けても大丈夫かね」


 村長がオドを見る。


「そりゃ、普通なら無理だな」

「魔物の心配なら、森には残りの仲間がいる。心配いらん」


 ドランが請け負った。


「お任せしても、大丈夫ですかな」

「そりゃ、やらんと我々の集落も危険だからな」

「なるほどな。では、申し訳ないがデレクたちと共に、どなたか1層の王宮へと出向いていただけないだろうか」


 村長が頭を下げ、みんなが一斉にイシュルを見た。

 その中でイシュルは鷹揚に頷く。


「承知した。我々3人で出向こう」

 

 

 

 一層の王宮へは、往復を考えれば1か月以上かかる。向こうでの交渉がどの程度かかるかはわからないが、全体で2か月は5層を離れると思った方がいい。


 俺たちは、そのつもりで準備を始めた。


「まあ、戻ろうと思えば、すぐに戻れるわけですが」


 確かにココアの言う通りだが、そう一筋縄ではいかない理由がある。


 代表者としてオロンが同行するのだ。


 これは事前に予想されたことでもあった。1層へ出向くのに、村の人間がただの尖兵である俺たちだけというのは、ありえない。俺たちは留守番という可能性の方が高いとすら思っていた。


 村を離れられない村長以外で、唯一の開拓局職員であるオロンが代表になるのは、最も可能性が高いと思っていた。


 なので準備もしてある。

 マイダンジョンへの収納が使えるように、大きな皮の袋を用意してある。

 

 イシュルたちの国に伝わる秘宝、無限収納が可能な袋というわけだ。

 実際は袋の中にマイダンジョンへの入口を作るだけだけどね。

 諸事情で、袋の入口担当はココアという事になっている。


 一週間ほどかけて、俺たちは旅の準備を進めていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ