28 第3のシモベ
擬装用の集落といっても、手を抜く気は無かった。
いっそのこと、旧ダンジョンでの拠点にしようと思っているのだ。もちろん、開拓村を離れる気はないが、ダンジョンマスターになったことを秘密にしながら出来ることは限られている。
村で出来ないことは、こちら側で、ということだ。
「まずは、周囲の魔物の排除だよな」
材木の伐採跡の空き地を拠点とするには、魔物をどうにかするしかない。
なにしろ、ちょっと音をたてただけでオークだのトロルだのが、ガンガン寄ってくるのだ。
このままでは、拠点というか要塞を作る羽目になってしまう。
魔物の駆除と真木の移植を並行して行っていく。
「〈育成〉を使えば問題なく、挿し木で増やす事を確認しました」
エレールの報告に頷く。
まだちょっと硬いが、イシュルに比べれば大分自然な喋り方だ。
あいつ、棒読みの上に苦悩しながら、くだけた感じを出そうとするんだもんなぁ。
結果、単に危ない奴にみえる。
ドワーフ2人が、すぐに慣れたのと対象的だ。
「樹齢10年以上の真木は、何本くらいある?」
「周辺で見つけた3本程です。集落予定地の中心に、もっとも古い木を。離れるにつれて若い木を植樹するようにしていきます」
「完璧だね。ありがとう」
「は!光栄です!」
エレールが、頰を紅潮させて腰を90度近く曲げた。
俺がなにも言わずジッと見ていると、失敗に気付いたようで、ちょっと慌てている。
しばらくワタワタしていたが、やがてぎこちない笑う。
「どういたしまして?」
「正解」
恐る恐る言ったエレールに、親指を立てて見せる。
そんな、あからさまにホッとするなよ。
「挿し木の時以外に〈育成〉で強制的に育てる必要があるのは、結構ありそう?」
「そうですね。魔物の様子を見ないとはっきりはわかりませんが、最低20本程度はそれなりの樹齢にしないと、不自然になるかもしれません」
「うーん。どこまで擬装するかだなぁ」
魔物が集落に近づかないようにするには、ある程度の広さの真木の樹林が必要だけど、それが全て若木ばかりというのは、不自然すぎる。
だからといって、〈育成〉をかけまくるのも、労力に見合わない。
やるべき事は多いのに、シモベの数は少ないのだ。
「新しくシモベを召喚するかな」
(最近は、魔物を吸収しまくってますので、さらに2人くらいの召喚は余裕ですよ)
俺の一人言にココアが反応した。
という事で、新たなシモベを召喚しました。
今度はノームの男女。
黒髪に浅黒い肌で、鼻が少し大きめかな。シモベがみんな、無駄に美形なのはなんなんだろう。
あ、ドランは除く。髭剃ったら美形の可能性はあるが。
でもって、ノーム最大の特徴は、女性のナニーに現れていた。
デカい。
そりゃぁデカい。
シャルも立派なものをお持ちだが、ナニーは更にデカい。
まあ、身長がシャルよりあるので、比率で考えると同じくらいかもしれないが、絶対量がデカい。
ノマが、自分の胸と見比べて溜め息をついているのが、可愛いんですが。
大丈夫。胸の大きさに貴賎はない。口に出すと恐ろしい事になるから、言わないけど。
とりあえずノームの2人、ノエルとナニーは、畑担当になってもらう。
読んでいただき、どうもありがとうございます。
ちょっと短めですが、区切りがいいのでご容赦ください。